2019年03月05日
コンテンツ番号3044
障がい福祉についてなど4議員が一般質問
平成30年北秋田市議会3月定例会の本会議が、3月5日(火)に議事堂で再開され、4議員が「小中学校再編・整備について」や「障がい福祉について」などの事項について一般質問を行いました。
このうち、福祉施設入所者への自立生活支援についての質問に対し「地域生活への意欲を育てる取り組みとして、福祉施設へ入所中においても自立した生活に向けた訓練の場を増やすことや、退所後も不安なく地域生活へ移行できる相談体制の構築が必要であると考えており、多面的に障がい児者の課題に取り組む「地域生活支援拠点等」の整備を目標に取り組んでいきます」などと答弁しました。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
久留嶋範子 議員 (共産党議員団)
(順位:2-1)
1 小中学校再編・整備について
(1)鷹巣南中学校・鷹巣中学校の統合に向けて
今年度は、鷹巣中学校・鷹巣南中学校統合準備委員会を発足し、7月2日と12月6日の2回開催しています。第2回までの間に、学校間で準備委員会を7月19日、11月15日の2回行い、具体的な内容について話し合いました。
統合準備委員会、学校間の準備委員会を受けて、両校では今年1月の新入生保護者説明会で制服等の新入学に当たって必要になるものや学校生活等について、保護者に説明をしています。
来年度は、鷹巣中学校大規模改造工事により、統合に向けた校舎等の準備を行いますし、鷹巣南中学校では、閉校記念式典等の閉校に向けた様々な取り組みを行う予定です。
今後検討する必要があるのは、学校までの通学路の安全確保です。南鷹巣方面から自転車等で通学する生徒の通学路には鷹巣橋がありますし、スクールバスが増えた際の乗降車スペース、保護者が車で送迎した際の駐車スペースなど、学校や保護者、地域の方と相談しながら、生徒が安全に通学できるための方策を検討したいと思っています。(教育長)
(2)鷹巣中央小学校・鷹巣南小学校の統合にむけて
鷹巣中央小学校と鷹巣南小学校の統合については、今年5月に統合準備委員会を設置して準備を進めていきます。2つの学校が統合して新しい学校となるため、校名を決めたり、それに伴って校歌や校章を作ったりする必要があるので、中学校よりも統合準備委員会の回数も内容も多くなることが予想されます。
タイムスケジュールとしては、今年1月にそれぞれの学校を会場に保護者を中心とした意見交換会を行いました。
校舎の大規模改造工事については、学校側や保護者の意見を聞きながら来年度実施設計を行い、中学校統合後に改造工事に取りかかるとともに、プールや放課後児童クラブについても工事を実施する予定です。
今後、PTAなどの機会に教育委員会から説明をする機会を増やしながら、ていねいに対応していきます。(教育長)
(3)説明会などで出された、意見・要望について
-
登下校の通学方法、安全面
登下校の通学方法、安全面については、1月の意見交換会で教育委員会の案を説明しました。教育委員会としては実際の通学路を想定した上で、文部科学省の基準により、鷹巣南小学校児童はすべてスクールバス・タクシーの対象となること、鷹巣中央小学校でスクールバス・タクシーの対象となるのは小ヶ田、川口の児童のみであることを説明しました。
他は集団登校による通学となるため、通学路についてはこの後1年を通じて点検するとともに、統合準備委員会等でも学校関係者、保護者、地域の方のご意見を伺いながら確認していきます。(教育長) -
放課後児童クラブ設置
統合小学校の放課後児童クラブの設置については、統合校設置となる鷹巣南中学校裏の旧竜森寮を改築して活用する予定にしていると、それぞれの小学校での説明会で提案したところです。
意見・要望への対応については、現時点で詳細の調査等が行なわれていない状況にあることから、今後、建物及び現地の状況を調査し、整理したうえで検討していきます。
また、設計にあたって放課後児童クラブの規模等の把握のため、利用の有無を確認する必要があることから、アンケート調査を実施する予定としておりますので、意見・要望も併せて調査し、児童が安心で安全な居場所となる児童クラブが設置できるよう努めていきます。(教育長) -
閉校行事
閉校式については教育委員会が主体となって行いますが、その他の関連行事については基本的に学校が企画・実施するものであり、教育委員会としてはそれを支援していきます。(教育長)
(4)廃校舎の有効活用について
これまでは埋蔵文化財の保管や除雪車両の車庫などに活用している校舎もありますが、第一に他の行政目的による利活用を検討し、次に地元自治会による利活用、次に民間による利活用といった順番で検討しています。
