2010年11月25日
コンテンツ番号6661
北秋田市農政意見交換会
北秋田市農政意見交換会が11月25日(木)、JA鷹巣町本所で開かれ、市と市内の各農業協同組合が、農政における懸案事項や助成要望などについて意見交換しました。
同意見交換会は、北秋田市、鷹巣町農業協同組合、あきた北央農業協同組合の各代表者と幹部職員が一堂に会して、今年の農業実績や現況を報告し、今後の課題などについて意見交換することで、市の農政発展に寄与することを目的としています。
はじめに、津谷市長が「今年は、田植え後の異常気象や米価の急激な下落などにより、農家を取り巻く状況は非常に厳しい。加えて、農業者戸別所得補償制度が本格実施の予定となっており、一方では、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への交渉参加に向けて関係国との協議の着手を閣議決定するなど、今後の国際情勢により、農業を取り巻く状況が不透明になっていくと考えられる。市としても、地元両JAと連携を深めて各種農業施策を実施し、明るい展望をもって安心して農業を行えるような支援策を展開していく必要がある。この意見交換会が今後の農政に反映し、北秋田市の農業発展に繋がることを期待している」などとあいさつ。
また、佐藤清孝・鷹巣町農業協同組合代表理事組合長、疋田俊一郎・あきた北央農業協同組合代表理事組合長が、各組合の今年の実績や来年度の課題などの概略を説明し、あいさつしました。
このあと、両JAの担当者から、各作物ごとの実績報告や市に対して各事業への助成を要望しました。
JA鷹巣町では、米の買い入れ状況(11月22日現在)について、637トン5450キロの買い入れで、契約数量に対して74.4%の集荷率となっている。そのうち、一等米比率84.5%。青果物については、きゅうり、山の芋などが異常気象の影響を受けて、前年より減少しているが、ししとう、ネギ、べいなす、小玉すいかは前年を上回る収穫となったなどと報告。
助成については、農家経営が深刻な危機に陥っていることから、水稲種子、きゅうり種苗、特産物野菜(せり・ごぼう)、ネギ皮むき・葉切り全自働機械購入などを要望しました。
JAあきた北央では、米の買い入れ状況(11月9日現在)について、621トン8010キロの買い入れで、契約数量に対して84.4%の集荷率となっている。そのうち、一等米比率94.3%。青果物については、スイートコーン、花卉、きのこなどが異常気象の影響を受けて、前年より減少しているが、ししとう、べいなすは前年を上回る収穫となった。比内地鶏の販売、広域カントリーエレベータ利用組合の運営が大変厳しい状況となっているなどと報告。
また、秋田市でスーパーマーケット9店を経営する株式会社ナイス(齋藤一郎・代表取締役社長、従業員数750名)への産直販売が品切れが発生するほどの好調となっている。現在、9店舗中3店舗の販売展開なので、これからも需要が期待される。ぜひ、JA鷹巣町さんと協同連携して、北秋田ブランドとして販売展開を進めたい。
助成については、 米の減収に伴い農家経営は大変厳しい状況にあることから、水稲種子、菌床しいたけ施設導入、比内地鶏冷凍保管料、カントリーエレベータの固定資産税減免、スイートコーン種子・資材などを要望しました。
このあと、工藤正則・北秋田市農林課長は、来年度予算の査定中としたうえで「農家経営の厳しい状況は十分理解している。継続事業、新規事業に対して効果的な助成を検討し、北秋田市の農政が発展するよう進めたい」などと来年度の助成方針を説明しました。
≪用語解説≫
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Partnership)
2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定。加盟国間の経済制度、即ち、サービス、人の移動、基準認証などに於ける整合性を図り、貿易関税については例外品目を認めない形の関税撤廃をめざしている。環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋パートナーシップ協定とも呼ばれる。
2015年までに協定国間の貿易において、工業品、農業品、金融サービスなどをはじめとした全品目の関税を原則として完全撤廃することにより、貿易自由化の実現を目指す自由貿易協定(FTA)を包括する経済連携協定(EPA)である。
参加国は関税撤廃によって、自国の製品をより安価に輸出することができ、さらなる貿易拡大が期待できる。その反面、輸入品に対する関税をゼロにしなければならないため、保護されてきた国内産業がダメージを受ける可能性があるほか、これまでのような外国企業の進出・投資規制や労働者の受け入れ制限が難しくなるといった問題がある。
(2010.11.25)