2008年06月27日
コンテンツ番号2005
森林整備、バイオマス事業などについて5氏が質問
(2008.6.27)
平成20年北秋田市議会6月定例会の本会議が6月27日(金)、市議事堂で再開され、前日に引き続き4人の議員が一般質問を行いました。
この日は、森林整備、機構改革、バイオマス事業、打当温泉旧館利用、大型店立地による既存商店への影響などについて質疑が行われました。
このうち、市のバイオマス事業への取り組みを問う質問には、「国でもまだ実験的な段階で、市では基礎調査中だが、特に木質系バイオマスは林野率などが高い当市にとっては風土に合った事業になる」と説明、現在具体的な事業化採択に向けた動きがあることを示しました。
また、打当温泉の旧館利用については、財政事情からすぐに整備ができないことに理解を求めるとともに、このたびの岩手・宮城内陸地震以来、110人ものキャンセルがあったことを報告しました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
庄司 憲三郎 議員(形成会)
順位:2−1
1.森林の整備について
全国植樹祭を機に、市民植樹祭を行なうべき
記念植樹(本支庁舎、学校等)の計画は
植樹祭で、天皇陛下が素手で植樹されたのを拝見して感動した。 森林の大切さを後世に伝えていくためにも市民植樹祭を実施することには同感。県でも今回各市町村に補助して植林を勧めるとともに秋に桜を59本植樹することにしており、それにあわせて植樹する場所、規模などについて検討する。
2.観光の推進について
森吉山ダム湖周辺の具体的な計画について
ダムの工事は平成23年完成をめざして順調に進んでいる。ダム湖周辺整備の基盤工事は国土交通省でやるが上物は市でやらなければならない 。様田地区の水道工事はやってもらっている 9月に水源ビジョン策定委員会を設置し、いろんな団体から出されているアイデアなども検討、整理して、今年度中に詳細な計画をまとめてダム工事事務所と協議し、財政状況などを勘案しながら市としての整備を進めたい。広報館は工事完了まで国で管理する。
3.危険家屋(倒壊家屋)について
美観上等からも、早急に処理すべき
地元自治会からも要望があり対応について顧問弁護士とも相談した。倒壊家屋は廃棄物ではないので勝手に処分できない。固定資産税の滞納もあるが、競売するにしても買い手はないと思われる。土地の所有者から建物の撤去を求めてもらうのが最善の方法だがなかなか協力を得られない。これからも粘り強くお願いしていく。
再質問
米内沢駅裏の崩壊家屋は
所有者の経済事情から解体は困難と思われる。(森吉支所長)
福岡 由巳 議員(共産党議員団)
順位:2−2
1.総合計画(実施計画)の「公共交通の確保」について
総合計画及び実施計画の「道路の整備及び公共交通の確保」の項目において、「道路の整備」に40億円、「公共交通の確保」には0円の財政計画であるが、実施計画を見直すべき
内陸線には毎年7千万円から8千万円、秋北バスにも4千万円から5千万円補助しているが、企業の経営事情に応じるので財政計画にはのせていない。
市民病院、大型店等へ行く際には自家用車に頼る場合が多くなり、内陸線利用者を増やす方策についてどのように計画しているか特に、市民病院への通院を円滑にするために、どのような方法を考えているか
大型店舗へのアクセスについては利用者の要望なども聞きながら既存商店との調整が必要なので時間を貸していただきたい。病院へのアクセスについては秋北バスと協議したところ早めに計画を示してもらえれば対応できるとのことでしたので開院に間に合うよう考えたい。シャトルバスも考えられるが他市の例をみると利用者が少ないようだ。秋までに総合的な交通計画をまとめたい。 スクールバスについては、生徒の安全、安心を優先しながら教育委員会と調整する。
「遊々ルート観光タクシー運行委託」は森吉山観光にとって重要であるが、委託料を0円にしたのは観光開発に逆行しないのか
