2009年08月22日
コンテンツ番号6576
北秋田市民病院住民説明会
(2009.8.22-23)
2回目となる北秋田市民病院住民説明会が8月22日から23日、市内4会場で行われ、津谷市長が集まった市民に市民病院開院日変更についての経緯と現状、今後の方針について説明しました。
22日(土)、10時から合川環境改善センターで行われた合川地区の説明会には、市民約70人が参加。
はじめに、津谷市長が「去る7月28日に厚生連の理事長と常務が来庁し、口頭で10月1日の市民病院開院は難しい旨の報告を受けた。理由は、医療機器及び医療情報システムの整備が間に合わないとの事。その後、同様の内容の文書が市に提出された。
私は市長に就任以来、市民病院を市民の生命と健康を守る病院として、10月の開院を目標に進め、指定管理料についても苦渋の選択でったが、従来の市の方針を変えて取り組み、1日でも早い市民への安心安全の医療提供に向けて、厚生連との信頼関係の元に真剣に取り組んできた。今回の開院日変更については非常に残念であり、大変悔しい思い。厚生連の開院延期の理由は、「医療機器及び医療情報システムの整備が間に合わない」ということ。それでは何故、準備が遅れたのか、間に合わなかったのか。厚生連の説明では、厚生連自体の組織として、基本協定の締結が第1であり、基本協定に合意しない限り、市民病院の運営に関して、何一つ関係備品が発注できない、準備を進めることができない、そういう状況にあったということで、この基本協定の締結は、厚生連としては、今後30年間の病院経営に大きな影響を及ぼすため、具体的な内容をしっかり確認・合意したいという事であった。
昨年の10月から、指定管理の内容について、市と厚生連、双方で協議を重ねていましたが、最大の争点となったのが、市民病院の赤字が発生した場合の対応。昨年の10月から、厚生連では病院運営における赤字を何とかして欲しいと、市への申し入れがあり、市としては、これまで市議会に前市長が答弁しているとおり赤字補填は出来ないということで、平行線の状態であり、このことが原因で基本協定の合意に至ることが出来なかった。この間、厚生連では病院開院に向けて何の準備も進められないそういう状況にあった。
私が就任して、苦渋の選択ではありましたが市の指定管理の方針を転換したことにより、厚生連との懸案であった病院の赤字額を市で補填する方向を示したことにより、ようやく厚生連でも、開院に向けて動きだした。
しかし、開院に向けて動いたとしても、医療機器の整備には、相当の期間が必要になり、10月の開院には、間に合わないというのが、今回の厚生連の市民病院の開院日の変更協議に至った理由。
今年の10月の病院開院については、昨年の10月に厚生連に対し「指定管理者の指定通知」という文書で指定管理期間が今年の10月からと、明記されて厚生連に通知されている限り、厚生連自体で10月の開院に向け、医療機器の準備等を進めるべきであったと考える。しかしながら、運営をする厚生連で期間的に間に合わないという事実を真摯に受け止め、現実を見据えて来年の4月の開院が最良であると考えている。皆さんの忌憚のない意見を伺いたい」と説明しました。
続いて、担当者から資料に基づき、開院予定が10月から22年4月に至るまでの変更協議の経緯、検討と方針について説明しました。
説明内容
1 市民病院の開院日変更協議の経緯
7月28日(火) 秋田県厚生農業協同組合連合会
佐藤理事長・佐藤常務・担当1名 計3名 北秋田市来庁
(医療情報システム等の整備の関係で10月1日の開院は無理である旨報告され、開院日の変更の申し出。)
7月31日(金) 「北秋田市民病院指定管理者の指定期間の変更について(協議)」文書により市に提出。
- 変更内容
指定期間について、平成21年10月1日を平成21年12月1日以降の日付に変更すること。 - 変更事由
基本協定締結を前提とし開院の準備を進めるが、医療機器及び医療情報システムの整備に、相当の期間を要するため。
※ 平成21年8月11日(火)北秋田市議会全員協議会において
質問 | 回答 |
---|---|
延期の理由 | オーダリングと呼ばれる医療情報伝達システムが発注できなかった。厚生連の組織としてメーカーへの発注書は、基本協定を締結した上でなければ出されない。基本協定の締結を一番に考えていたが、基本協定を結べないことが原因である。 |
基本協定の締結が遅れた原因 | 昨年9月の時点(議会が指定管理者を指定)で、基本協定・年度協定の詳細に不透明なところ、合意できないところがかなりあった。病院経営で生じる赤字をどちらが負担するか決まるまでは、厚生連の組織として決められなかった。市が新体制となって赤字を補てんする方針をきめた5月以降、急いだが間に合わなかった。 |
開業が遅れた責任は、どちらにあるか | 市といろいろ相談しなければならないところがあると思う。 |
