2010年09月19日
コンテンツ番号7733
平成22年度世界遺産−縄文ルネサンス−事業
世界遺産フォーラム「ストーンサークルのやくわり」が9月19日(日)、市文化会館で開催され、市内外から約100人が世界遺産登録に向け縄文遺跡について学びました。
このフォーラムは、世界遺産暫定リストに登録された「北海道北東北を中心とした縄文遺跡群」の本登録に向けての推進活動の一環として開催されているもので、遺跡のある地、北秋田市での開催は初めてとなります。
開会にあたり、古内一樹秋田県教育庁生涯学習課文化財保護室長は「北海道北東北を中心とした縄文遺跡群は秋田県、北海道、青森県、岩手県の4道県が共同で提案しているもので、遺跡の構成は15、秋田県では大湯の環状列石とここ北秋田市の伊勢堂岱遺跡の2つであります。平成27年に世界文化遺産の登録をめざし、息の長い推進活動が求められます。本登録となるためには地元をはじ多くの県民の皆様のお力添えが必要です。このストーンサークルを日本の縄文文化の代表する遺跡として皆様と共に世界に向けて情報発信していきたい」などとあいさつ。
来賓として津谷市長が「北秋田市における伊勢堂岱遺跡も今後、保護の立場と活用して地域の活性化に結びつけたい考え方があります。行政だけでなく市民の方々の大きな力が必要で、伊勢堂岱の世界遺産登録に向けて市民の方々や関係者と手を携えてしっかりとやっていきたい。今日のフォーラムが北秋田市の伊勢堂岱遺跡が世界遺産登録に向けての大きな弾みとなるきっかけであってほしい」などとあいさつ。
午前中の講演では2人の講師が講演。はじめに小林達雄國學院大學名誉教授がが「縄文人がストーンサークルに求めたもの」と題して縄文人の生活や、縄文革命による定住で自然と共生、共存してきたことなどを紹介しながら「縄文人は地形、特色で場所を選び、住み続けることにより愛着を持ち、そこに記念物を造っていった。縄文遺跡の記念物は単なる遺跡でなく、今の生活環境、生活景観に入っている。」などと説明しました。
続いて、中村大総合地域環境学研究所研究員が「ストーンサークルをなぜそこに造ったのか」と題して講演。中村さんは、遺跡の分布をコンピュータによりデータ処理をした新しい研究事例を紹介しながら「米代川流域のストーンサークルは遺跡の密集地に多い。地域によっては、密集地やそれ以外もあり場所選びに特性があり、縄文人の考え方がわかってくるのでは」などと説明しました。
午後からの事例報告では、「大湯環状列石」について藤井安正さん(鹿角市教育委員会)が、記念物・祈りと祭りの場・拠り所としての役割を、「伊勢堂岱遺跡」について榎本剛治さん(北秋田市教育委員会)が建物跡について特殊な人の建物では、「鷲木遺跡」について高橋毅さん(森町教育委員会)が儀式、お祭りの場として人々の連帯意識の高揚を満たしたり活発な居住活動の原動力に、「小牧野遺跡」について児玉大成さん(青森市教育委員会)が地域の結束を高めため、地域的なシンボル、祭祀活動の拠点としての役割、などとそれぞれの遺跡について報告しました。
最後のパネルディスカッションでは、冨樫泰時さん(北秋田市歴史文化基本構想策定委員会委員長)をコーディネーターに、6人の講師がパネラーとして「ストーンサークルのやくわり」と題し、ストーンサークルがどんな場所を選んでつくられたか、何が残されていたかなどからそれぞれの遺跡の共通点、特性などについて意見が交わさ、会場を訪れた皆さんがストーンサークルについて理解を深めました。