2008年10月20日
コンテンツ番号2576
国重要文化財指定に向けて答申される
(2008.10.20)
文化庁の文化審議会(石澤良昭会長)は、10月17日に当市本城の金家住宅(旧本城公民館)を国の重要文化財に指定することを塩谷立文部科学大臣に答申しました。
今回、秋田県で国重要文化財指定(建造物)の答申を受けたのは、金家住宅(北秋田市)と小玉家住宅(潟上市)の2件で全国では8件。県内の2件は、平成14、15年度に秋田県教育委員会が実施した「県近代和風建築総合調査」でその価値が認められたもので、近代和風建築では本県では初の指定となります。金家住宅は「歴史的価値の高い建築物」が答申理由となりました。
金家は阿仁地方の三大旦那と呼ばれた大地主で土地経営を行うかたわら、農村の青年教育に尽力するなど地域の発展に貢献しました。
金家住宅は旧森吉町本城の阿仁川西岸に位置し、約3966平方メートルの敷地に東面して洋館、和館、文庫蔵、米蔵が建てられています。また、正面には幕末ころの作庭といわれる庭園があり、四季折々の木々が建物とよく調和しています。
和館、洋館は金家9代目当主金逸郎さん(故人)によって昭和3年に建設され、使用された木材は全て持ち山から伐り出し、屋敷付近で製材されました。地盤は松坑打により耐震補強され、製材された木材は蒸材、乾燥させて用いられており、約80年が経過した現在においても狂いはほとんど見られず、当時の技術の確かさが感じられます。建築にあたっては大工、作業員など常時30人以上の人々が働き、資材の運搬や木材の乾燥等には地元の人々も多く携わったと言われています。また、終戦直後から数年間は大野岱女子農業学校(現米内沢高校)の女子寮として洋館を提供し、女子学生約30人を受け入れるなど、様々な形で地域と係わってきた建築物です。現在は、10代目当主金和彦さんご夫婦が居住されています。
金家住宅は、好対照をなす和洋両館が極めて良好に保存されており、東北地方ては数少ない大型の和洋並立住宅として貴重であり、また地方における近代住宅の展開を示す作品のひとつとしても歴史的価値が高い。近代地主の屋敷構えを伝える文庫蔵、米蔵、表門及び宅地と併せて保存を図ることとしています。
年内には答申どおり官報告示され、正式に国重要文化財に指定される予定です。
洋館
昭和3年(1928年)竣工、木造2階建、銅板葺、建築面積165.93平方メートル
印象的な急勾配の大屋根に切妻破風と屋根窓をつけ、1階を下見板張、2階をドイツ壁、妻壁をハーフティンバーとする。1階の西側と2階の南側にはサンルームが設けられている。
終戦後の数年間は大野岱女子農業学校(現米内沢高校)の女子寮として使用された。
※ドイツ壁・・・モルタルを吹き付け粗く仕上げた外壁の一種
※ハーフティンバー・・・柱や簗を外に見せ、漆喰やレンガで仕上げた外壁の一種
和館
昭和3年(1928年)竣工、木造2階建、鉄板葺、建築面積155.47平方メートル
2階建の廊下を附属した上下階で洋館と繋ぐ。当家の山林から調達した良質な秋田杉を用い、「金」の字を模した欄間の透彫や座敷飾りなど、細部まで丁寧につくられている。2階の緑は極力柱を省き、座敷から周囲の田園を広く望む。
昭和42年に旧森吉町に寄贈され、近年まで地区の公民館として利用された。
文庫蔵
明治35年(1902年)上棟[棟札]、土蔵造2階建、鉄板葺、建築面積58.99平方メートル
文書などを収める置屋根形式の土蔵で、渡り廊下によって和館と接続する。腰壁に石積風の目地を切り、黒漆喰仕上げの軒蛇腹に渦紋の飾りをつける。
米蔵
※写真手前
大正2年(1913年)上棟[棟札]、土蔵造1階建、鉄板葺、建築面積39.78平方メートル
文庫蔵と同様に置屋根形式の土蔵で、蔵前をつけ、外壁は漆喰で仕上げる。文庫蔵に比べて造りは簡素である。
※金家住宅は私有地に建設されており、所有者が現在も居住していることから、プライバシー保護の観点から一般公開はしておりません。見学の際はマナーを守り、道路からの見学にとどめていただくようお願いいたします。今後、定期的な公開による積極的な利活用を検討しています。
問い合わせ
北秋田市教育委員会
生涯学習課 TEL 0186−62−6618