2010年05月06日
コンテンツ番号2492
森吉山麓カタクリの花群生
ようやく北秋田市にも到来した桜前線。森吉山麓にあるカタクリの群生地では、可憐なむらさき色の花が咲き誇り、里山に春の訪れを告げています。
カタクリ(片栗)は、ユリ科カタクリ属に属する多年草。比較的日光の差す落葉広葉樹林の林床に群生し、早春に下を向いた薄紫から桃色の花を咲かせます。
北秋田地方では、4月下旬から5 月上旬にかけて紅紫色の花を咲かせます。開花の時期は2週間ほど。種から花が咲くまでに7年から8年もの歳月がかかると言われます。5月下旬頃には葉や茎は枯れてしまい、種子にはアリが好むエライオソームという物質が付いており、アリに拾われることによって生育地を広げます。
市内でも各地域に大小の群落がありますが、森吉山麓では2ヘクタールを超える群生地が確認されています。いずれも、日当りのよい落葉広葉樹林の中。植生が変わり、笹やスギなどの常緑樹に覆われると、姿を消してしまいます。また、フクジュソウなどと同様、春先のほんの一時期にしか姿を表さない植物群であることから、英語ではカゲロウのようにはかない生き物を意味する「スプリング・エフェメラル」とも呼ばれ、カタクリはその代表格です。
カタクリの花は下向きに咲く姿が 印象的ですが、常に反り返っている のではなく、朝や雨のときはラッパ 状にまですぼまっており、天気の良くないときはあまり開きません。
カタクリは、昔は落葉広葉樹林のある各地で広く見られましたが、近年では乱獲や盗掘、土地開発などによる生育地の減少によって希少化しています。いずれも 自然の中にあっての貴重な命。遠くからそっと見守りたいものです。
(2010.5.6)