2009年05月27日
コンテンツ番号6877
第4回ようこそ先輩 佐野東京芸大教授講演
(2009.5.27)
「第4回ようこそ先輩−スペシャリストに学ぶ」が5月27日(水)、県立米内沢高校(佐々木潤子校長・104名)で行われ、佐野靖東京芸大教授らが講演しました。
「ようこそ先輩」は、各界で活躍している先輩たちを招き、貴重な体験談や社会人としての心構えなどを聞き、生徒の意識改革や成長に繋げることを目的に行われています。
今回は、地元の偉人成田為三を学び、自分たちの郷土に誇りと自信を持ってもらいたいと、同校の生徒のほか、米内沢小学校4・5・6年生105名、合川高校の1年生45名も参加しました。
はじめに、佐々木校長は「一流の音楽に触れることができる素晴らしい機会。浜辺の歌はこの土地だけではなく、日本の宝物でもある。今日は、生演奏もしていただけるとのこと、生徒の皆さんも本物の音楽を楽しんでほしい」などとあいさつ。
佐野教授は「成田為三と日本のうた」と題して講演。「音楽は音が鳴っている時間が一番大事。同じ場所、同じメンバー、同じ演奏をすることは二度とできない。一生に一度しかない時間、音楽を大切にしてほしい」と生徒らに呼びかけました。
また、「音を通じて、演奏者同士また、聴衆と語り合うことができる。演奏者だけでは音楽は成り立たない。一生懸命聴いて、感じた気持ちを拍手で返してほしい。心の底からの拍手は演奏者の気持ちを燃え上がらせて、さらに素晴らしい演奏を引き出す力がある」と演奏者と聴衆のコミュニケーションの重要性を語りかけました。
さらに、「私は昔『ふるさと』という曲が嫌いだった」との例えから、「曲は年齢や境遇によって感じ方が変わってくる。無理に好きになる必要はない。『ふるさと』という曲は、年齢を重ねたり、故郷を離れて都会に暮らしたりすると曲の良さがわかってくる。自分の感じる気持ちや他人の感じ方の違いを認めることが大切。音楽はそれぞれが自由に感じてほしい」などと述べました。
続いて、声楽家佐藤容子さんの歌唱と佐野教授の伴奏で「この道」「宵待草」「浜辺の歌」「荒城の月」の4曲が披露されました。生徒らは美しい歌声と、呼吸のあったピアノの音色に、一曲ごとに大きな拍手を送っていました。
佐藤さんによる発声講座も行われ、発声の仕方について「胸やお腹で息を吸うことも大事だが、背中の間に息を吹き込むような呼吸が大切。背筋、腹筋など身体全体を使って声を出すようにイメージしてほしい」と自ら発声しながら生徒らに指導しました。このあと、生徒ら全員と浜辺の歌を合唱しました。
最後に佐野教授は「皆さんには、これからも「浜辺の歌」や「かなりや」など為三の音楽を歌い継いでほしい。そして、為三が奏でた素晴らしい歌曲が自分のふるさとにあることを誇りに思ってほしい。今日一緒に歌った「浜辺の歌」の響き合いはもう戻らない。でも一緒に歌った記憶は残る。この素晴らしい時間と音楽が思い出として、皆さんの記憶にいつまでも残ることを願っている」と生徒らに語りかけました。
佐野 靖(さの やすし) 東京芸術大学音楽部教授
- 1957年徳島県生まれ。東京芸術大学大学院(音楽教育専攻)修了。音楽学を服部幸三氏、音楽教育学を山本文茂氏に師事。
- 1990年文部省在外研究員として渡独(ミュンヘン音楽大学)。音楽科の教師教育、ならびにカリキュラム・授業研究を中心に研究を展開。音楽教科書(高等学校)の著者などの任にも携わる。
- 「日本のうた」に関しては『心に響く童謡・唱歌−世代をつなぐメッセージ」を刊行依頼、全国各地で「日本のうた」にかかわるレクチャー・コンサートを展開し、人材育成や普及活動に努めている。
佐藤 容子(さとう ようこ) 声楽家・ソプラノ
- 東京芸術大学音楽学部大学院生声楽家(ソプラノ)。平成20年5月首相官邸にて胡錦濤主席(中国)を迎えた晩さん会で日本歌曲を披露。国際ソロプチミスト受賞。