2008年07月17日
コンテンツ番号2276
地域医療の課題訴え 岸部市長
(2008.7.17)
平成20年度秋田県議会福祉環境委員会(中田潤委員長)の県内調査が7月16日(水)から始まり、訪れた委員会の一行は17日(木)、北秋田市の市民病院整備計画について調査したほか、大館市、小坂町、鹿角市を訪れ、廃食油のリサイクルなど環境問題について自治体の担当者らと意見交換を行いました。
訪れた委員は中田委員長ほか、北秋田選出の津谷永光議員、近藤健一郎議員を含め9人。北秋田市では、16日、認定子ども園シャローム(鷹巣保育園・鷹巣教会幼稚園)で子ども園の運営状況などを視察、2日目は北秋田市役所で現在建設中の北秋田市市民病院についての調査となったものです。
北秋田市民病院は、市が鷹巣阿仁医療圏における病院の再編整備計画の中で、北秋中央病院、市立阿仁病院、国保合川診療所など公的医療機関を再編整備し、中核病院として位置づけ建設を進めている総合病院。市が建設し、秋田県厚生連(予定)に指定管理を委託する公設民営方式が特徴です。病床数は320(一般272、精神40、結核4、感染症4)、診療科は21科で、地域医療支援病院、救命救急センター、研修医指定病院などの機能を持ち、平成21年10月の開院を目指しています。
調査会場では、中田委員長、岸部市長のあいさつ交換の後、はじめに市民生活部の照内部長が病院の規模や機能、工期、進捗状況など病院の概要について説明しました。
また岸部市長は、市民病院の建設計画策定にあたり、圏域内の患者の病院利用について半数以上が大館市、能代市、秋田市など圏域外を利用していることから、2次医療圏の機能が十分発揮できるように、公的医療機関を再編整備する必要があったことを補足しました。
さらに個々の病院について、▽北秋中央病院は厚生連経営の中核病院で経営も比較的安定しているが、建物の老朽化対策が急がれている▽公立米内沢病院、市立阿仁病院とも不良債務を抱えており、市の一般会計からの繰り出しで赤字分を補っている▽特に米内沢病院は、19年度も2.6億円以上の赤字補てんが見込まれたため、平均800万の給与を支払っていた事務職員、看護師らに退職を勧奨、約50人に協力してもらった結果、人件費の削減によって実質1億円以上の赤字を圧縮することが可能になった、ことなどを説明しました。
各議員からは、▽県全体では厚生連が建設運営する民営方式が主流。公設方式で心配はないのか▽人口密集地から見ると郊外型だが、アクセスは大丈夫か。また患者数は確保できるのか▽医師確保は大丈夫か、などといった質問が出されました。
これに対し岸部市長は、▽厚生連経営の北秋中央病院、自治体経営(組合)の米内沢病院を比較すると、経営に対する意識が違う。医療経営が専門の厚生連による運営と、合併特例債を利用でき、また補助金、助成制度がある自治体建設方式の良いところを合わせたのがいわば民間活力を導入した指定管理方式であり、現時点ではベストな方式だと考えている
▽バス会社とも協議したが、現状の路線のルートを変更するだけで市街地、各駅などからの利用者輸送が可能だ、ということだった。内陸線や定期路線バスなどを有機的に運行させ、アクセスの利便性を高めたい
▽市、指定管理予定者である厚生連、病院関係者が一体で精力的に取り組んでいる。市で最も心配しているのは政策的医療である精神科の医師の確保。県にも動いていただいているが、皆さんからも情報提供していただければ幸い、などと答え、地域医療の課題を訴えるとともに、医師確保について協力を求めました。