2008年06月12日
コンテンツ番号2026
古代から続く秋田の“木の文化”を展示
(2008.6.12)
本市の胡桃舘(くるみだて)遺跡から出土した天然秋田杉の建築材「土居(どい)」が、6月12日(木)、同遺跡の収蔵庫から第59回全国植樹祭の会場・北欧の杜公園に運ばれ、展示場所に設置されました。
胡桃舘遺跡は、西暦915年の十和田湖火山の噴火によって発生したシラス洪水で埋没したといわれている平安時代の遺跡。昭和36年に鷹巣中学校運動場の整地作業中に須恵器杯や土師(はじ)器鉢が出土したことから、昭和42年から3年間にわたって国と県による調査が行われ、建物4棟と柵列が2列、掘立柱列のほか、木簡(文字が書かれた木札)などが見つかっています。
建物は柵で囲まれ、2棟の建物は住居跡、残りは高床の建物と役所のようなところと考えられ、うち2棟は地面に土台(土居)を据えて板を水平方向に組んでゆく板校倉(いたあぜくら)という工法で建てられていました。土居や壁に使われた板材など、1千年以上前の建築材が当時のまま出土した例は奈良・京都の神社仏閣を除いてはほとんどなく、きわめて貴重とされています。
全国植樹祭では、建築材として使われていたこの巨大な土居が、古代から現代へとつながる秋田の木の文化を伝える象徴的な遺物として紹介されることになったものです。展示される土居は、出土した中でも最も大きなもので、長さ13m、幅40cm、高さがが30cm。側面には、ノミや手斧(ちょうな)ではないかと言われている工具による加工跡もくっきりと残り、当時の職人の息づかいが聞こえてきそうです。
この日の朝、委託を受けた運送会社が鷹巣中学校敷地内にある収蔵庫で傷をつけないようにエアマットや特殊なこん梱包資材で搬出に向けた準備を始め、クレーンを使ってトレーラーに積み込み、会場の南駐車場まで輸送しました。会場内では展示場所まで車が入れないことから、鷹巣農林高校の力自慢の運動部の生徒と運送会社のスタッフによる人海戦術でイベント広場に設けれらた展示用のテントまで運搬、無事に設置が終了しました。
運搬の助っ人役を買った鷹巣農林高校の生徒は、野球部、相撲部、スキー部に所属する1年生と3年生40人。運送会社の担当者から運搬上の注意を受けたあと、スタッフらとともに両側から土居を梱包用バンドで担ぎ、南駐車場から展示用テントまでスムースに運びました。
設置が済んで高校生たちから歓声が上がると、運搬を見守っていた市民も、「さすが高校生、若い!」と拍手を送っていました。運搬を手伝った一人、相撲部キャプテンの小林幸太郎君(3年)は、「普段の練習で鍛えているので楽勝。“力”でも植樹祭にお手伝いができよかった」と話していました。
植樹祭会場は、イベント広場の物販・展示用テント、記念式典参加者用ベンチなどの設置も終わり、開幕を待つばかりとなっています。前日の14日(土)には、アトラクションや介添えなどで出演する市内の小中高生や郷土芸能団体が参加し、植樹祭の全日程を通してのリハーサルが行われ、当日に備えることになっています。