2009年02月08日
コンテンツ番号6923
森吉山ダムの利活用を考えるシンポジウム
「森吉山ダムの利活用を考えるシンポジウム」が、2月8日(日)四季美館で開催され、参加者がダム湖周辺の活用による地域活性化にむけた提言に耳を傾けながら今後の課題を考えました。
同シンポジウムは、森吉山水の郷ネットワーク(湊屋啓二代表)が主催したもので、雪が降りしきる悪天候にもかかわらず約60人が参加しました。
主催者として湊屋さんが、河川愛護活動などに取り組んでいる水の郷ネットワークを紹介しながら、「自然保護や漁協など7つの団体で、平成23年の完成が予定されている森吉山ダムの民間による利活用を考えている。豊富な資源を生かしながら誘客を図り、自然に接した豊かな暮らしを築いていくため、斬新なアイデアやヒントを掘り起こしたい」とあいさつ。
来賓を代表して岸部市長が「森吉山ダムは平成23年完成にむけて工事が順調に進んでおり、完成すれば、治水、利水、発電、灌漑と多方面に活用されることになる。当地は自然資源やマタギなどの文化遺産が豊富にあり、これらと結びつけながらレジャーや健康づくりなどに活用して地域の活性化を図っていきたい」などと期待のことばを述べました。
第1部では、「ダムを地域の魅力とするための発想」と題し、東京大学アジア生物資源環境研究センターの堀繁教授による基調講演が行われ、スライドを使って観光地などの例を示しながら人が集まりたくなる環境づくりの提言を行いました。
教授は、地域の活性化は人が集まって消費することとして「資源があるだけでは人は集まらない。もてなしの心で客を迎える空間づくりが必要。人が集まりやすくくつろぎやすい空間を丁寧に緻密につくること。平らな整地ではなくつま先さがりの地形にするなど集まった人たちが見る見られる開放的な景観にすること。くつろぐ場所のそばに開放的なレストランや店を設けること。人が集まればビジネスチャンスが生まれる。ダム湖周辺はいろいろ工夫の余地があり、まちの中の魅力づくりとともに客を受け入れるクオリティの高い環境づくりを進めるべき」と強調しました。
第2部のシンポジウムでは、堀教授をコーディネーターに、釣り東北社の佐々木清治代表取締役、田沢湖自然体験センターの佐藤裕之代表取締役、NPO法人冒険の鍵クーンの村田君子代表、それに湊屋さんがパネラーとして提言を行いました。
佐々木さんは、各地の釣りのイベントなどを紹介しながら「釣り人は大物を狙ってどこへでも出かける。ダム湖にサクラマスなどが生息、繁殖できる環境をつくり、釣りを楽しめる空間をつくるべき」と提案。
佐藤さんは、田沢湖でのカヌー体験ツアーなどを紹介しながら「森吉山周辺には知られていない部分がたくさんある。話題づくりと情報発信が必要。ダム湖にカヌーを浮かべて眺める景観もすばらしいはず。見せるポイントづくりを」と提言しました。
村田さんは、都会からの観光客を対象に自然と触れ合う体験型のガイドを紹介しながら「自然の生態や自然とふれあう暮らしを子供たちに伝えて行くことが大事。子供を巻き込めば大人も巻き込める。まちの近くにあるダム湖周辺の自然を活用した体験型のスローツーリズムを進めたい」と希望を述べました。
湊屋さんは、子供の情操教育をかねて秋田杉でカヌーをつくった取り組みや他の河川のPRなどを紹介しながら「売り込みの仕掛けが肝心。見る、体験する、食べるを組み合わせた特色を創って全国との差別化を図るべき」と提案しました。
最後に堀教授は、パネラーの提言を総括しながら、「客を迎えるホスピタリティを高めるテクニック、スキルアップの体制づくりが必要。どう売っていくか、アピールしていくかが課題。地域の人たちが自ら魅力を創っていくために工夫を始めるべき」と締めくくりました。
(2009.2.8)