2008年09月11日
コンテンツ番号2531
秋田県の疾病傾向と健康づくりについてを学ぶ
(2008.9.11)
中央公民館公開講座「秋田県の疾病傾向を探る」が9月11日(木)、同公民館で開かれ、約50人の聴講者が秋田県や北秋田市で多い疾病の傾向と健康づくりなどについて学びました。
講座は、県の出前講座を活用し開かれたもので、地域や年齢、性差別に過去の死亡統計を分析することで、これからの健康づくりにつなげることなどを目的として開催されたものです。
講師には、健康科学や環境化学に関する調査研究を行っている県の機関・秋田県健康環境センターの主任研究員で保健師の田中貴子さんを迎えました。
田中さんは、はじめに秋田県の10大死因の死亡率年次別推移やがんの部位別死亡率、自殺による死亡率を年次別、男女別に紹介、秋田県は多くの疾患(原因)で死亡率が高いことを解説しました。
このうち、 男性死亡率の年次推移では、昭和35年の脳血管疾患による死亡率が人口10万人あたり607.7人だったのが、平成17年では76.3人と激減したものの、平成17年の全国順位では4位とまだ高いこと、悪性新生物(がん)は226.6人から214.6人(全国順位6位)、自殺は31.7人から51.8人に増加(同2位)、さらに肺炎や交通事故など不慮の事故もそれぞれ6位、4位と高く、聴講者もスクリーンに投影される具体的な統計データに驚きながら見入っていました。
自殺では、女性も平成17年は13.1人と男性に比べて少ないものの、全国順位では第3位。また不慮の事故も11.1人で第2位という指標も示されました。
また、がんによる死因のうち、胃がんの死亡率は男女とも高く、男性は平成7年の調査から全国第1位を続けており、女性も平成17年には第5位に下がったものの、平成12年には第1位となっています。大腸がん、食道がんでも同じ傾向があり、特に男性の食道がん死亡率は昭和54年以来年々順位が上がり、平成7年からは第1位を続けています。
このような悲観的な傾向の中で、女性の脳梗塞による死亡率は昭和45年以来5位以内に入っていましたが、平成17年には15位に下がり改善傾向にあることが示されると、女性の参加者も少しほっとした様子でした。
このほか、年齢別の死因割合では、男性は30代後半から60代にかけて徐々にがんの割合が高まるのに対し、女性は30代後半から40代前半にかけて急激に割合が高くなりその後徐々に低減すること、自殺は、男性が10代後半から40代前半にかけて割合が高いのに対し、女性は10代後半から20代の割合が高い集中傾向が示されました。
続いて田中さんは、平成17年5月分の国民健康保険レセプトの分析から秋田県の医療費の現状を説明。脳血管疾患、心疾患の大きな原因となる高血圧疾患が件数、費用額で最も高く、件数では第2位の歯肉炎・歯周疾患の3倍以上、日数では第2位の精神分裂病の2倍以上、費用額ではトータルで10億5千万円(第2位の脳梗塞は約7億6千万円)と飛びぬけており、「費用額は最初は私も間違いではないかと思ったほど。このような指標から、国保財源が厳しいといわれている背景を知り、高血圧を招くような食生活を見直して」と話していました。
また対応策として、このような疾病傾向や医療費の現状をもとに、現在秋田県が進めている主体的な健康づくりについて説明。今年度から始まった特定健康診査・保健指導の考え方などを紹介した上で、▽地域や職場ぐるみで健康づくりへの理解と取り組みを進め、健康診査を受ける▽健診後は精密検査まで受け安心する▽特定保健指導受ける、ことが第1歩、と話します。
田中さんは最後に、「たとえば体重測定などやれることから始めることが肝心。1日1回は起きてすぐに体重を計る、グラフをつけて自覚する、パンツやスカートのサイズの変化で実感する、といったことで実践してほしい」と述べ、セルフモニタリング(行動の自己記録)用のチェックシートやグラフ用紙
を配布、紹介していました。