2010年01月15日
コンテンツ番号7647
伝統行事で豊作を祈願
作占いの小正月行事「雪中田植え」が、1月15日(金)、綴子・大太鼓の館前で行われ、JAなどの関係者約50人が田の神にお神酒を供え、豊作を祈願しました。
雪中田植えは、農家が一年の仕事始めの儀式として水田に見立てた雪の上に、稲わらや豆がらを混ぜた「稲」を植え、一年の作柄を占う民俗行事。干ばつや台風などの「邪気」を祓い、神聖な田の神に、五穀豊穣を祈る大切な儀式でした。
秋田県内でも古くから行われ、江戸時代の紀行家・菅江真澄も八郎潟周辺で行われた行事を1810年に「小正月の田植え」として絵図に残しています。しかし現在では、綴子のほかは、湯沢大倉集落など限られた地域で伝承されているだけです。
綴子地区では、戦後の一時期行われたのを最後に途絶えていましたが、昭和58年に篤農家の故・高橋佐一郎さんが復活させ、その後昭和63年から旧綴子農協青年部が遺志を継いで「再復活」、現在は、JA鷹巣町青年部(堀内英俊部長)が継承しているものです。
大太鼓の館入り口前に特設された雪田の前では、堀内部長(37)が「昨年は日照不足のため不作の年だった。今年は豊かな実りを期待したい」とあいさつ。
この後、菅笠をかぶりけら(蓑:みの)を着た堀内部長が、稲に見立てた稲わらと豆がらを30センチ間隔で4条に4株ずつ計16束を植え付け、そのあと、虫除けや田の目印となるすす払いのわらぼうきを逆さにして雪田の中心に立て、大根の煮しめやナマス、デンブ、お神酒を供え、大豊作と米価の上昇などを祈願しました。
2月1日には、豊凶を占うため稲刈りが行われます。「稲」が直立していれば実がはいらない不稔(ふねん)、倒れていれば風水害による倒伏を意味し、それぞれ凶作、たわわに実った稲穂のように適度に傾いていれば豊作、という一年のお告げが出るとされています。
(2010.1.15)