開院時までの病院の維持費はどうなるか | 限られた時間だったが、厚生連も市の申し出を受けて協定書にゴーサインを出し、最短でやってきたが、どうしても間に合わなかった。責任については、市と協議する必要がある。取得検討中 |
2 検討と方針
市は、平成21年10月1日の市民病院開院を目指し、取組んでまいりました。10月の開院は、入院患者の移送等を考慮し季節的に温暖な時期を想定したものであります。しかし、厚生連から、医療機器等の整備の関係から物理的に10月開院が不可能であることから、開院日については再度検討するものです。
【検討】
厚生連の申し入れは、12月以降の開院を求めるものであり、早くて12月の開院が想定される。しかし、市としては、12月開院について、次の点が懸念されるところである。
ア. 一般的に新規 システムの導入及び医療機器の設置或は移転する場合、関係機器の連携等、試運転を十分に行う期間が必要であることや、それに伴い、専門職員の研修期間、加えて市民病院利用者の動線等全職員での確認期間が必要である。このような、体制が整えられるかが心配である。
イ. 入院患者の移転時期として、寒い時期より温暖な時期が望ましい。 また、市の財政負担についても21年度中に開院した場合、数ヶ月の開院時期にも関わらず、高額な指定管理料が必要となる。一方、開院の延期に伴う市民病院の維持費については、1ヵ月当り約13,000千円の維持費が見込まれており、平成21年度及び平成22年度の市の財政負担を表わしたものが、次の表となっている。
開院日 | 平成21年度 指定管理料 |
平成22年度 指定管理料 |
計 | 維持費 | 合 計 |
---|---|---|---|---|---|
H21.12.1 | 311,247 | 350,177 | 661,424 | 26,000 (10月〜11月) |
687,424 |
H22.4. 1 | 0 | 431,679 | 431,679 | 78,000 (10月〜3月) |
509,679 |
【方針】
開院時期の遅れにより、病院の維持費等は発生するものの、開院後の医療体制の充実や患者移送時期が大切であると考える。また、市の財政負担についても21年度の開院より22年度の開院が少ないこともあり、総体的に判断すると開院時期は平成22年4月が適切であると考える。
◎参加者の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
合川会場≪参加者約70人≫
-
平成21.12.1開院と平成22.4.1開院で平成22年度指定管理料が8000万ほど増えるのは、厚生連が新規購入した医療器具の減価償却費が増えるためと説明があったが、それは厚生連が負担すべきで指定管理料に含めるのは問題ではないか。
指定管理料の変更で、年度収支計画の不足分を指定管理料として支払うこととしたので、厚生連で購入した減価償却も病院経営の経費と見られるため、収入に対する経費として指定管理料に跳ね返って指定管理料が増える。 -
厚生連の理事長は県からの出向者と聞いてるが、副市長も前任が県職員でお互いに県職員同士であった方々が、なぜここまで具体的な意見をしていなかったのか。
現在の理事長は、7月に県から出向した方で、これまでは厚生連の中から理事長が就任していた。前理事長と何度か交渉したがなかなか進まなかった。現理事長になってから厚生連の状況が具体的に市に伝えられるようになった。また、理事長のほかに2名の県職員が厚生連に派遣されており、その職員が厚生連の窓口となって進めていることから具体的に進展するようになった。 -
厚生連として北秋田市民病院がどのような方向で経営していけばよいか、経営診断をするという内容のものを見たが、その経営診断料も市が負担するのか。
これまで、病院経営に関する収支計画など数的なものはすべて厚生連側から提示されたもので、市としては監査委員や担当職員もいるものの、一般企業経営や行政と病院経営は違うため、市として是非の判断ができなかった。市から支払われる管理料は税金なので、市として病院から出た数字が適確かどうか見極めるための経営診断料を予算計上。 -
公設民営化の趣旨は赤字を補てんしないではなかったのか。また、9月議会提出の指定管理協定の変更内容について。
本来、県民・市民の医療を守るのは県がやるべきだが、秋田県ではこれまで厚生連が、県内に9か所に総合病院を建設して県内の医療を担ってきた。これまでは安定した経営をしていたが医療制度の改正等により赤字経営になり、県としても厚生連の運営費に対して補助を出すようになった。市民病院ができたときには市民の健康と生命を守るための医療には公的負担をしなけらばならない。しかし、市としても指定管理期間、指定管理料として赤字補てんをすることは大変でありそのため、厚生連に対しては医業収入を上げるよう医師確保に努めるように働きかけるとともに、支出を抑えてもらうようチェック体制を整えていきたい。
