2010年05月11日
コンテンツ番号2456
EUがあなたの学校にやってくる
「EUがあなたの学校にやってくる」が5月11日(火)、県立鷹巣高等学校(星野滋校長、生徒数332人)で行われ、ラトビア大使館の大使が出張授業を行い、欧州連合(EU)の組織やラトビアの文化などを学びました。
欧州連合の大使や外交官による出張授業は、1957年3月25日のローマ条約調印から、50年目にあたる2007年から行われており、「世界情勢に関心を持ち始める、日本の若い世代に対し、もっとEU加盟国のことを知ってもらう」ことを目的に学校訪問を行っています。
今年の出張授業は、5月9日の「ヨーロッパ・デー(EU創立記念日)」直後の5月11日と12日に行われ、同連合加盟国の大使21名を含む総勢70人の外交官が全国110校の高校を訪問し、50000人を超える生徒にEUやそれぞれの出身国について授業を行います。
この日、鷹巣高校を訪れたのは、ラトビア共和国大使館のペーテリス・ヴァイヴァルス(Peteris Vaivars)大使。開会にあたり、星野校長が「講演をとおして、国際問題に対する関心や理解を深め、意識の向上を目指してほしい。自己の進路選択についても大きな参考になる。これから自分に何ができるか考えてほしい」などとあいさつしました。
ペーテリス大使は、EU公用語であるラトビア語で話し、通訳を介し授業を展開しました。はじめに「EUは、第2次世界大戦後に欧州での平和と繁栄の構築するために、それぞれの国の多様性を活かした統合形態で、欧州の国々で構成されたチーム」などとEUの歴史や文化、将来のビジョンを紹介しました。また、加盟国間の出国、入国の際にパスポートを不要とする「シェンゲン協定」。自国以外の加盟国で、大学卒業後の博士課程以上の教育や研究に取り組むことができる「エラスムス・ムンドゥスプログラム」なども紹介しました。
後半は、自国のラトビア共和国を紹介し「ラトビアは隣接するロシアやスウェデン、ドイツなどに占領され、大変な歴史を歩んできた。日本は日本人が90パーセント以上で、文化も国の中であまり変わらないと思うが、ラトビアのなかでラトビア人は40パーセントで少数民族も多いため、文化や食べ物、娯楽も多様にわたる」などとラトビアの現況や日本との暮らしの違いを分かりやすく生徒に伝えました。
この後の、質疑応答では生徒らが「EUに伝わっている日本の文化は」、「ラトビアの環境対策は」と大使に質問。ペーテリス大使は「娯楽ではマンガや相撲、日本の歴史や食文化なども伝えられている」、「ラトビアは日本に比べ人口密度が低く、環境を破壊する産業も少ないので公害もない。クリーンな環境を維持していくために日本の技術がとても役立っている」などと生徒の質問に答えました。
授業のあと、生徒を代表し佐々木一生生徒会長(3年)が「生徒一人ひとりがEUについて理解を深めることができた。今日の講演は私たちにとって重要な体験となりました。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べました。また、小塚恵さん(3年)より記念品を手渡しました。
これに対し、ペーテリス大使は「今日学んだEUやラトビアの知識が、これからの皆さんが大学や社会にでていくときに少しでも活かしてもらえたら嬉しい」などと応えました。
【ヨーロッパ・デー(EU創立記念日)】
1950年にフランスの外交官で外務大臣であったロベール・シューマンが、平和と安定を確保するために欧州統合の理念を初めて提唱したことを記念する日。
【ラトビア共和国】≪人口:224万9000人面積:6万4589キロ平方メートル≫
バルト海に面する北東ヨーロッパの共和制国家。第一次世界大戦後の1918年に独立。その後1940年にソビエト連邦に併合。旧ソ連、バルト三国を構成する共和国のひとつ。1991年にソ連から独立を回復。エストニア、リトアニア、ロシア、ベラルーシと国境を接する。
【ペーテリス・ヴァイヴァルス(Peteris Vaivars)ラトビア大使】
1963年ラトビア共和国Rujiena生まれ。 リガ工科大学でオートマチックとコンピュータ技術を学ぶ。 外務省勤務、ウクライナ、モルドバ、ルーマニア、セルビア、モンテネグロ等の大使を経て、 2006年より駐日ラトビア共和国大使を務める。 ラトビア語、ロシア語、英語の3ヶ国語を自由に操る。
ペーテリス大使は、鷹巣高校での講演会の後に通訳のオレグス・オルフロスさんらと津谷市長を表敬訪問。
鷹巣高校での講演に対し、津谷市長は「生徒に講演をいただきありがとうございました。外国の方々や特にヨーロッパの方々とは接する機会が少ない地域なので、高校生の若いときに大使からラトビアを含めてEUの話などを聞かせてもらい、生徒たちにとって非常に興味深くいい勉強になったと思う」と感謝の気持ちを伝えました。
ペーテリス大使は「私は、人口5千人ほどのルイアナと言う小さな町の出身で、北秋田市のように地方の町を訪れることはとても身近に感じます。今日の講演では、最後に生徒からおもしろい質問や興味深い質問がたくさん出て、生徒は国際的な事に対し興味を持ってくれたのではないかと思った。そして、私たちにとってもこの講演は非常にいい機会だった。今回の訪問をきっかけに北秋田市との交流を続けていきたいと思う」と述べました。
津谷市長は「この機会を通じ、ラトビアやEUの方々と1歩でも2歩でも近づいた気がします。今後お互いに交流の機会を作っていければいいと思う」と述べました。
最後にペーテリス大使から訪問を記念に、市に対しラトビアのシルバーコインが贈られました。このシルバーコインは、かつてラトビアが独立を戦った経緯などから、町がいつも自由で豊であるようにと願いが込められた特別なコインだそうです。