2009年10月11日
コンテンツ番号5796
直木賞作家 渡辺喜恵子先生を偲ぶ会
(2009.10.11)
北秋田市ゆかりの直木賞作家の功績を語り継ぐ「渡辺喜恵子先生を偲ぶ会(主催:能代北高等学校松蔭会鷹巣支部)」が10月11日(日)、市文化会館とみちのく子供風土記館で開かれ、親交のあった人など約250人が参加して、渡辺さんの思い出を語り合いました。
渡辺さんは、大正3年仙北郡檜内村(現仙北市)生まれ。2歳のときに父の仕事の関係で旧鷹巣町に転居し、能代高等女学校まで過ごしました。昭和34年に「馬渕川」で直木賞を受賞。主な作品は「タンタラスの虹」や「万灯火」などがあります。平成9年に脳梗塞のため82歳で亡くなられました。
また、執筆活動のほか、ふるさと「鷹巣」と深くかかわった活動もしており、平成元年には、お年寄りが子どもたちに昔の遊びや生活を伝える場にしてほしいと「みちのく子供風土記館」の建設基金を旧鷹巣町に寄附し、建設に大きく貢献しました。
偲ぶ会は、渡辺さんが卒業した能代北高校松蔭会鷹巣支部(小林晉子会長)の主催。今年は、渡辺さんの13回忌にあたり、作家活動の功績を振り返り、地域に根ざした文学作品の継承しようと開催されました。開会にあたり、小林会長は「今日は渡辺先生とご縁が深かった人や同窓生など、遠くは東京や秋田市からおいでいただいた。先生を偲び心に残る会にしたい」などと感謝の言葉を述べました。
また、佐藤唯直副市長は「普段は、読書でしか味わうことのできない名文の響きを耳でも堪能したい。優れた文学者の功績を、若い世代に伝えていきたい」などとあいさつ。
第1部では、渡辺さんの後輩にあたる鷹巣小学校の4年生から6年生23人が、「みちのく子供風土記」に描かれた80年前の鷹巣の街並みや子どもたちの姿を、元気よくはっきりした言葉で読み上げました。児童一人ひとりの朗読が終わるたびに会場から大きな拍手が送られました。
また、能代北高校の生徒たちは、直木賞を受賞した「馬渕川」を、朗読ボランティア「やまびこ」のメンバーが「湯治場風土記」を表情豊かに朗読し、作品の魅力を伝えました。
第2部では、渡辺さんと親交が深かった女優 浅利香津代さんが「渡辺先生の思い出話」と題して講演。浅利さんは1998年に秋田県内や東京都で公演された、渡辺さんの作品「タンタラスの虹」を原作とする一人芝居「足の裏の神様」が初日を迎えるまでの経緯や、作品への思い入れなど説明しながら、渡辺先生とお会いしたとき「私はもう80歳。あまり時間がありません。あなたに私の作品を2本お渡しします。秋田の話です。あなたの秋田の血と情熱でひとり芝居をやってほしい。あなたのパワーで作品を生かしてほしい」と作品を託された逸話などを紹介しました。
第3部では、隣接する「みちのく子供風土記館」に場所を移し、餅つきやだまこ鍋で会食しながら、生前の逸話や渡辺文学の魅力を語り合いました。