2009年01月21日
コンテンツ番号6727
「働き盛りのメンタルヘルス講習会」
秋田県が進める職域メンタルヘルス研修事業「働き盛りのメンタルヘルス講習会」が1月21日(水)、市交流センターで開かれ、講習受講者が職場での心の健康維持などについて理解を深めました。
北秋田地域振興局鷹巣阿仁福祉環境部(豊島優人部長)が平成20年度自殺予防対策事業として開催したもので、北秋田市ほか大館市など県北地区の各事業所の労務管理担当者、就業者など約50人が参加。
はじめに豊島部長が、「平成19年度の健康状況調査では、職場で悩みやストレスを感じている労働者が全体の58パーセントもいるとの結果が出ている。県では、過労による自殺や健康被害をなくするとともに労働者の心の健康を保持、増進する取り組みを進めている。今日の講習会を職場の労務環境を見つめなおすきっかけにしてほしい」などとあいさつ。
続いて、大館労働基準監督署の佐藤幸生第二課長と、社団法人日本産業カウンセラー協会東北支部の産業カウンセラー阿部洋子さんが、講演を行いました。
佐藤課長は、「事業者の役割〜メンタルヘルスに関連して」と題し、過労死認定の現状や国が進める労働者の心の健康対策などについて説明。「過労死認定者のうち、病気発症から死亡するまでの期間は3ヶ月以内が7割。そのうち半数が月100時間以上の時間外労働をしていたケース」と、過重労働や職場のストレスなどを発症の原因とする、うつ病などの精神障害の労災申請や労災認定件数が増加傾向にあることに触れ、心身の健康について事業者がしっかりと管理を行ってほしいと訴えていました。
また阿部さんは、「心のサインに気づくには〜職域のメンタルヘルスケア」と題し講演。「心の健康を維持するためには、自身の健康に気づき、セルフコントロールすることが大切」とし、特にストレスへの対処がキーポイントになることを指摘しました。
対処法としては、「バランスの取れた食事や睡眠といった基本的な生活習慣の充実はもちろんだが、社会的な健康度が高いと心身症や精神障害になりにくい。社会的な健康とは、周囲と良い関係ができている、周囲の人たちの役に立っている、生きがいを感じる、といった状態」と、職場での良い人間関係づくりがストレス対策になることを説明。
また、平成9年に2件(自殺)だった労災の申請・認定件数が、平成19年には申請268件、認定130件(うち死亡81人)と急増したことを上げ、「過労死者が出た企業は社会的イメージが低下するとともに罰金も科せられる。多くは過重労働が病気の原因となったケース。経営者、管理者は、従業員の能力とともに、過度な負担とならないよう業務分担をチェックする責任がある」と阿部さん。
その上で、「人間は、困難な仕事であっても目標ややりがいを持つことで、それを『好ストレス』として受け止められる。そのため、働く人自身が積極的な問題解決やストレス解消に努めるとともに、上司や同僚が部下や仲間の業務上の負担やストレスに気づき、サポートできるような態勢づくりを心がけることで、心の健康を図ってほしい」と、職場でのメンタルヘルスケアの大切さを説いていました。
(2009.1.21)