2011年11月21日
コンテンツ番号9544
地域課題についてのシンポジウムを開催
(2011.11.21)
国立大学法人秋田大学が主催の平成23年度大学改革シンポジウムが11月21日(月)市交流センターで開催され、事例紹介やパネルディスカッションを聴きながら、参加者は地域の課題などについて考えました。
秋田大学は県北部地域の活動拠点として、平成22年11月17日に北秋田市に分校を開設。「地域との共生」を目標に掲げ、学生に地域との関わりを持たせ、地域活性化を目指す各主体と連携して多様な取り組みを展開しています。
今回のシンポジウムは、これまでの実践活動事例を発表することにより地域活性化への住民の期待感を確かめ、意見交換をする場として開催され、約180人が来場しました。
始めに吉村昇・秋田大学長が「この地域は多くの森林を持っている。ぜひ、この森林を活用した産業を展開し雇用の促進などを図っていただきたい。また、福島県の原発事故ではゼオライトが注目されている。地域資源である珪藻土も、いつか注目される日がくると思っているので、その時のために大学でも研究を進めて行く。大学では皆さんと手をつなぎ、地域の発展に貢献していきたい」などとあいさつしました。
続いて、津谷市長は「先ほど学長がお話したとおり、この地域は森林資源が多い。国の補助なども利用して、事業を展開していきたい。また、今回のテーマは学生力となっておりますが、今年800人という県北最大規模の秋田北鷹高校が開校しています。市としてもバックアップしながら、若い力が発揮できる環境づくりをしていきたい」などと話しました。
引き続き行われた事例紹介では、始めに『珪藻土の特性』について発表されました。「珪藻土は建材や七輪、ビールのろ過助剤として多く使われていますが、高い断熱性と保湿性を持っており、他の素材と比較しても高い結果が出ており、いろいろと利用ができる」との研究発表がされました。
今年、開発された冷却タオルについても「他の製品に比べ、身体を冷やし過ぎることがなく、長時間冷感機能を維持することができ、また、天然の素材のため、廃棄の際にも環境負荷の懸念が無い」などと商品の特性についての発表がありました。最後に秋田大学准教授の小川竜二郎氏は「今後も市民の皆さんと珪藻土を使った新アイテムを開発していきたいと思っている。皆さんからご意見、アイデアをいただいて、地元業者が参入できる商品開発を目指していきたい」などと話しました。
次に『内陸線の振興プロジェクト』については、今年9月(第1回トレインミーティング)、10月(第2回トレインミーティング)に行われたトレインミーティングでの実践報告を北鷹高校の生徒が発表。「市民病院への一律切符の発行」「車内に北鷹高校の校内新聞を掲示する」「高校生が車内アナウンス」をするなど、内陸線のイメージアップや北鷹生が自ら取り組める活動、また、それらの活動についてのメリット、デメリットなどの分析結果も発表されました。
また、秋田大学からは住民アンケートの結果を基に、内陸線を利用して地域の活性化に関して、住民の意識は「行政に頼りきる傾向がある」「市の良い所が分かっておらず、観光案内できる人が少ない」などと課題に上げ、「市民一人一人が地域活性化のため、何とかしようという意識を持たなければならない」と話しました。
この後、、「地域活性化の諸課題と地域連携について」をテーマに、パネリストの3人によるパネルディスカッションが行われました。最初にパネリストが今回のテーマについて自分の考えていることを話しました。主な内容は次のとおりです。
北秋田WATOGA協同組合プロモーター 鈴木和浩氏
WATOGAでは地域資源である珪藻土を使った冷却タオルを作成した。冷却タオルでは、あまり大きなビジネスには繋がらないと思われる方もいると思う。しかし、今年、冷却タオルは色々な種類はあるが、節電等の影響もあり、500万本の売り上げがあったとされており、ちょっとしたきっかけから大きなビジネスに発展することがある。珪藻土の特性を活かした商品は色々できると思っている。市民の皆さんから多くのアイデアをいただき、地域資源を有効利用して地域活性化を図っていきたい。
秋田内陸縦貫鉄道(株)取締役 佐藤廣道氏
内陸線を利用する観光客は年間約10万人、1人当りの乗車料金は平均500円ということで、約5000万円の経済効果がある。更にその10万人の観光客が地元商店街で500円使うと、そこでも5000万円の経済効果が期待される。観光客を増やすためには、内陸線は必ず必要。ぜひ内陸線を利用した企業戦略を考えていただき、市民と一体となった地域活性化を目指していきたい。
北秋田市 虻川広見副市長
現在の課題は「商店街の衰退」「道路整備」「高齢化・少子化」「雇用の確保」と考えている。市では、中心市街地活性化検討委員会の設置やトラック市の開催、板橋区とれたて村等アンテナショップへの参加など、商店街の活性化や販路拡大を目指している。その他にも環境整備、リーダーの育成、組織の立ち上げ等、行政の役割はたくさんある。しかし、実際に活動していくのは住民の皆さんであることを認識していただき、市民と一緒になって地域を盛り上げていきたい。
続いて、パネリスト間での質疑応答が行われました。主な内容は次のとおりです。
WATOGA鈴木氏⇒内陸線佐藤氏
今後、集客のために考えているプロジェクトがあれば教えてほしい。
いろいろな企画を考えているが、何よりも内陸線から見る景色と地域の人たちを交えた風土を売りとして、売り込んでいきたいと考えている。
WATOGA鈴木氏⇒虻川副市長
自分は仙台出身ですが、北秋田市に来て景色や食べ物など、良い所がたくさんあると感じているが、内側にいると、分からないことが多いと思う。その対策について教えてほしい。
地域アドバイザー事業に申請したいと思っている。外の人に意見を求めるのも有効と考えている。
内陸線佐藤氏⇒WATOGA鈴木氏
冷却タオルをもっと違うデザインに変えれないか。また、制服などにも珪藻土を使えないか。
いろいろなデザインを考えている。また、作業服などにも珪藻土を使用したものを開発している。縫製業が専門だが、それにこだわらず皆さんにはアイデアを出してほしい。
内陸線佐藤氏⇒虻川副市長
観光客に北秋田市だけを目指して観光にきてもらうというのは、やはり限界がある。 観光客がどういった観光ルートを多く利用し、そうした人達をどうやって呼び込んでこれるかを検証する必要があると考えるが。
仙北市をはじめ、弘前市までのルートなど、連携をとりながら集客に努めている。また、各交通機関も視野に入れながら検証していきたいと考えている。
虻川副市長⇒内陸線佐藤氏
全国には多くのローカル線があるが、それらとの違い、売りは。
やはり風土と考えている。「秋田名物内陸線」をキャッチフレーズに市民・県民が自慢できる鉄道にしたい。
また、最後には市民から「内陸線に関する俳句の募集を継続してほしい」「北秋田市に大学を建設できないのか」などと質問や要望が出されるなどし、市民も一体となって地域の活性化について考えました。