指定管理期間を10月から平成22年4月への変更、10月から3月までの維持管理料、収支計画のチェックのための経営診断料です。
鷹巣会場≪参加者約180人≫
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昨年の9月議会で指定管理者として議決してから、今まで厚生連とどのような協議をしてきたか。今頃になって開院延期とは、詰めが甘いのでは。
厚生連としては、指定管理者の指定を受けたものの、赤字の取り扱いについて方針が決定できないと、基本協定が結べない状況にあった。前市長が、2月議会で赤字負担はしない旨の発言があり、交渉が凍結した状態となった。私が、6月に苦渋の選択として、赤字は市が負担する方針を表明したが、基本協定が結ばれていないため、医療情報伝達システム等の準備が整わず開院延期となった。以上が協議の経緯であるが、この間も何度となく厚生連と協議は進めてきている。両者の間で10月開院という共通目標という認識で進めてきたが、それが守られず残念に思う。また、市民の皆さんに対して、大変申しわけなく思っている。 -
厚生連では、開院延期の責任を市と相談しなければならない。としているが、維持管理費等の負担はどうなるのか。
厚生連は12月以降の開院は可能としているが、市としては、冬期の患者移送や十分な医療機器の整備をするため、4月の開院が適切と判断した。10月から12月までの2カ月間の維持管理費については、これから厚生連に要求していく。 -
市民病院にかかる借金の具体的な返済方法は。
元金ベースでは、起債は68億円。うち66億5千万円が30年償還と、1億5千万円が5年償還。この期間22億5千万円が交付税として算入される。 -
市民病院をいい病院にするにはどうしたらいいのか。何とかいい医師をつれてきてほしい。
有名な医師も含めて市民病院に医者を確保できるように、様々な方の人脈を使いながら継続的に粘り強く交渉していきたい。7月から非常勤ではあるが、内視鏡の先生が秋田から北秋中央病院にきていただいている。多くの患者さんが来てもらえる病院になるよう、そして医業収入を挙げられるよう一生懸命努力する。 -
阿仁病院は、入院なしの診療所となったが、米内沢病院はどうするつもりか。
4月に市民病院が開院するまでは、現状維持としたい。その後については、入院や診療科目の縮小を含めて検討したい。今月中には、方向性を出したい。 -
厚生連経由ではなく、市と北秋中央病院の医師やスタッフと話し合いの機会をもってはどうか。
是非、現場の意見や問題を話し合う機会を作りたい。
阿仁会場≪参加者約70人≫
-
延期の理由が、基本協定が結ばれなかったこととしているが、そうすればいつになったら結ぶのか。
基本協定を結ぶためには、10月1日の指定管理期間の開始日を変更しなければならない。市では、状況を踏まえ平成22年4月1日の開院として指定管理期間の開始日を変更したいので、9月議会に変更を提案する予定。この提案が議会から承認いただければ、9月末にでも基本協定を締結したい。 -
10月の開院は、昨年の9月議会で議決されたはず。今回の延期については、今度の9月議会で審議されると思うが、もし否決されたらどうするのか。
開院日の変更については、このような形で住民説明会を開いて市民の皆さまにご理解をしていただくとともに、先の8月12日には市議会全員協議会でも理解を得るように務めていますので、否決されたらということについては想定していない。 -
市民病院の医師数は19人とされているようだが、その中から退職者もいると聞こえてきているが、大丈夫か。
全国的に医師不足が起きている中、市としても厚生連としても医師確保に努力しなくてはならない。7月から中央病院に、大腸がんの権威で昭和大学の工藤進英先生のお弟子さんで、秋田市で開業している2人の医師が交代で週1回ですが非常勤という形で来ていただいている。また、地元の開業医の皆さんにもお願いして、様々な方法で医師確保には務めていきたい。 -
スタートからこういう状況で、厚生連と信頼関係の元にこの先やっていけるのか。有利な条件を飲まないと病院はやめるよと、市は厚生連に足元を見られている状況ではないのか。これだけ市民を敵に回した厚生連と信頼関係が得られるのか。
厚生連は、県に代わって県内9ヶ所で地域医療を担っている。医療制度や診療報酬が変わり、病院経営が厳しくなってきた。厚生連自体も制度が変わるまで黒字で運営してきたが、医療制度が変わり、医療収入だけでは負担ができない状況になっている。公的な病院は赤字の分を補填してやらなければ経営が成り立たない。しかし、その赤字を鵜呑みにして金を注ぎ込む訳にはいきません。私は、今回の一連の動きやこれまでの交渉を見ると、厚生連を100%信頼しているつもりはない。厚生連が試算した指定管理料(赤字)についても本当に正しいのか、もっと詰めることはできないのか、専門的な第三者の意見を取り入れてチェックしてもらう。指定管理者としてやっていく厚生連には、市としていろいろ注文をつけていく。 -
