2008年09月14日
コンテンツ番号2535
琉球の古典舞踊を堪能
(2008.9.14)
国の重要無形文化財に指定されている沖縄「組踊」の特別鑑賞会が9月14日(日)、北秋田市文化会館で開かれ、満場の観衆が格調高い古典芸能を堪能しました。
組踊は沖縄方言によるせりふを用いた歌舞劇。沖縄が琉球王国であった時代、中国皇帝からの琉球国王任命の使者を歓待するため、踊奉行の玉城朝薫(たまぐすくちょうくん、1684-1734)が、それまでの伝統芸能を集大成し、日本の能楽や歌舞伎なども取り入れて創作したもので、1719年に初めて上演されて以来、宮廷芸能として発展した芸能です。
芸術的な価値の高さ、芸能史上の重要性から、沖縄が本土に復帰した昭和47年には国の重要無形文化財に指定されました。しかし、沖縄という限られた地域で伝承されてきたために、他の重要無形文化財にくらべて、全国的にはあまり知られていません。
そのため現在、伝統組踊保存会(島袋正雄会長)と沖縄県教育委員会では、文化庁の支援を得て、組踊の普及活動を進めており、今回の特別鑑賞会は、国庫補助事業「重要無形文化財等公開事業」の一環として全国各地で行っているもので、今年度は北秋田市や栃木県さくら市など6県で開催されることになっています。
鑑賞会は、入場整理券が発行後すぐになくなる人気ぶりで、600席の会場が満席になりました。プログラムは2部構成で、はじめに沖縄県教育委員会の担当者が沖縄の芸能や組み踊りについて解説したあと、第1部の「沖縄伝統舞踊」の幕が開きました。
沖縄の伝統的な舞踊は琉球王朝時代に完成したといわれ、老人踊り、若衆(元服前の男子)踊り、二才(ニセー=成人男子)踊り、女踊りの4つからなります。この日は、それぞれ「老人老女」「若衆こてい節」「下り口説」「天川」の代表的な4つの演目が披露されました。
演目の一つ「若衆こてい節」は、艶やかな紅型(びんがた)衣装をまとい、銀のかんざし、金色の扇などきらびやかな小道具で男性が演ずる舞いで、琉球王朝の優雅な文化を偲ばせ、会場を魅了していました。
第2部の組踊「執心鐘入(しゅうしんかにいり)」は玉城朝薫作による組踊五番の一つで、恋しい男・若松との恋が成就しなかった女が、若松を追いかけて若松の逃げ込んだ寺の鐘にまとわりつき、執念のあまり鬼に変身するいわゆる「道成寺もの」といわれる作品。
格調高い琉球言葉によるセリフも、すべて現代語に訳されて投影機で舞台袖のスクリーンに写されたためストーリーもわかりやすく、観衆は、登場人物の艶やかな衣装や少年若松の美貌に見入るとともに、自尊心を傷つけられ鬼に変身する女の情念、滑稽なしぐさの寺の小坊主の演技などに大きな拍手を送っていました。