2011年11月09日
コンテンツ番号9528
地域ぐるみの防災体制確立を目指して
(2011.11.9)
119番の日」の11月9日(水)、北秋田市消防本部では北秋田市自治会連絡協議会の佐藤光悦会長が一日消防署長に任命され、消防功労表彰式や消防演習の査閲などを務めました。
この一日消防署長は、秋の火災予防運動期間中(11月6日〜12日)の「119番の日」に市民の消防全般に対する理解と認識を深め、防災意識の高揚を図ることを目的に同消防本部が毎年行っているものです。総務省消防庁では、消防に対する正しい理解と認識を深めるとともに、防災意識を高め、地域ぐるみの防災体制を確立する手助けとなるために、昭和62年より11月9日を「119番の日」としています。
午前8時30分、同消防本部前では、杉渕敬輝消防長が佐藤さんに一日消防署長の委嘱状を交付。杉渕消防長は「今日は119番の日と、秋の火災予防運動期間中の啓発活動ということで、佐藤さんに一日消防署長をお願いしました。今年は、東日本大震災をはじめ各地で大きな災害が起きる中で、地域住民との繋がりや助け合いは重要であり、私たちが行う消防活動は、その上にのった形で進めなければいけないということが指摘され、認識が変わってきています。そういう意味で、自治会連絡協議会の会長である佐藤さんに私たちの活動を見ていただき、お気づきの点などをご指導いただきたい」などとあいさつ。
一日消防署長の佐藤さんは「災害はいつ発生するかわかりませんが、その都度、消防職員や関係団体の瞬時の行動により、私たち住民は安心で安全して暮らせる生活を過ごしています。自治会としても自分たちの地域は自分たちで守るという強い意志を持って、今後自主防災組織の結成に向け関係機関と協議を重ねていく所存です。今年は東日本大震災や津波による福島原発の事故、台風被害と全国的に大規模な自然災害が発生しました。今日は一日消防署長の委嘱をいただいたので、自分自身の勉強と併せて、日頃の皆さんの活動を見させていただきます」などと述べました。
続いて、一日消防署長の佐藤さんは、消防署員が号令のもと点呼や身分証の提示、消防車や救急車の作動を点検する通常点検を査閲し、署員から消防業務の説明を受けました。
午前10時、同消防本部では消防功労表彰式が行われ、10月3日に阿仁水無で発生した住宅火災において、迅速な通報と初期消火で火災を最小限に止めた3人の市民に対し、一日消防署長の佐藤さんが感謝状を贈りました。
感謝状が贈られたのは、いずれも阿仁水無の加賀谷孝樹さん(49歳)=団体職員=、加賀谷さんの妻美由樹さん(48歳)=会社員=、佐藤良樹さん(56歳)=団体職員=の3人。
火災は10月3日午後6時30分頃、一人暮らしの高齢女性宅で発生し、火元の女性が隣家の佐藤良樹さん宅に駆け込み、助けを求めました。自宅にいた佐藤さんは、阿仁分署へ通報後、火元の女性宅へ消火活動に向かいました。一方、加賀谷さん夫妻は、車庫が女性宅の向かいにあり、仕事帰りで車を車庫に入れる際に火災に気づき、加賀谷美由樹さんが119番通報し、加賀谷孝樹さんが女性宅へ消火活動に向かいました。加賀谷美由樹さんは119番通報のあと、火元の女性に付き添っていたそうです。
火災は、台所のガスコンロ付近から出火し、炎は天井には届いていなかったものの、煙が充満し天井から胸あたりまできていたそうです。先に火災現場に入った加賀谷さんと後から続いた佐藤さんの2人は、台所の蛇口や洗面所から水をくみ、身を挺して初期消火を実施し、延焼を防止しました。消防隊員が駆けつけた頃には、2人の消火活動により火は消えていたそうです。
感謝状の贈呈にあたり、一日消防署長の佐藤さんは「3人の迅速な対応により、火災を初期の段階で消し止め、被害を最小限に止めた功績は誠に大きなものがあります。近隣の助け合いという共助の模範となる活動であり、そうした活動が地域に広がるよう祈念します。おめでとうございます」などと3人の勇気ある行動を称えました。
佐藤良樹さんは、「まずは消さなければと思った。加賀谷さんと2人で逃げずにがんばった。私は隣家なので必死でした」。加賀谷美由樹さんは、「とにかく大きな火事にならなくてよかった」。加賀谷孝樹さんは、「近隣に広がらなかったのが一番よかった。火元の女性は顔見知りでしたが、家の中はどうなっているのかまったくわからなかったので、大変だった。自治会などで一人暮らし世帯を回るなどし、消化器があるのか無いのかなど事前に把握することができればいいと思う」などと、それぞれ感想を述べました。
このあと、一日消防署長の佐藤さんは、緊急援助隊活動や自主防災組織などについて説明を受け意見を交換し、また、消防隊員の消火訓練や自動車からの救出訓練の査閲など、一日消防署長の任務を務めました。