2011年08月14日
コンテンツ番号4007
伝統の郷土芸能で観衆を魅了
(2011.8.14)
国の重要無形民俗文化財に指定されている郷土芸能「根子番楽」が8月14日(日)、旧根子小学校の体育館で公開され、地域住民や帰省客など約200人の観衆が伝統の郷土芸能を観賞しました。
「番楽」とは山伏神楽の一種で、かつて修験道の山伏たちによって行われていた神楽です。11月から正月にかけて、山伏たちが権現の獅子頭をまわして村々を巡り歩き、息災延命、悪魔祓いの祈祷を行っていたときに、その宿泊先の民家等で古風な舞いを演じたものとされており、東北地方に分布し、日本海側で「番楽」、太平洋側では「山伏神楽」「権現舞」などと呼ばれています。
根子番楽は古くから同集落に伝えられ、現在は根子番楽保存会(佐藤松夫会長)や子ども会によって保存・継承されている民俗芸能。古来の神楽や能楽に起源を持つとも言われ、歴史的・芸術的に価値の高いことから、昭和39年(11月17日)には秋田県無形民俗文化財に、平成16年(2月8日)には国の重要無形民俗文化財に指定され、毎年8月14日のお盆と、9月第2日曜日の根子神社祭典の際に保存会の手で公開されています。
特に歌詞の内容が文学的に優れていることと、舞いの形式が能楽の先駆を成す幸若舞以前のものであることが賞賛されており、舞いはテンポの速いリズミカルな囃しに合わせて舞う勇壮活発な武士舞いと、古雅で静かなリズムが特徴の古典的舞いの二つに分別されています。
この日は、日中の気温が30度を超えたことや大勢の観衆の熱気で、開演時間の午後7時30分になっても体育館の室温は30度を示し、出演者も観衆も汗だくになっての番楽公開となりました。
はじめに、保存会の佐藤会長が「この暑いなか、ようこそお出でくださいました。根子の番楽を愛してくださる皆様のためにがんばって演じたいと思います。番楽はだいたい2時間位です。最後までゆっくりご覧ください」などと歓迎のあいさつ。
つづいて、口上で出演者の代表が観衆にあいさつをしたあと、舞台の両脇に控えた笛と太鼓、鉦などの軽快なお囃子に乗って小学生による舞「露払い」から舞曲が始まりました。この後は、能のように面を付けた演じ手が天地長久を祈って舞う「翁舞」、狂言のようにコミカルなしぐさの「三番叟」、牛若と天狗の兵法比べを表すという勇壮活発な「鞍馬」など11演目が次々と披露され、観衆は、独特の小気味良いテンポで演じられる舞の数々に、惜しみない拍手を送っていました。