2009年11月17日
コンテンツ番号6739
木質バイオエタノール製造実証施設安全祈願式
木質バイオエタノール製造実証施設の安全祈願式がクリーンリサイクルセンター敷地内で行われ、研究所員や県、市の関係者ら約30人が建設までの工事の安全を祈願しました。
当施設は、独立行政法人森林総合研究所(鈴木和夫理事長)が、林野庁による平成20年度森林資源活用型ニュービジネス創造対策事業において、「木質バイオエタノール製造システム構築の実証事業」を行うため、市内坊沢の市リサイクルセンター敷地内に実証プラントを設置します。
本事業は、東京大学、早稲田大学、秋田県立大学と共同で行い、秋田県および北秋田市の協力を得て同市内に設置する実証プラントを用いて、平成20年度から24年度までの5年間にわたり技術実証及び施設改良を行います。
なお、基本となる技術は、農林水産省の委託プロジェクト研究「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響の評価と高度対策技術の開発(18年度)」及び「地域活性化のためのバイオマス利用技術の開発(19〜23年度)」において開発した、木材からのバイオエタノール製造法である、アルカリ蒸解と同時糖化発酵を組み合わせた「アルカリ蒸解・酵素法」です。
バイオマス原料は、食糧と競合する恐れがないスギ林地残材等を用います。木材中に含まれるリグニンを分離するために水酸化ナトリウム水溶液による「アルカリ蒸解法」を用い、さらに得られたパルプ中の多糖類(セルロースとヘミセルロース)を糖化、発酵してバイオエタノールを製造するために酵素と酵母による「同時糖化発酵法」を用います。実証プラントでは年間125kLの規模で生産を行い、5年後に木質バイオマス1トン当たりバイオエタノール250リットルの収率、および100円/リットルの生産コスト実現を目指します。
本事業は、北秋田市が農林水産省に提案したバイオマスタウン構想にも位置づけられています。
この日、リサイクルセンター敷地内で行われた安全祈願式では神事のあと、亀井俊水 森林総合研究所理事、岸部市長らがくわ入れを行い、工事の安全を祈願しました。
その後、亀井理事は「当研究所が、つくば市(茨城県)の研究所を離れて実証実験をするのは初めてのことで、研究所の力量と努力が問われることになる。事業を通して、この地域の皆さまのお役に立てると幸い」などとあいさつしました。
用語解説
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セルロース・ヘミセルロース ・リグニン
木材を構成する化学成分。多糖類であるセルロース・ヘミセルロースは、単糖に分解しエタノールに変換することが出来る。その際に、リグニンは副産物として回収され、燃料やプラスチック原料となる。 -
アルカリ蒸解法
木材のパルプ化法の一つ。木材チップに水酸化ナトリウム水溶液を加えて、170℃で2時間、煮ることで木材からリグニンを分離できる。 -
同時糖化発酵
セルラーゼやキシラナーゼなどの酵素を用いて、リグニンを分離して除いた木材パルプ中のセルロースやヘミセルロースをグルコースやキシロース等の糖に変換し、それらの糖類を酵母により同時にエタノールに変換する。
(2009.11.17)