2010年11月03日
コンテンツ番号6687
第51回農村における健康を考える集い
農村地域の医療を考える「第51回農村における健康を考える集い」が11月3日(水)、北秋田市交流センターで開かれ、全県から医療関係者ら約300名が参加し、地域医療連携の充実と訪問介護の重要性について理解を深めました。
集いは、健康で豊かな農村生活の実現を目指す活動の一環で、農村地域における、医療の在り方や現状と課題などを考えるもので、毎年、種苗交換会の開催に合わせて実施されているものです。
はじめに、神谷彰・北秋田市民病院院長が「医療の進歩と医療制度が変わってきたことによって、疾患や障害を抱えて在宅で過ごす方が多くなってきている。このような方々が在宅で過ごすためには、医療、介護、福祉がそれぞれ一帯となった体制づくりが必要です。訪問介護は、これから医療の大きな柱となると思われる。この会を通じて訪問介護への理解が深まり、地域の充実に繋がると幸いです」などと開会のことばを述べました。
また、山本喜三・厚生連経営管理委員会副会長が「近年、地域医療を取り巻く情勢は、平成14年以降4度にわたり診療報酬マイナス改定の影響、臨床研修制度による地域偏在や医師不足の影響などで患者数が大幅に減少し、病院経営は一層厳しさを増している。厚生連では、地域医療を守るという原点に立ち、安心安全かつ良質な医療を提供して参ります。在宅医療において、訪問介護ステーションの地域において果たす役割が益々重要になっています。本日は、それぞれの立場から最新の情報をご提言いただき貴重な勉強の機会としていただきたい」などと主催者を代表してあいさつしました。
続いて、来賓として津谷市長は「北秋田地域においては、長年にわたり、北秋中央病院が地域住民の生命と健康を守るべく医療を担い、我々が安心して生活できるように、多大なご貢献をいただいてきました。北秋田市誕生以来、北秋田医療圏の新たな地域医療の構築を目指し、北秋中央・米内沢総合・阿仁の3病院の再編統合をすすめ、その中核として『北秋田市民病院』を建設し、本年4月より厚生連の管理運営により開院いたしております。病院を支えることで、市民の命と健康を守り、地域に愛される病院として、より一層の充実に努めてまいりたい」などとあいさつ。
このあと、「これからの訪問介護を考えよう」をテーマに、大学や地域開業医、介護、行政、訪問看護のそれぞれの立場から提言として、発表されました。
このうち、中村順子・日本赤十字秋田短期大学看護学科准教授が『地域医療に訪問看護を〜この街で安心して暮らす逝く』と題し提言。中村助教授は「看護師は、医療の担い手ですが医師との役割は違う。特に訪問看護では、医師が出した指示のもとに、医療処置や機器の管理、服薬指導などの医療を患者の生活になじませることが重要。また、在宅では患者一人ひとりにあったケアが必要で、病気になっても患者がしたい生活を、全力で支え続ける心構えを持つ必要がある。自分らしく生きるためのお手伝いは、自分らしく逝くためのお手伝い。一人ひとりの人生の物語を理解し、普通の生活の延長上の看取りを支援ができる体制づくりを進めていくことが必要」などと訪問介護のあり方と患者との向き合い方などを説明しました。
また、地元開業医の奈良正人・奈良医院院長が『訪問看護症例の思い出と今後の期待』と題し提言しました。奈良院長は、自身が行っている、市内の訪問看護の事例を紹介しながら「訪問看護は、患者本人が在宅でどのような看護を希望し、どのような死を迎えることを望んでいるのかを、十分に理解して家族との協力関係を構築して、患者一人ひとりに合わせた、訪問看護のかたちを作ることが大切。主治医もそれらを十分に理解し、適切に治療し、連携することで、在宅医療への満足度評価に繋がる。この地域は、訪問看護ステーションも足りない。ステーションのサテライト設置やIT技術を利用した情報の伝達、看護師の医療レベルの向上など課題も多いが行政などと連携しながら、地域医療の充実に繋げたい」などと北秋田地域の現状と抱える問題などを説明しました。
さらに、福本雅治・秋田県介護支援専門員協会会長が「訪問看護に期待すること〜介護支援専門員の立場から」、松橋セツ子・北秋田市健康福祉部健康推進課主幹が「生涯現役をめざす〜健康づくり事業の推進と関係機関の連携について」、吉田真理子・厚生連北秋訪問看護ステーション管理者が「療養者を家で看るということ」と題し、それぞれ提言を行いました。
最後には、自由討議として神谷院長や各提言者が会場からの質問などに答えて、訪問看護のあり方について理解を深めました。
(2010.11.3)