2010年09月11日
コンテンツ番号6607
豊村政吉さん出版記念の会
戦後の混乱期に戦災孤児や引揚者の援護活動に尽力した本市宮前町の豊村政吉さん(82)が自費出版した自分史「平和への祈り〜引揚者援護と戦災孤児の記録」の出版記念の会が9月11日(土)、北秋田市中央公民館で開かれました。
記念の会には関係者約120人が出席。はじめに、発起人代表で前北秋田地域振興局長の長岐哲行さんが、「国民の誰もが食料不足で大変だった時代に、勤務先を退職してまで孤児や引揚者などの援護活動に従事されたことは、たいへん勇気ある行動で深く敬意を表したい。豊村さんの自分史出版を機に、平和の尊さ、助け合いの精神を再認識してほしい」、などとあいさつ。
また、津谷市長が、「青年期に、自分のことをさておき、300人を超える孤児を世話した生活には想像もつかない苦労があったろうと思う。人情が希薄な時代だけにこの記録を次の時代に伝えて行かなければならない。また、この自分史は、戦後の地域社会を知る貴重な戦後史にもなっている。ぜひこれからもご健康で第2の自分史を書き上げて」と、お祝いの言葉を述べました。
この後、元戦災孤児で当時豊村さんのお世話になった吉井孝徳さん(岡山県)と元中国残留孤児の高井哲子さん(秋田市)が、それぞれ「当時、鷹巣に来るまでは汽車の中で寝起きするような生活だった。今は2人の子、3人の孫に恵まれている。豊村さんにはいつまでも元気でいてほしい」「ことばで言い尽くせない。どうもありがとう」と、感謝の気持ちを伝えました。
豊村さんは、「82歳になってから本を書くのは辛かったが、戦災孤児が最も焼け出された東京大空襲から65年目の節目の年に記録を残しておきたいと執筆を思い立った。出版できたのは当時から現在に至るまで自分を支えてくれた皆さんのおかげ。今は病気と闘っているが、今後は、今回書ききれなかったことなどもまとめてみたい」と、意欲を示していました。
自分史はA4版107ページで500部発行。引揚者や戦災孤児の援護活動の記録、寄稿、当時の新聞記事の写しや写真などが掲載されています。今後、図書館などにも寄贈される予定です。
(2010.9.11)