また、文部科学省のホームページ上において、全国の廃校情報を集約する「みんなの廃校プロジェクト」へ掲載しており、これまでに数件の問い合わせをいただいていますが、将来的に利活用が困難であると判断した場合には、解体も視野に入れて検討してまいりたいと考えています。
統合による鷹巣中央小学校と鷹巣南小学校の空き校舎については、耐震補強が施されていることから地域の方々とも協議を行いながら公共的な利活用を検討していきたいと考えています。(教育長)
2 地域の活性化について
(1)文化財を継承し、地域が元気になるための方策は
七日市の「葛黒火まつりかまくら」は復活から6年目を迎え、今年も地域が中心となって組織された「葛黒火まつりかまくら実行委員会」と「おさるべ元気くらぶ」の主催で開催されています。
市としましても次世代へ継承するべき伝統行事であると捉え、後援という形で職員のボランティアなどで支援しています。
文化財の市指定については、北秋田市文化財保護審議会で審議され答申されます。
現在、指定候補の文化財等は11件で、「葛黒火まつりかまくら」も候補として審議されているところです。
集落だけでは継承が困難であった「葛黒火まつりかまくら」を地域で復活させたことは、地域の活性化に寄与していることに加え、今後の伝統行事等を継承するひとつの方向性を示していただいたものと捉えており、引き続き地域全体で支えていただくよう期待しています。(教育長)
大森光信 議員(みらい)
(順位:2-2)
1 障がい福祉について
(1)現状の認識について
-
市は現在の施策で不足している部分は、何と考えているか
当市における福祉サービスの提供状況を見ますと、昼間の活動を支援する「日中活動系サービス」や、介護を行う家族などを支援するサービスが不足しているように感じており、対象者への適切な情報提供や個別支援の充実が課題であると認識しています。
なお、平成31年度施政方針にも掲げておりますが、現在当市では県の委託事業による「障がい者の生涯学習事業」を推進していくこととしていまして、イベント等におけるカフェ運営により、障がいへの理解を深めながら、就業に向けた支援を行うこととしています。
福祉と生涯学習という部局を横断した取り組みとして、文部科学省より注目をいただいていますので、障がい者の方が余暇の過ごし方や生活リズムの整え方にも繋がる有効な事業としても活用し、生涯学習に取り組むことのできる体制づくりを進めてまいりたいと考えています。 - 市内施設において、通所あるいは入所可能な施設が限られており、入所者の高齢化も進んでいるため、サービスが必要な障がい児者の受入れが困難になってきている。それに伴い、保護者の日常生活にも影響を与えていることについてどのように把握しているか。
-
12月定例会で採択された「知的障がい児者、重症心身障がい児者の拡充を求める請願書」について、市はどのように受け止めているか。
保護者の方がフルタイムで就労できない事例や、介護のために仕事や外出できない事例があり、休日や急用時にも預かる場所が少ないために心身の負担が大きく、日常生活を送る上での大きな難点であろうと感じています。
議員からご紹介の請願書につきましては、当市の福祉施策を一層充実させるものとして重く受け止めており、障がい児者への支援はもちろん、ご家族の方の負担を軽減するための支援の拡充に向け、県や施設管理者と協議していきます。
(2)第5期障がい福祉計画について
-
福祉施設入所者の地域生活への移行を進める自立生活支援の具体的な方策は何か。また、現在までの実績は
地域生活への意欲を育てる取り組みとして、福祉施設へ入所中においても自立した生活に向けた訓練の場を増やすことや、退所後も不安なく地域生活へ移行できる相談体制の構築が必要であると考えており、多面的に障がい児者の課題に取り組む「地域生活支援拠点等」の整備を目標に取り組んでいきます。
なお、現在までの実績については、第5期計画の目標値を14人としていますが、移行後も再入所する場合もありますので、現時点での実績としての数字を申し上げることはできません。 -
度末までに整備される予定の地域生活支援拠点の整備について
「地域生活支援拠点等」とは、障がい児者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築することでありまして、具体的な目的は「緊急時の迅速確実な相談支援の実施、短期入所等の活用」と、「体験の機会を提供し、施設や親許からグループホームや一人暮らし等への生活の場の移行を支援する体制の整備」とされています。
当市の課題は、専門的知識を有する職員の確保や施設の設置場所等の問題がありますが、まずは地域のニーズや既存のサービス状況といった現状を調査することが必要であると考えています。
整備までの具体的なスケジュールとしては、来年度中には先進地事例の視察や、県内の既存施設の取り組み状況の調査を行うこととしていますので、その調査を踏まえたうえで課題を整理し、それに即した運営を行うことのできる主体の確保に向けて努めていきます。 -
