2010年10月31日
コンテンツ番号6619
秋田県種苗交換会談話会
第133回秋田県種苗交換会談話会が10月31日(日)、北秋田市交流センターで開かれ、生産者や流通関係をはじめ米に関わる関係者などが参加して「時代のニーズに応える米づくりの推進について」意見が交わされました。
はじめに、県種苗交換会の木村一男会頭が米を取り巻く情勢などについてふれながら「この談話会は種苗交換会の中核行事として連綿として開催されその時々の農業、農村に関わる様々な課題を取り上げ、その解決に向け討論し、結果をひろく関係者に伝えるものとして歴史を重ねてきたものです。今年度の談話題は『時代のニーズに応える売れる米づくりの推進について』とし、本県の農業の基幹作物である米を正面から取り上げ、米産地秋田の再生に向け生産者、JA関係者、流通関係者のみなさまにご討議をお願いすることになりました。本県産あきたこまちは家庭食むけのブランド米として誕生し一定の評価をえてきたものの四半世紀が過ぎた現在は量販店の特売品となるなどトップブランにかげりが出始めております。外食と業務用市場に対応した品種構成や価格の弾力性、品質、品揃えなどきめ細かい対応が求められています。さらに今後は個別所得補償制度の本格実施によって生産供給体制はもちろんのこと流通販売戦略も大きく変わっていく可能性があります。今回の談話会では流通関係のみなさまから環境変化が進む市場のニーズ増について的確な情報と分析をお願いするとともの生産者やJAグループが情報を共有化し、それぞれの立場から本県の米生産、販売に対する率直なご意見を賜り、産地と消費地と流通サイドのネットワークを構築することができれば幸いに存じます」などと主催者を代表しあいさつがありました。
来賓として北秋田市協賛会会長の津谷市長は、最近の農業情勢にふれながら「この談話会は、明治11年に勧業会議として開催されて以来、戦争や凶作そして農政改革などの数々の激動や苦境を乗り越えながら連綿と継続され、農家の技術向上や経営の合理化の推進など農業県あきたの農業振興に大きく寄与しており、まさに、秋田県種苗交換会の中心行事として位置づけされておるものと存じております。これまでの長い歴史を作り上げてきた多くの方々に対して、衷心より敬意と感謝を申し上げる次第であります。本日の「談話会」のテーマは、「時代のニーズに応える売れる米づくりの推進について」となっており、生産・流通をはじめ、米に関わる関係者が一堂に会し,米どころ秋田の再生に向け、今日の米市場の環境変化に対応し得る諸対策の構築についての活発な討議がなされますことは、明日の秋田県農業に光明を見いだすともに今後の発展への寄与が大いに期待されるものと確信いたしております。ぜひ本談話会がご参会の皆様にとって有意義な実り多いものとなりますことをご祈念いたします」などと開催地を代表し歓迎のあいさつを述べました
続いて、中村勝則・秋田県立大学生物資源科学部准教授を議長に選出し、9人の会員と3人の助言者により談話会が始まりました。
談話会では、今の米を取り巻く情勢をどのように受け止めているのか、秋田米に対するニーズはなんなのか、、その上で産地としてできることはを何なのかを生産流通販売段階で検討するという三つの論点で、時代のニーズに応える売れる米作りを推進するにあたっての課題を抽出するとともにそれに向けた対策を検討。会員からは、生産者やJAからそれぞれの取組や活動経過などが、流通関係者からは市場の状況などが報告されました。
最後に、中村議長が「米の販売戦略をどう考えるかという大きな、かつ重要なテーマであったが多様なご意見、ご提案がなされたと思います。パイが決まっている中での競争であり、秋田米のニーズに関しては既存のニーズがあり、発掘していく、原点に返るとういうことばを何回も聞きそれが印象的だった。高品位、高価格米が2割くらいは必要だという提案もありました。また長いスパンでの品種開発を含めた転換というものが必要であるということが明らかになってきました。それに応えるにはどうしたらいいかという生産者側の対策としては、ハードの整備を一方では進めつつ、ソフト面での対策ということで集落営農というのが機能するのではないかという話がありました。情熱をもって新しい品種の開発に向ける提案や県立大学との連携、試験機関との連携で産地を生産から販売までしっかりと調査研究をして今後の対策を考える必要があるのではないかという具体的な提案もありました。朝から多様な議論がなされたわけですがこの談話会が実りあるものになるかどうかは、今日のいろいろなご意見、アイデア、ご提案を実行に移せるかどうかいうところにかかっていると思います。 秋田県では米戦略とかこれまで何回も議論され方向性はある程度見えてきていますが、今日の議論でまた、明確になってきたのではないでしょうか。今日の提起された課題をそれぞれが、当事者意識を持って今日明日からの実行にいかに移していくかと思います」などとまとめました。会場に集まった生産者やJA関係者など約100人ほどが会員の話に熱心に耳を傾けていました。
談話会の出席者(敬称略)
議長
中村勝則(秋田県立大学生物資源科学部准教授)
会員
長崎克彦(北秋田市・農事組合法人坊沢営農組合代表理事)
小松忠彦(由利本庄市・石沢館集落営農組合組合長)
鎌田新市(横手市・秋田ふるさと農業協同組合稲作部会)
田中安規(北秋田市・あきた北央農業協同組合専務理事)
加藤孝明(大仙市・秋田おばこ農業協同組合営農部米穀長)
新山義夫(千葉県・秋田屋米穀株式会社代表取締役)
山本幸雄(東京都・木徳神糧株式会社専務取締役)
西村清(東京都・全農パールライス東日本株式会社常務取締役)
伊藤博司(東京都・株式会社食糧問題研究所「月刊食糧ジャーナル」編集長)
助言者
柴田靖(秋田市・県農林水産部流通販売課副主幹)
杉山昌史(秋田市・全国農業協同組合連合会秋田県本部米穀部長)
高橋明彦(秋田市・秋田県農業協同組合中央会担い手対策室長)
(2010.10.31)