2009年01月13日
コンテンツ番号6737
北秋田保健所「精神障害者の理解促進講座」
県北秋田保健所(豊島優人所長)が主催する「精神障害者の理解促進講座」が1月13日(火)、北秋田市交流センターで開かれ約50人の参加者が、精神保健に携わる専門家の講演や意見交換で精神障害者の自立や地域支援などについて理解を深めました。
現在全国で300万人いるといわれる精神障害者の支援施策については、平成16年9月、厚生労働省から「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が示され、入院医療中心から、地域における保健・医療、福祉を基盤とした退院・社会復帰が可能なサービス基盤の整備を目指して展開されています。
秋田県は、16年度から19年度まで秋田市周辺で「精神障害者退院促進支援モデル事業・支援事業」を実施、20年度からは、対象地域を全県に広げ、入院患者の社会復帰を目指して取り組みを進めています。講座は、関係者及び地域住民がまだ偏見の多いこの病気と障害を理解し、地域移行へのステップとなることを目的として開催されたものです。
開会行事では、豊島所長が、「精神障害患者は10年前と比べ約2倍。県では、現在約900人と推計されている入院患者のうち、約400人の地域移行を目標として取り組みを進めている。地域での受け入れには住民の理解が不可欠。一人でも多くの患者さんが、地域に戻れるよう理解と協力をお願いしたい」とあいさつ。
続いて、県の担当者が20年度からはじまった「精神障害者地域移行支援特別対策事業」の概要について説明。地域での地域移行推進員が入院患者の退院と地域定着に向けた支援を実施することや、各保健所にそのための「体制整備コーディネーター」を配置する、といった特徴などを述べました。
この後、秋田大学医学部保健学科の米山奈奈子准教授が「障がいを抱える仲間とともに暮らせる地域をつくる〜精神障がいの理解とおつきあいのコツ」と題して講演。
米山准教授はまず、「精神障害を抱えた人は、『特別な人に起こる病気なのでは』『事件を起こしたりする危険な人では』などと、誤解、偏見や差別の対象とされてしまうことがよくあるが、これは、病気について良く理解されていないことが大きな原因」と切り出し、患者数などの統計数値や、病気の類型などについて説明しました。
精神障害者の数は平成17年度の調査全国で約300万人。厚生労働省では精神障害者とは、
- 血行性および詳細不明の認知症
- アルコール使用〔飲酒〕による精神及び行動の障害
- その他の精神作用物質使用による精神及び行動の障害
- 統合失調症、妄想性障害、気分障害
- アルツハイマー病
などが含まれ、総人口1億2千7百万人の2.3%に該当するそうです。
「精神障害になると、本人の症状によって家族や友人、職場、近隣など人間関係に様々な影響が生じる。一番つらい思いをしているのは本人や家族。病気の症状や障害が周囲の人には見えにくく、分かりにくいことから誤解や偏見の対象になる」、と米山准教授。
また、「病気を持つ人は、『他人が自分の悪口を言っている』『他人に覗かれている』『誰かが電波を送ってくる』といった、本人しかわからない苦しさ、感覚を持ち、本人の訴えが他人にわかりにくいことがよくある」と、本人と周囲のとまどいの例を上げ、「相談されたら、まずは本人がどうしたいのかじっくり話しを聞いてあげること。その上で民生委員や保健師、あるいは主治医に相談をつなぐことが大切」と、具体的な付き合い方の例を紹介しました。
最後に、「誰もがこころの病気になる可能性がある。しかし、地域で人々が孤立せずつながっている感覚を信じられる人間関係があると、病気であっても障害があっても何とか生きていくことができる」、と地域での理解が課題解決の大きな力になることを訴えていました。
なお、21日(水)には、職場でのストレス等による精神障害等の健康問題について考える講習会が交流センターで開催されます。
事業名称
職域メンタルヘルス研修事業「働き盛りのメンタルヘルス講習会」
内容
テーマ「事業者の役割〜メンタルヘルスに関連して〜」
情報紹介者:大館労働基準監督署第二課長 佐藤幸生氏
演題「心のサインに気づくには〜職域のメンタルヘルスケア〜」
講師:日本産業カウンセラー協会東北支部産業カウンセラー 阿部洋子氏
日時
1月21日(水)午後1時30分〜3時30分
場所
北秋田市交流センター第2研修室 TEL:0186-63-2321
主催・申込
北秋田地域振興局鷹巣阿仁福祉環境部 TEL:0186-62-1165
(2009.1.13)