タクシーの運行委託については、乗客数に対する補助のような形態をとっていたのでハイヤー協会から辞退された経緯がある。地区的な利用度の差もあるがあらためてハイヤー協会と協議しながら利用しやすいしくみを考えていきたい。
2.教育環境の充実と学力向上について
最近は命まで奪う事件が多いが、子どもをとりまく生活環境をどうとらえ、どのように育成しようとしているのか
県内でも女子生徒、女子児童を対象とした下校時の不審事案が増加しており、児童生徒が事件に巻き込まれないよう万全を期したい。学校でも避難訓練や安全マップづくり、自分で危険を回避する能力の養成を行い、PTAにも学校への送迎をお願いしている。大人不信を助長しないかとの懸念もあるが子供たちは元気にあいさつをしている。大人たちが子供たちを守っているとアピールすることが大事。スクールバスも一つの対策。(教育長)
昨年実施した学力テストで秋田県の平均点は上位とのことであるが、結果を分析して何が分かり、受験生には結果をどのように説明したのか
テストの結果は学校を通じて家庭に届けられた。学校でも結果を把握し生徒の個別指導に活用している。学科以外の質問事項もあり、北秋田市の児童、生徒は、きまりを守ること、やさしいこと、身の回りのことを自分ですることでは全国、全県平均より優っているが、家の手伝い、夢を持つことが劣っているため目的を持たせるよう指導に努めたい(教育長)。
経済協力開発機構(OECD)が実施した国際学力到達度調査(PISA)の結果から学力テストは効果があるのか。学力テストに参加せず、地域実情に合った創造的な教育実践を心がけるべき
教育委員会としては、各学校の校長先生に、子供の良さを伸ばす、子供の能力は千差万別でも学力を保証する、ものごとにしっかり取り組む心をきたえる ということを強調しながら、学力調査でわかった学校の課題を解決して学力の向上に努めるよう指導している。(教育長)
再質問
フィンランドの教育方法を参考にしては
テストで競争を助長するのを控えるべき
学校図書に関する財源の有効活用
新聞ではフィンランドの教育が注目されているようだが、学校教育では秋田が注目されている。学校は秋田に学べといわれているように市内の小中学校も学校としての機能を十分に果たしていると自負している。 テストは教育の課題に対応していくための子供の評価と考えている。 図書館では司書を配置して図書を整理しながら読書をすすめている。財源の増額については県や国に働きかけていきたい。
3.「機構改革」の基本方針について
合併協定書には新庁舎を建設するとなっているが、機構改革を行なうにあたり協定書の確認が先決と考えるが、財政難の折、破棄するものと認識してよいか「総合センター方式」で現在の支所を縮小する方向ではなく、分庁方式で阿仁部も「充実」すべきではないか20億円削減を人件費削減で解決しようとの考えに聞こえるが、地域経済衰退につながらないか地域経済を勘案し、柔軟に対応すべき
機構改革と建物とは別と考えている。支所の分庁舎化は考えていない。職員数については類似の小規模自治体と同等規模にすることをめざしている。雇用を目的とはしていない。財政の縮減は人件費のみでなく指定管理者制度の導入や施設の統廃合、経費の節約などを含めて進めていきたい。
公立米内沢総合病院は市立病院へ移行の予定であるが、職員は機構改革でどのように扱われるのか
米内沢総合病院は一部事務組合なので市の機構改革の対象とはしていない。病院のあり方についても地域にとってよりよい方式を考えていきたい
4.国保税の減免申請について
地域経済により、国保税の減免対象者が増えていると考えられるが、減免申請に関わって改善点 はあるか
市内では課税世帯の61%が減免措置を受けている。同意書は納税者の担税能力等を確かめ公正な課税を確保するために必要。納付書発行から減免申請できる期間については延長する方向で検討する。
