2010年03月21日
コンテンツ番号1889
山あいに灯す送り火で先祖を供養
春彼岸の伝統行事「万灯火」
春彼岸の中日にあたる3月21日夜、鎌沢、三木田、芹沢など合川南地区の各集落で伝統行事「万灯火」が行われ、迎え火の明かりが残雪の山間を照らし出しました。
万灯火は、合川地区や上小阿仁村など小阿仁川流域で古くから行われている民俗行事。墓地のほか、山の尾根づたいや沢づたい、あるいは川原にたいまつを灯して祖先の霊を迎えます。もともと、墓の前でワラを燃やし祖先を供養していたものを、祖先の霊を迎える道しるべとして小高い丘に集落の戸数だけワラを束ねて燃やしたことが始まりとされています。
現在は、「だま」と呼ばれている油を染み込ませたソフトボール大の布玉を針金で支柱に結び付けて燃やし、先祖をしのぶとともに、豊年満作、家内安全を祈願します。また最近では、「まとび」、「中日」の火文字や回転式の車万灯火など趣向を凝らした仕掛けも登場するようになっています。
このうち、鎌沢では、今年バンクーバーオリンピック・バイアスロン競技に出場した鈴木芙由子さん(鎌沢出身)の活躍にあやかり、五輪をかたどった万灯火も灯されました。五輪の輪と「まとび」の文字、回転式の車万灯火を組み合わせた仕掛けが幹線道路沿いに展開され、ドライバーは闇夜に浮かび上がる幻想的な万灯火の演出に車を止めて見入っていました。
合川地区では、この伝統行事を帰省客などにも楽しんでもらおうと、お盆の8月14日、夏のイベントとして「合川まと火」を開催、合川橋付近の阿仁川堤防約2にわたって万灯火が灯されます。
春彼岸の中日は二十四節気の春分。この日を境に春が駆け足でやってきます。