2010年11月03日
コンテンツ番号6685
田んぼの生きもの調査全国大会in秋田
「田んぼの生きもの調査全国大会in秋田」(主催:同実行委員会)が11月3日(水)、北秋田市合川体育館で開かれ、県内外から参加した約450人が、地域農業の大切さや生きものとのつながりについて理解を深めました。
この大会は、「安全・安心な米づくり」「食農教育」「自然環境に配慮した水路の整備」などを実践することを目的に「田んぼの生きもの調査」が全国各地で行われており、県内外の事例を紹介して環境にやさしい安全・安心な農業のあり方について農業者及び関係団体、消費者などにPRするため行われました。
はじめに、疋田俊一郎・あきた北央農業協同組合代表理事組合長が米の作況状況にふれながら「県内外の関係機関並びに関係者一同に会し、田んぼの生きもの調査を住民が一体となって実施することにより子供たちに農業の大切さ、生きものと私たちの共生について理解していただくことが必要と思います。この大会を契機に、自然・環境保全、多様な生きものに目を向けた取組により、消費者、生産者が一体となり農業農村を守り、子どもたちに未来を託せる農業を目指したい」などと主催者を代表しあいさつがありました。
来賓として津谷市長は「私たちにとって非常になじみの深い『田んぼ』について、どのような生物が生息し、どのように守っていくのかを話し合うことは意義深く、今後、環境にやさしい安全・安心な農業を実践していくためにも重要な機会であるとおもいます。既に、北秋田市をはじめ全国の各地域において、農地・水・環境保全事業をはじめ、様々な形で、田んぼの生きもの調査を実施していると伺っております。先進的な取り組みを行っている自治体や、関係機関、そして農業者の皆さんに広く全国からお集まり頂きました。 本大会では、皆さんによる活発な意見交換等がなされ、日本の農業の再生に向けた貴重なメッセージが発信されますことを大いに期待します」などと歓迎のあいさつ。
続いて、宇根豊(NPO法人・生物多様性農業支援センター副理事長)さんが、「百姓仕事と生物多様性」と題し、基調講演を行いました。
パネルディスカッションではパネラーのみなさんが取組状況を報告。渡辺竜五(新潟県佐渡市・生物多様性推進室長)さんがトキの保護から多様な生きものとの共生に向けた取組について、宮垣均(兵庫県豊岡市コウノトリ共生課主任)がコウノトリの受け皿としての田んぼの再生への取組について、西澤誠弘(宮城県大崎市産業政策課課長)さんが渡り鳥の越冬地としてふゆみず田んぼの取組を、伊藤鶴一(あきた北央農業協同組合営農部営農指導課長)が全農安心ステムの取組と食農教育の実践について、伊藤正照(秋田おばこ農業協同組合代表理事専務)さんが都市と農村交流の取組などのついてそれぞれ紹介しました。
大会の終わりには、鷹巣農林高校の桜田大地さん(3年)と小塚ほなみさん(3年)が「私たちは今年、実習田で行った田んぼの生きもの調査をとおして田んぼの水路・畔などにたくさんのいきものがいることを確認しました。この地域の豊かな自然をいつまでも持続するためには、田んぼの生きものにも目を向けた生物の多様性を育み農業を行うことが大切なものだと思います。将来、私たちが生産者や消費者の立場になったとき、安全で安心な農産物がどういうものなのか、違いがわかる大人になりたいと思います」などと大会メッセージを朗読。続いて次の取組を目指す大会宣言を行いました。▽用水や田んぼの生きもの調査活動をすべての集落で実施することを目指す。▽生きもの調査活動を通じて感じたことを生きもの語りとして表現し、それを地域でまとめて情報発信することを目指す。▽生きもの語りを伝える田んぼ市民の仲間を増やし、生きものを育み地域生活を目指す。▽生きものを育む農法や資材を選定し、5668種の生きものとともに生きる農業を目指す。▽生きものを育む用水路や田んぼの整備を進め、持続可能な集落づくりを目指す。
(2010.11.3)