5.入れ歯回収ボックスの設置について
不要入れ歯が世界の子どもたちを救う!とのことで「不要入れ歯回収ボックス」の設置を要望する
入れ歯の材料を再利用して得られる収益の40%がユニセフ、40%が自治体の福祉団体、20%はNPOの経費に還元されるので進めたいと思う。調査の上回収BOXを設置していきたい。
松尾 秀一 議員(新創会)
順位:2−3
1.市のバイオマスについて
木質バイオも有効なものの1つとして考えるべきと思うがどうか。市ではどんなバイオマスタウンを考えているのか
市の林野率が84%であることや製造品出荷額において木材・木製品が23%とトップであること、また、県のバイオエタノール推進戦略研究会では、県北地域を木質系バイオの推進基地として位置づけていることなど総合的にみれば、木質系バイオマスが有力な分野であると認識している。しかし、国でもまだ実験的に取り組んでいる段階であり、現在策定委員会において基礎調査中。
一般論としては、家畜や食品食油廃棄物、下水汚泥、製剤工場残材、建築廃材、間伐材などが資源として考えられ、それぞれ生産者、利用者への聞き取り調査やアンケートなどを実施している。再利用の形態としては、堆肥化、暖房用燃料化、動力用燃料化、発電用燃料化などが考えられる。特に木質バイオについては、現在具体的な事業化について関係者に働きかけている。
2.合併後の負担金、補助金、使用料金等の見直し統一について
合併4年目になるが、何%位見直ししたか。していないものの主なものは何と何か。何年をメドに見直しし、全市同じにするのか
合併協議会の協議に基づき、平成19年度までにほとんどの事務事業で統一した。ただ一部、上水道関係(簡易水道料金、量水器使用料、水道加入者分分担金)、下水道関係(使用料、農業集落排水施設使用料、合併処理浄化槽設置事業)などが未調整のため、今年度水道料金審議会、下水道事業運営協議会を設置し、協議する予定。
3.スキー場について
阿仁スキー場への今後の助成は
阿仁スキー場は、市はもとより秋田県の観光を支える大きな柱。地域経済への波及効果も高い。4月にシティ社からゴンドラ運航休止の申し出があってから県と連携を取りながら協議を進めている。
高地トレーニング合宿の誘致を
阿仁高津森のクロスカントリーコースは、全日本公認コースになっているなど合宿地として優れている。しかし、多くは田沢湖、鹿角のように総合スポーツ施設を有する場所で行われているのが現状。厳しいが、合宿は現地への滞在期間も長く、地元宿泊施設にもメリットがあるので誘致を働きかけたい。
スキー場の整備と整理
市のスキー場は、薬師山スキー場、湯口内スキー場、松森スキー場・ジャンプ場、打当温泉スキー場、高津森クロスカントリーコースの6カ所。湯口内、松森スキー場は、利用客が減少、またジャンプ場は規格に合わなくなり、利用者は花輪スキー場を利用しているのが現状。吉田クロスカントリーコースは、使用しなくなってから時間が経過し、相当な整備が必要なこと、コース内に私有地があること、現在の高津森に公認コースがあることなどから、継続利用は難しいと考えている。(教育長)
4.内陸線について
職員の時差出勤を65才以上の乗車運賃半額に特産品の車内販売を
内陸線での通勤利用を推進することを目的に、職員の時差出勤を5月1日から実施しているが、時差出勤の利便性を高めるためにも内陸線ダイヤの調整なども図りたい。利用者は学生以外は65歳以上がほとんど。半額にすると収益にも影響する。会社では、「こまち乗り継ぎフリーきっぷ」、2種類の「ホリデーフリーきっぷ」「湯けむりクーポン」等の割引切符を販売しているのでぜひ利用してほしい。また、急行列車では、車掌が飲食物やキーホルダー、携帯ストラップ等の内陸線オリジナルグッズを車内販売している。
5.打当温泉について
打当温泉旧館を改装すべきと思うが、どうか
