2009年02月12日
コンテンツ番号6906
中央公民館公開講座「博物館の魅力について」
市中央公民館公開講座「博物館の魅力について」が2月12日(木)、同公民館で開かれ、参加者が秋田県立博物館の役割や活動について理解を深めました。
講座は、県立博物館の出前講座として開催されたもので、同博物館の高橋正学芸主事が講師を務めました。
県立博物館は、秋田県の考古、歴史、民俗、工芸、生物、地質に関する文物を展示・研究する総合博物館。昭和50年に開館し、平成8年には菅江真澄資料センターと秋田の先覚記念室がオープンしました。平成16年には施設の老朽化、調査研究の進展、生涯学習の拠点としての役割の増大などの理由から館内を全面改装してリニューアルオープンし、常設展示のほか、さまざまな企画展も開かれています。
講座では、高橋主事がはじめに、「現在の博物館は、大きく分けて人文系展示室と自然系展示室、企画展示室、体験活動室などで構成され、いずれも見通しの利く広がりのある空間で秋田の時代や自然を知ることができるようになっている」などと施設の概要や展示活動について説明。
展示の考え方については、「人文展示室では、実物大の竪穴住居も展示されている。これは、以前はジオラマ(縮尺模型)や写真などが多かったが、昔の暮らしを実際に目でみ、触れて体感できるような展示に変わりつつある」と述べ、古代の釜跡もその状態がリアルに感じられるような「はぎ取り標本」で、また貴重な仏像はレプリカ(精巧な複製)を作り、展示していることを紹介しました。
その上で、「古い道具を単に懐かしいと感じさせるだけではだめ。その道具を使う人や使われた時代の意味を伝えるメッセージが必要」と、企画展示についての考え方を力説しました。
また、展示のほか資料の収集・保管や調査研究、教育普及活動も博物館の大きな役割であることを説き、このうち資料管理では、県民から提供された古いジュラルミンの鍋を参加者に見せながら、「これは戦前、飛行機など軍需産業用として供出された金属を、戦後、生活用品に転用し作られた鍋。しかし、説明なしでは粗末な古い鍋にしか見えない。バックデータをつけることで、その資料の価値が大きく変わる」と、聞き取り調査などフィールドワークの重要さを述べていました。
企画展示については、宮城県の歴史民俗博物館との共同で開催した熊野信仰をテーマとした企画展で国宝に指定された仏像を借り、展示できたことを例に、「県立博物館一館だけでは難しい展示も、他の博物館との共同で可能になることもある。このときの入場者数は約1万1千人。開館時の特別展でも5千人だったことを考えると、これからも各施設の連携により魅力のある企画が望まれる」と、魅力的で活力のある博物館像について語っていました。
(2009.2.12)