2008年10月16日
コンテンツ番号2584
成年後見制度について理解深める
(2008.10.16)
北秋田市障害者自立支援協議会(高橋宮雄会長)主催による成年後見制度の研修会が10月16日(木)、市交流センターで開かれ、福祉事務所、市社会福祉協議会、福祉施設などの関係者が家庭裁判所調査官による講演で制度について理解を深めました。
研修会は、この日発足した支援協議会の研修会として実施されたもので、関係者約50人が出席。秋田家庭裁判所大館支部主任調査官の松島久氏が講師として「成年後見制度〜権利侵害と制度の活動」と題し、制度全般についてわかりやすく説明しました。
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分でない人について、本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで本人を法律的に支援する制度。判断能力が十分でない人々も福祉サービスの利用に際して契約が必要になったことを契機に、平成12年4月に、民法の禁治産・準禁治産制度を改正してつくられました。
制度の主な改正点としては、▽禁治産・準禁治産制度が「後見」「保佐」「補助」の制度(法定後見)に改められたこと▽複数後見、法人後見の実施について明確化▽任意後見制度の創設▽戸籍への記載にかわり「成年後見登記制度」を新設▽身寄りのない人などのために区市町村長による家庭裁判所への申立権、などが上げられます。
講演に先立ち、支援協議会の高橋会長が、「平成18年に障害者福祉計画が作られ、障害者が地域で暮らし、働き、活動することを応援していくための取り組みが進められている。成年後見制度は支援のための大切な制度の一つ。講演で理解を深め、活動に活かしてほしい」などとあいさつ。
講演では、松島氏が、「制度発足以前の禁治産・準禁治産制度の下では、申し立て件数は全国で年間2、3千件だったが、高齢化などに伴い、新制度発足後は後見開始の申し立て件数が2万5千件ほどに増えた」と概況を紹介した上で、制度の概要や改正の社会的背景、主要な改正点などについて説明しました。
まず、従前の禁治産・準禁治産制度の下では、▽画一的で弾力的な対応ができない▽本人の意思が十分に反映されない▽鑑定費用が高く、期間を要した▽戸籍や官報に記載されて名誉を侵害される、といった問題点があったことを指摘し、「鑑定費用は現在は5万円から10万円、期間も1月ほどで済むが、以前の制度では費用30万、期間も3ヶ月から6ヶ月と長かった」、また、「現在は東京法務京の登記簿に記載され、登記簿を取得できる者の範囲も限られている。しかし、以前は戸籍に記載されたため、家族などからの抵抗が大きかった」と、新制度創設が求められた主な理由について述べました。
改正の経緯については、高齢化社会が進み、悪徳商法などでトラブルに巻き込まれるケースが増加したこと、知的障害者、精神障害者のノーマライゼーションの流れや諸外国での法改正の動きなど、社会的背景があったことを紹介。
このほか、主要な改正点や後見類型(補助・補佐・後見)の基準、後見開始の手続や後見人になった場合の職務と責任などについての説明に、出席者はメモを取りながら熱心に聞き入っていました。