現在の新館は12室で定員は40人。一定数以上の団体客に対応できないのが課題。そのため、6部屋、定員24人の旧館を提供しているが、築28年が経過し老朽化が目立つようになっており、風呂は使えず、トイレは共同であるなど利用者に不評。また冬場は廊下などの暖房効果も弱く提供できない状況。施設の改装には、館内の冷暖房などかなりの設備投資が必要であり、財政事情を踏まえながら検討したい。なお、このたびの岩手・宮城内陸地震の影響で、打当温泉では発生後110人、森吉山荘では96人のキャンセルがあったことをお知らせしたい。(副市長)
米澤 一 議員(千光会)
順位:2−4
1.大型店開店後の市内一般小売業の実態について
市内の売上げの変化旧鷹巣町他の商店の雇用状況
開店からまだ1カ月。イメージでの減少の話はあるが、数字的な資料はいまのところない状況。雇用への影響も同様。現在商工会では、影響等についての調査を、ある程度期間をおいてから実施することを計画しているので、商工会とも協議し、情報把握に努めたい。
なお、商店街に空き店舗が増えたのは、従前からの傾向で決して大型店が立地したことがきっかけになっているわけではない。また、日用品などの買回り品は、市内の消費者は以前から大館市などの大型店で購入するなど、消費の圏域外流出が課題になっていた。それが「足止め」になり、地元で消費するようになったことはむしろ望ましい姿。個々の商店でのメリット、デメリットは生ずるが、政治は住民の利害の最大公約数で進めるべきものと考えている。
旧町内外の土地評価
固定資産税の評価替えは3年に一度。平成6年度の評価替えから宅地の評価は、地価公示価格の7割をめどに均衡化、適正化を図っている。バブル景気崩壊後のあたりから土地の下落傾向が続いており、平成12年度以降は3年に一度の評価替え以外に宅地については毎年下落修正を行っている。鷹巣地区でも特に商業地では下落率が大きく、平成15年度以降は毎年5%〜15%ほどの下落率で動いている。今後も下落の幅は小さくなってきているものの、新しくできた商業地以外はまだ下落傾向にあると思われる。
2.後期高齢者医療制度について
社会保険等の扶養家族と国保の扶養家族との対応現実に低所得者はどうなっているか受診者への対応は今の制度では高齢者にとっては不満がある
この制度は、老人医療費の増大を緩和するために、医療費とした使った分はその本人に負担してもらう、という考え方から始まったもの。保険料は年金から天引きされることなどに抵抗があるようだが、いずれは納めなければならないもので、また家族全体をみると原則として負担が増えているわけではない。国民健康保険の財源のことを考えても現行制度のもとで適切な対応に努めたい。
市の国保税と比較しても、一部を除き高齢者単身世帯、高齢夫婦世帯で国保から高齢者医療制度に移行された方々、すべて新制度の保険料の方が安くなっている。
3.今後の財政について
起債のこれからの対応について
市では、財政の硬直化を招くことを抑制するため、単年度発行額がその年度の元利償還金を上回らないようにすること、また地方交付税等財源措置が講じられる事業債を活用するなどの工夫をしている。地方債残高は、平成18年度に地域振興基金造成のための借り入れを行ったため、残高は279億円まで増えた。今後は、地方債残高を増やさない財政運営を継続することで平成22年度末には約258億円(21億円の減)になる見込み。
歳入見込みについて
普通交付税の合併特例による優遇措置は、15年という期限があり、最終的には現在のおよそ90億円から、14億円程度減額となる見通し。地方交付税は、国の地方財政計画によるところが大きく、不確定要素のあるため、平成19年度から平成22年度まで、対前年比で0.5〜3.2%程度減少する見込みで試算している。
繰入金は、財政調整基金残高が年々減少していることなどから、合わせて減少する見込み。また各種事業の実施にあたっては、緊急性、重要度、優先度、費用対効果などの総合的判断が必要。