2008年10月03日
コンテンツ番号2610
中心商店街の活性化策を探る
(2008.10.3)
中心商店街の活性化策を探る「まちづくりシンポジウム2008」が10月3日(金)、北秋田市中央公民館で開かれ、 市民ら約100人が専門家による講演とパネルディスカッションでまちづくりの課題について探りました。
主催はたかのす銀座通り商店会活性化部会(旧青年部)のメンバーなどで作るまちづくりシンポジウム実行委員会(木村信智会長)。少子高齢化や大型店の進出、予定されている北秋中央病院の移転などで商店街の空洞化に危機感を持ったメンバーらが、先進事例などをもとにこれからのまちづくりを考えようと開催されたものです。
講師は、長崎県佐世保市で元気なまちづくりを実践されたきた竹本慶三氏と、日本政策投資銀行地域振興部参事役の藻谷浩介氏。
最初に講演した竹本氏は、佐世保市で賑わいを創出する多彩なイベントをリードし活性化につなげてきた仕掛け人として知られ、させぼ四ケ町商店街協同組合理事長、佐世保市商店街連合会会長などを務められています。
佐世保は人口約24万人 。明治22年に佐世保鎮守府が設置され軍港となる前は、人口わずか5千人の村でしたが、同35年に一挙に市とな り急速に発展、戦前は軍都、戦後は米軍と自衛隊の基地の町として発展しました。そのため「開放的で伝統にこだわらない ことが佐世保の人間の特徴。みんなよそ者だたから排他的な部分がない」と竹本さん。
また、「商店街の役割は何か。大きなものは三つ。まず経済的な役割、人と人とのコミュニケーションを生む社会的な役 割、そして交流から生まれる文化的な役割がある」「そのためには、町のにぎわいが大事。人が集まるところにはまた人が 集まる」と述べ、総延長1キロと日本一長いアーケードで一帯をイルミネーションでライトアップする『きらきらフェステ ィバル』というイベントを始めたこと、そのアーケードで5千人が参加する大パーティを実現させたことなどを紹介。
これらのイベントを企画していく中で、実行委員のメンバーからさらに豊富なアイデアが出始め、札幌の「よさこいソーラン 」に刺激され生まれた「YOSAKOIさせぼ祭り」が始まり、最初は2チームから始まった祭りが昨年の第10回大会で は140チーム7千人が参加しているといいます。
北秋田市同様に郊外に大型SCが進出、危機感を感ずる中で、イベントによる元気なまちづくりを進めた佐世保の事例に 聴衆も感心しながら聞き入っていました。
一方、藻谷氏は商業統計調査など綿密な統計データに基づいた持論を展開。「北秋田市民(秋田県民)の所得は減少傾向。当然消費額は所得に連動する。その中で大型店の進出などによって商店の床面積が増えると、単位面積あたりでは売り上げが落ちることになる。また、高齢化が進むと退職者が増え生産人口は減る。したがって全体の市民所得・消費額はさらに減ることになる。この傾向は地方ばかりでは なく、東京でも同じ。大手デパートの三越が池袋店や宮城県の名取店を閉じようとしているのはその一例。東京でさえそのような状況なのになぜ秋田で成功できるのか」と、北秋田市をはじめ県内各地に郊外型の大型店が次々と進出する状況に疑問を投げかけていました。
この後、竹本、藻谷両氏、木村会長らによるパネルディスカッションが行われ、にぎわいのあるまちづくりについて意見を交換し合いました。