障がい者の一般就労を促すため、企業やハローワーク等への働きかけを行っていると思うが、地域の理解は得られているか。また、その課題は何か。
就業から職場定着に向けた一貫したサポートを行うため「北秋田障害者就業・生活支援センター」とハローワークが協力しながら地域における障がい者雇用の普及と理解、差別の解消、企業への障がい者雇用の啓発に努めていまして、今年4月からは月2回程度ハローワークに出向き、障がい者の就労相談に応じる予定となっています。
なお、一般就労が困難な方を支援する就労継続支援施設により、就労の機会がありますが、十分とは言えないことが今後の課題であると認識しています。 -
計画遂行において専門知識を持つ職員、医療的ケアにも対応できる看護師等の職員の数が相当数必要となると考えるが、確保できているのか。また、育成するために事業者に対し支援が必要ではないか。
福祉サービス分野における人材の確保と育成は、当市のみならず全国的な課題となっており、長期的な対策が求められています。
今後は、事業を展開する法人に対しての望ましい支援の形を模索しながら、国や県の施策と併せて検討していきたいと考えています。
(3)別のない共生社会を目指して
-
「障がい福祉に関するアンケート」の中で、障がいへの理解を求める意見が多かったが、地域社会や教育現場において、どのような啓蒙を行っているか。
当市では、障害者差別解消法の周知を目的とした「心のバリアフリーハンドブック」を県内で初めて作成しており、商工会の登録事業所や各地区の民生委員へ配布しましたほか、「障害者差別解消法について」をテーマとした市役所職員による出前講座の際にも配布させていただいています。
今後は、市内の各学校にも配布したいと考えており、計画の基本理念であります「地域の輪(和)のなかで障がいのある人の自立を支える北秋田市」を目指しながら、障がいのある方を支えあう施策や事業を総合的に推進していきたいと考えています。
山田博康 議員 (無会派)
(順位:2-3)
1 樹氷サミットについて
- 事業実施にあたり現場の責任者は誰か
- 開催の目的、意義をどのように認識されたか
- 委託業者の協議はどのようにされたか
- 市内の関連業者との話し合いはされたか
-
今後の対応について
樹氷サミットは、青森市、山形市、北秋田市の連携により持ち回りで開催しており、第1回目を山形市で開催し「日本三大樹氷観賞地」宣言を行い、2回目の青森市での開催を経て、今回は当市が幹事市として事業実施の主体となり、樹氷サミットとFAMツアーを行いました。
樹氷サミットの始まりは、平成27年2月に県が主催した「森吉山樹氷フォーラム」でありまして、講演の中で、樹氷が世界でも数箇所でしか観ることができない希少性の高いものであることや、蔵王、八甲田、森吉の周遊コースの造成について提言をいただいたことから、三市の広域的連携による「樹氷サミット」の開催を通して、樹氷への理解を深めるとともに「日本三大樹氷観賞地」としてブランド化を図り、冬期観光の柱として持続的に国内外へ発信していくことを目的としています。
なお、サミットの開催にあたり、「東北観光復興対策交付金」を活用していますが、この交付金は東北地方へのインバウンド推進による観光復興事業を対象としていることから、三市の行政及び観光事業者を対象としたパネルディスカッションをはじめ、今回実施した海外旅行エージェントやメディア招へいによる三大樹氷を実体験し、情報発信するためのFAMツアーを行うことにより、広く国内外に樹氷情報を発信することに大きな意義があるものと認識しています。
委託事業者については、昨年8月からプロポーザル方式による募集を開始し、三市及び事業関係者からなる選定委員会で候補者を決定しており、10月末の契約締結後、委託事業者と三市及び事業関係者が、随時打ち合わせや現場確認を行ないながら進めてきました。
なお、過去2回のサミットでは、開催日に天候が安定せず、ツアー参加者の樹氷観賞が叶わないこともありましたので、今回は2月から1月に時期をずらしたことにより、参加者には各地の樹氷を楽しんでいただけたものと考えています。
また、サミット会場の阿仁合から交流会会場の鷹巣までは、内陸線のお座敷列車で移動しながら、どぶろくの試飲や各地の樹氷PRビデオの観賞を行なうなどのこれまでにない取り組みも行っています。
今後も「日本三大樹氷観賞地」として、ブランド力を強化していくためには、広域での連携と継続した海外プロモーションが必要であり、引き続き三市連携による開催と、海外を中心に樹氷の魅力を広く発信していきます。
なお、次回からは2巡目に入りますので、内容の精査も行いながら、一般の皆様にも広く樹氷の魅力を発信するようなイベントも別途検討していきたいと考えています。
2 日本遺産申請について
-
協議会の構成メンバーと協議内容は