市が試算する指定管理料は。
指定管理料の算定は、入院診療収入と外来診療収入、その他の収入から、人件費や薬品代、医療機器の原価償却額などの経費を差し引いて、その不足分を指定管理料とするものですが、診療報酬は算定がしづらく、どういう医療行為をしてどのくらいの医療収入が上がるかは、実際、医療に携わった方でなければ試算は難しいので、市としては専門のコンサルタントを入れながら厚生連と指定管理料を決めていきたい。 -
北秋中央病院の外来者数と入院患者数は。
入院患者数は154人、外来者数は508人 (平成21年度、1日平均) -
開院延期の理由は、オーダリングシステムが間に合わない。基本協定が締結されていないからこの機械が注文できなかったとしているが、また来年の4月に、これこれが足りないとして延期しないように努力してほしい。
オーダリングシステムという、患者さんのカルテを含めた言わば病院を経営するにあたっての中心的なソフトそのものを、発注してテストをして稼働させるには時間が掛かるというのは、おそらく病院経営している人間は分かっていなければならないし、当然の話。これを協定書がなければ結べないと言うこと自体、厚生連に対し非常に憤りを感じるし、怠慢だと思う。これから交渉していくが、10月開院が12月以降という話しになったときに、その間の負担すべき指定管理料は、当然、厚生連が負担しなければならないと強く交渉していく。医師確保も含めて4月開院に向け誠心誠意努力していく。 -
新しい病院になると、交通手段は汽車とバスでと話されているが、開院の3ヶ月位前には見通しができると思うので、医師数や診療科、交通手段を含めてもう一度、住民の声を聞く機会を設けてほしい。
変更になったり、問題が起きたときだけ住民説明会を開くのではなくて、皆さんのお話を聞く機会も設けていきたいと思います。
森吉会場≪参加者約90人≫
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市民の命と健康を守るためには公費負担が必要で、苦渋の選択をされたようですが、赤字負担は市民病院だけでなく既存の病院も含めて財政に及ぼす影響は。
合併前にはそれぞれの町に中央病院、組合病院、阿仁病院があり、合併により市民病院が計画され指定管理者が厚生連になった。厚生連の試算によれば、指定期間の30年間で22億円が想定される。また、市民病院を含めた全体では、年間10億の負担が続くものと予想される。 -
市民病院はこれまで以上の良質な医療を提供するとのことですが、今ある中央病院とどこが違うのか。
当初計画の診療科目21科目については、今の段階では医師確保の問題で当初どおりにはいかないが、4月開院時には20人程の医師が確保できる予定で、今後も県、厚生連と一緒に医師確保に努め、当初計画に沿う形で良質な医療の提供できる市民病院にしたい。また、手術室、トイレなど前よりは環境が整備され良質な医療環境が提供できるものと考えます。 -
公設民営なので厚生連との信頼関係が必要だろうが、厚生連に病院の経営能力はあるのか。
厚生連は、県に代わって県内9ヶ所で地域医療を担っている。医療制度や診療報酬が変わり、病院経営が厳しくなってきた。厚生連自体も制度が変わるまで黒字で運営してきたが、医療制度が変わり、医療収入だけでは負担ができない状況になっている。公的な病院は赤字の分を補填してやらなければ経営が成り立たない。しかし、その赤字を鵜呑みにして金を注ぎ込む訳にはいきません。私は、今回の一連の動きやこれまでの交渉を見ると、厚生連を100%信頼しているつもりはない。厚生連が試算した指定管理料(赤字)についても本当に正しいのか、もっと詰めることはできないのか、専門的な第三者の意見を取り入れてチェックしてもらう。指定管理者としてやっていく厚生連には、市としていろいろ注文をつけていく。 -
4月からの開業で赤補てん額(指定管理料)はどのぐらいになるのか。
経営が改善されなければ年間3億円が試算されている。 -
昨日の説明会の質疑が新聞に載っていた中で米内沢病院について大幅縮小または診療所化と書いてあったが、先回の議会での存続の決議をどう考えるのか。
市民の中には、市の財政を考えると病院は市民病院一つでいいのではないかという意見もあれば米内沢病院は今まで通り残して欲しいという意見もあり、このことについては近々に方向を示したい。 -
4月開院でも当初計画の医師が確保できないのであれば、31名の医師が確保できるまで開院を遅らせればどうか、また、赤字補てんにより増税はあるのか。
建物ができている状況では4月に向け医師確保に努めていきたい。医師確保について7月から中央病院に、大腸がんの権威で昭和大学の工藤進英先生のお弟子さんで、秋田市で開業している2人の医師が交代で週1回ですが非常勤という形で来ていただいている。増税はありません。