2009年11月21日
コンテンツ番号5745
初企画「北秋田の建造物巡りツアー」
国指定重要文化財・金家住宅など、市内の史跡や歴史的建造物を巡るバスツアーが11月21日(土)、行われ、約50人の参加者が、先人の暮らしや技術に理解を深めました。
訪れたのは、昨年、出土品が国重要文化財に指定された綴子の胡桃館遺跡出土品収蔵庫、市指定文化財の七日市・長岐邸、国指定重要文化財の本城・金家住宅の3カ所。いずれも普段は一般公開されておらず、見学の希望が多いことから、北秋田市教育委員会がこれらの文化財を巡るツアーを初企画したもので、大館市や能代市からの参加もありました。
見学は午前と午後の2回行われました。最初の見学先である胡桃舘遺跡は、西暦915年の十和田湖火山の噴火によって発生したシラス洪水で埋没したといわれている平安時代の遺跡。これまでの調査で、建物4棟と柵列が2列、掘立柱列のほか、木簡(文字が書かれた木札)、墨書土器片などが見つかり、建築部材などの出土品が鷹巣中学校敷地内の収蔵庫に保管されています。
当時の建物が建ったままで残っていた例は、奈良・京都の神社、仏閣を除いてほとんどなく、歴史的、考古学的な価値が高いことなどから、出土品436点が平成20年に国重要文化財に指定されました。
参加者は、建物の土台部分に使われた天然秋田杉の長さ12mの土居(どい)が、1千年もの間土中にあったにもかかわらず腐らずに残っていたことなどを知り、驚いていた様子でした。
同じく平成20年に国重要文化財に指定された金家住宅は、東北地方では数少ない大型の和洋並立住宅。阿仁地方有数の地主として土地経営を行うかたわら、農村の青年教育に尽力するなど地域の発展に貢献した金家の9代目当主故金逸郎さんが昭和3年に建てたものです。約1200坪の敷地に洋館、和館、文庫蔵、米蔵が配置されており、幕末頃の築造といわれる庭園は、建物とよく調和しています。
洋館は、大正期に別荘建築などとして各地にあった洋風建築の意匠を取り入れて建てられたもので、内部では畳敷きの生活様式を基本として現在も金家が使用しています。大型の和風住宅である和館は2階建ての廊下で洋館とつながっており、内部は、良質な天然秋田杉を素材として透かし彫りが施された欄間や、庇縁の八間通しの桁など、今では見られない意匠と職人の技が見られます。
一方、七日市・長岐邸は、江戸時代初期から七日市村の肝煎りを代々務めた長岐家の邸宅。文政13年(1830年)に建てられたもので、秋田藩主佐竹侯の本陣や昼食所にもなるなど、肝煎屋敷の様子を伝える数少ない建造物として市の有形文化財に指定されています。
参加者は、時代を越えて残るそれぞれの施設や建造物を見学し、歴史のロマンに思いをはせていたようでした。
(2009.11.21)