2008年03月08日
コンテンツ番号5107
K2登頂の小松由佳さん、全国植樹際100日前イベントで講演
100日前イベントで講演する小松由佳さん。大好きな山登りに情熱を傾けて行くことのできる自分でありたいと熱く語りました
世界で2番目の高峰「K2」(8611m)の登頂に、日本人女性として初めて成功した小松由佳さん(秋田県出身・東京都在住)が8日、北欧の杜公園で開かれた「全国植樹際100日前イベント」で講演し、中国とパキスタンの国境にある「K2」制覇の体験談を披露しながら、登山と大自然への熱き思いを語りました。
小松さんは、1982年9月、秋田県生まれ。高校で登山部、東海大学では山岳部に籍をおいて山登りに励みました。特にヒマラヤへのあこがれを抱くようになって、大学在学中に中国や韓国の山々の登頂を経験。その後、2006年8月に東海大学登山隊の一員としてK2を登頂。この偉業が認められて、これまでに秋田県民栄誉賞や植村直己冒険賞などを受賞しています。
講演会は、市民らおよそ150人が聴講。小松さんは始めに、「世界の登山家の中で、憧れも恐怖もともに一番の山。もしや死ぬかもしれないという不安が渦巻いたが、与えられた最高のチャンスゆえ挑戦してやろうと自分に言い聞かせた」と述べ、強い決意のもとに臨んだ自分自身の最高の冒険でもあったことを強調しました。
現地・パキスタンに入ってからK2登頂までの様子を撮った写真をスクリーンに映しながらの説明の中で、△パキスタンの風土と人々を好んだ△K2を仰ぎ見たときは不安と緊張の鳥肌が立った△雪崩、落石の恐怖に慄いた△登頂の思いはやっとの「安堵感」と下山の「恐怖感」の半々であった△頂に立って丸い地球を感じた△下山は暗黒のさ迷いの感があった―などと語りながら、まさに生と死の境界線上の往来を「極度の緊張感があったからこそ、自分が生きていることを強く実感できた」と振り返っていました。
今回の登頂を通して、「自然の偉大さと、その自然の中での人々の営み、人々の繋がりがすばらしいことであることを学んだ」と話し、山と天候の脅威に直面しながらも現地住民の思いやりと相棒との強い絆に大きな感動を得たことを力説しながら、「情熱が可能性を形づくる」が自分の信条としている言葉であるとして、大好きな山登り(クライミング)に情熱を傾けていくことのできる自分でありたいと、熱っぽく語っていました。
講演の締めくくりに小松さんは、「巨大な氷と岩盤のヒマヤラ山脈のアタックに魅力は尽きないが、私の山登りの原点はすがすがしい空気と緑あふれる風景で、最終的に心の中にたどり着くもの。地元秋田の山々とブナの原生林などは宝物の存在であるので皆で愛し、大切に守り育てて行こう」と、日々の暮らしの中に大切な自然の豊かさを再認識しながら、緑の環境保全に努めていくことが重要であることを述べていました。
なお、講演会のあと、小松さん、寺田典城秋田県知事、岸部陞北秋田市長の3氏による意見交換会が行われ、将来における秋田県の緑の環境づくりや全国植樹祭の意義、期待などについて、聴講者の高校生とのトークなどを交えながら語り合いました。
(2008.3.8)