本遺産への申請は、昨年も提出しており、今回が2度目の申請となります。昨年提出した際に文化庁から地域が主導となる「協議会」を設立することが重要であると助言いただき、今年度、協議会を立ち上げたところです。
協議会は「市長」のほか、「秋田大学北秋田分校」、「阿仁地区自治会長会」、「秋田県文化財保護協会阿仁支部」、「阿仁地区猟友会」、「観光物産協会」、「商工会」の地元阿仁地区に関係する方々6人、合計7人で構成されています。
申請までに2回の協議会を開催しており、協議内容は、日本遺産申請のために事務局である生涯学習課が作成したストーリーや実施計画概要ついて、それぞれの立場からご意見をいただき、その内容を加筆修正することにより、掘り下げ、磨き上げていただきました。
今後は、認定を前提に実施計画の具体化の協議を進める予定となっています。(教育長) -
国の指定を受けている個人所有の文化財を今後どの様に保全するのか
293点のマタギに係る国指定の資料について、現在、所有者とその資料の保有状況について整理しているところであり、今年度中にその作業を完了する予定となっています。
今回の整理作業を機に望ましい保存環境や多くの方々に見ていただけるような環境の整備を検討していきます。(教育長) -
伊勢堂岱の世界遺産登録実現への運動との関連は、どの様に考えているのか
伊勢堂岱遺跡については、世界遺産登録を目指す北海道・北東北の17遺跡を持つ市町で構成する「縄文遺跡群世界遺産登録推進会議」の構成自治体として運動を展開しており、国文化審議会において国内推薦候補に決定したことから、引き続き登録を目指して運動を展開していきます。
また、日本遺産については、「平成32年度までに100件程度を認定する」とされており、時限的、限定的なものであることから、今年度申請したところです。
世界文化遺産候補の「伊勢堂岱遺跡」と日本遺産候補の「阿仁マタギ」を国内外にPRすることは、地域活性化につながるものと考えますので、継続して地域から機運を高める運動の展開に努めていきます。(教育長)
3 市民病院の待ち時間の短縮にどの様な協議、対応をされているか
- 医師の確保という根本問題があると考えるが、余りにも長い待つ時間の解消に向けどのような対応、競技がされているか。
-
利用者への対応について
市民病院の運営については、指定管理者である厚生連との基本協定に基づきながら、利用者サービスの向上に努めており、定期的な協議の場である市民病院運営連絡協議会において、運営に関する課題等について協議を行っているところであります。
待ち時間対策としましては、指定管理者において毎年「利用者満足度アンケート」を実施し、心理的な負担軽減と直接的な待ち時間への対応を行っており、昨年度に実施した調査では「診察開始までの待ち時間」の設問に対し、「負担ではない・待てる範囲である」と回答された方が63・9パーセント、「やや負担・負担」が26・3パーセントとなっており、前年度の調査から改善されています。
また、心理的な負担軽減対策として、外来へモニターを設置し診察の進捗状況を表示していますほか、待合へのテレビ設置や、生涯学習課との連携による「みんなの本棚」を今年2月から設置していますし、職員の対応向上を図りながら、利用者に配慮したできる限りの声掛けも励行しています。
直接的な待ち時間も短縮されるよう、阿仁地区への再来受付機の設置や多くの診療科に予約制を取り入れ、再来患者への診療予約を推奨していますので、今後も快適な環境で医療サービスを受けられるよう、指定管理者と連携しながら、取り組んでいきたいと考えています。
三浦倫美 議員(共産党議員団)
(順位:2-4)
1 農地、農業用施設の災害復旧支援の拡充を
-
県の災害復旧事業の活用について
今定例会初日の平成31年施政方針において申し上げましたとおり、国の農業災害復旧事業の対象とならない小災害については、平成31年度より「北秋田市農業用施設小災害復旧事業」を新設し、早期に営農を再開できるよう支援をしていきます。
この事業は、国による「農地農業用施設災害復旧事業」が復旧工事費用40万円以上となっていることから、秋田県小災害支援事業を活用し、10万円以上40万円未満の被災箇所を早期に復旧させる事を目的としており、より公共性の高く緊急性のある「水路及び揚水機」の復旧費用の3分の2を補助するものです。
現在、要綱の作成を進めており、事業に係る費用は平成31年度予算に計上させていただいているところです。 -
今後の災害復旧支援の拡充への見解は
この新たな事業の周知方法としては、市の広報やホームページ、JAの広報誌の活用を検討しています。
なお、事業実施には秋田県小災害支援事業の発動が条件となりますので、今後とも秋田県や土地改良区との連携に努めるとともに、事業が活用しやすいものであるよう、実施後も被災した農家の皆さんの意見を伺いながら、事業の制度設計等を検証し、見直しや拡充等を行っていきたいと考えています。