2008年12月21日
コンテンツ番号2681
児童生徒の一層の学力向上を
(2008.12.21)
秋田県教育委員会が進める秋田わか杉っこ学び充実事業「学力向上県民フォーラム」が12月21日(日)、鷹巣小学校と鷹巣中学校を会場に開かれ、県内外から参加した教育関係者、保護者らが公開授業の参観、パネルディスカッションなどを通し秋田の子どもたちの学力や教育の未来について考えました。
平成19・20年度に実施された全国学力・学習状況調査では、秋田県の児童生徒が2年連続で全国トップクラスの成績を収め、県民に大きな喜びを与えました。このことを受け、「教育立県あきた」の構築を目指している秋田県教育委員会では、小・中学校の授業公開と有識者によるパネルディスカッションを行い、児童生徒の教育活動や県・市町村の教育施策の成果と課題について指導・助言を受け、本県教育の一層の充実発展を目指そうというもの。
参加者は、午前中、鷹巣小学校と鷹巣中学校での少人数指導による公開授業を参観したほか、両校の教職員及び市教育委員会職員とのフリートーキングで授業の進め方や学習指導案などについて意見を交わしました。
午後から鷹巣中学校で行われたパネルディスカッションには、秋田公立美術工芸短期大学前学長でノースアジア大学客員教授の石川好さん、首都圏を中心に学習塾を展開している栄光ゼミナール広報部長の横田保美さん、秋田県PTA連合会会長の渡辺正宏さん、秋田県教育委員会の北林真知子教育委員長がパネラーとして参加、秋田大学教育文化学部の阿部昇教授の司会で討論が展開されました。
この中で、石川好さんは、6年間秋田で教育に従事された経験などから、「かつて子供は家庭で労働力としても利用されていたが、戦後、憲法で保護者は子供に教育を受けさせる義務がうたわれた。全国学力テストで秋田県の成績がよかったのは、秋田がその義務を全国で一番果たしているということだろう。また、全国でも例がない公立の美術工芸短大や、国際教養大学、公立の中高一貫校・御処野学院を作るなど、教育面でいろいろ新しいことを試みているのも特長」と述べました。
さらに、「大都市では所得の格差が地域や家庭でさまざまな問題を起こしているが、所得が低い水準で安定している秋田では、問題もあまり起きない。その結果、児童生徒と教師、保護者と教師の間に信頼関係ができている。教師を尊敬する心が秋田には残っている。これは一つのユートピア」、などと逆説的に分析していました。
「秋田に学べ」をキャッチコピーとしたポスターをJR東日本の車両などに掲出し広告を展開した進学塾・栄光ゼミナール広報部の横田保美さんは、「公開授業を見せてもらったが、非常にうまく感心した。塾の先生は、教え方次第では今日教えた子供たちは明日は来ないかもしれないという厳しさがあるが、同じような気持ちで臨んでいる。うちの塾にきてほしいくらい」と評価し、「“早寝早起き朝ごはん”が学習意欲を高めるといわれる。秋田では、子供たちがこの生活習慣を身に着けられる環境に恵まれている。大阪は、学力テストの結果が低かったが、大阪の先生たちの指導力が特別低いわけではなく、子供たちを取り巻く家庭や地域の環境が悪く、学校が教育支援を受けられないのが大きな原因」と、子どもたちの学習環境のよさを指摘していました。
また、北林教育委員長は、全国の教育関係者との意見交換の中でも、秋田県が他県に比べて子供がしっかり学ぶための生活習慣が家庭の中で定着していること、教師と児童生徒との信頼関係ができていることが結果につながっていることを紹介しました。