2008年05月21日
コンテンツ番号2298
合川地区、阿仁川と小阿仁川の合流付近
(2008.5.21)
合川地区の阿仁川と小阿仁川との合流地点で5月20日、田植えをしていた住民から鶴に似た鳥を見かけたと情報が寄せられました。
市教育委員会で確認したところ、特別天然記念物の丹頂(タンチョウ)鶴ではないかと見られています。
連絡を受けて合川支所の職員が現地に行ったところ、天候は土砂降りであったものの、悠々と水田や耕起された田のなかを歩いて何かを見つけてはついばみ、時折一本足で立ったりしていました。
この鳥がいた場所は、阿仁川と小阿仁川で昨年の豪雨災害で堤防が決壊した付近で、修復された堤防の側の水田地帯です。
タンチョウヅルらしき鳥は、頭頂部に赤い部分があり、首や足は黒、風切羽の部分が黒であり、鳥の写真を市生涯学習課で確認したところ「写真で見る限り、特別天然記念物に指定されているタンチョウのようであるが、首や足が少し灰色がかっており、体も小さいことから幼鳥である可能性も高い。今の時期にこの辺にいることを考えると飛べない可能性もあり、保護が必要であるか確認する」との見解。
翌21日の朝には、同地区福田付近に移動していたとの情報も寄せられており、鳥を見かけた住民は「2,3日ぐらい前から見かけていたがサギの一種かと思った。サギとしては大きく、もしかしたらと思っていたが、やはり鶴であったとはびっくり」と話していました。
市生涯学習課は「上杉地区周辺で10日ぐらい前から目撃した情報もあり、近くのいろいろな場所で目撃されていることから、移動等問題がないと考えられる。健康そうであり、特段、保護等の必要はないようだ。今後もしばらく同地区内に留まる可能性もあることから、希少な動物であり飛来することもまれであるため、見かけた方は、傷つけたり驚かしたりせず温かく見守って欲しい」と話しています。
◆タンチョウは丹頂鶴(タンチョウヅル)とも言われ、(丹頂; 頭頂が赤いの意、学名:Grus japonensis 英名Japanese crane)は、特別天然記念物とされており、天然記念物のうち、世界的に又は国家的に価値が特に高いものとして特別に国が指定されたものをいい、アホウドリやトキなども指定されており、タンチョウは昭和10年8月27日天然記念物指定、昭和27年3月29特別天然記念物指定となっています。
また、環境省では、絶滅のおそれのある野生生物の種を絶滅危惧種として、レッドリストを作成していますが、タンチョウも個体数も少なく、絶滅の危険があることから、絶滅危惧類(VU)、絶滅の危険が増大している種として認定しています。
そのため、捕獲や殺傷、損傷、個体の譲渡等が法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)で禁止されており、違反した場合は罰せられることになります。
◆「タンチョウ」の生態について(環境省ホームページから)
タンチョウは通称「ツル」の名で広く知られ、折り紙の「折り鶴」や、「鶴の一声」のような言い回しに残るなど、昔から日本で親しまれている動物のひとつです。
タンチョウは日本で繁殖する最大の鳥で、国内では北海道に分布しています。国外では極東のアムール地方を中心に東アジアに広く分布しています。昭和27年には国の特別天然記念物に指定されています。
体は約1.4m、翼を広げた長さは2.4mと巨大で、オスはメスよりやや大きな体をしています。
頭頂は皮膚が赤く露出していて、顔から喉・首にかけてと風切羽の一部は黒色、それ以外は全身白色です。
くちばしは長く黄褐色で、脚はとても長く黒色です。
大陸の個体群は1,000km以上の渡りを行いますが、北海道の個体群はあまり移動せず、繁殖地と越冬地の移動距離は最大でも150km程度です。
食物としては魚類、カエル類、水生昆虫、タニシ類、エビ類などの水生動物や、穀類、草本の種子や茎など広範囲です。
2月下旬から4月上旬にかけて湿地上で営巣・産卵し、1〜2卵を産みます。
4月下旬からふ化が始まり、ヒナはふつう数日で巣を離れます。
8月下旬から9月上旬には飛べるようになります。
かつては北海道全域に生息していたものと考えられていますが、明治維新後の開拓によって生息地の湿原が開発され、一時は絶滅したと考えられていました。
1953年に道東の湿原で、33羽が確認され、その後冬季の給餌によって数を増やし、2000年には約740羽が確認され、2003年には、生息数が1,000羽を超えるまでになりました。