2011年08月16日
コンテンツ番号4004
伝統に灯籠流しと花火で先祖供養
(2011.8.16)
阿仁地区のお盆行事「第49回阿仁の花火と灯篭流し」が8月16日(火)、阿仁「河川公園」で開かれ、市内外から訪れた大勢の見物客が灯篭の光と夜空の花火が織りなす幽玄の世界に浸りました。
主催は阿仁の花火実行委員会(菊地忠雄委員長)。この日は日中に大雨警報が出るなど天候が心配されましたが、会場は雨もなく夕方から会場に観客が続々と詰めかけ、シートを張るなど観覧場所を確保していました。
灯籠流しは、お盆に帰ってきた死者の魂を現世からふたたびあの世へと送り出すために、死者の魂を乗せた灯籠を流す行事。阿仁地区では、花火大会に合わせ阿仁仏教会(佐京寛定会長)と同会灯籠流し奉賛会(中嶋鉱一会長)が中心となって開催しており、午後6時すぎから会場入り口付近に設けられた仮設の祭壇で、祖先の霊を招霊し供養する儀式「一代供養」が行われました。
式典には、善導寺、専念寺、善勝寺、耕田寺、法華寺、福厳寺の6寺院から檀家代表と住職らが参加。法華寺の住職である佐京会長が表白を読み上げ、中嶋会長の祭文、今井乙麿名誉会長による物故者への追悼文朗読などの後、僧侶による読経と檀家代表の焼香で祖先の霊を供養しました。
あたりがお香の匂いと読経の響きに包まれる中、灯篭流しが始まり、各檀家から持ち込まれた灯篭が係員により1つずつ火が灯され、阿仁川に流されました。流された灯篭は約700個。夕暮れの薄明かりの中を川面に影を映しながら灯篭がゆらゆらと流れ、川辺で見守る見物客らもその幽玄な美しさを堪能していたようでした。
午後7時30分ごろ、慰霊として「精霊(しょうりょう)に祈りを込めて」と題した、スターマインと4号玉10発の慰霊花火が打ち上げられて始まった花火大会では、はじめに主催者を代表して菊地実行委員長が「今年3月の東日本大震災で花火と言っていられないほど大きな災害がありました。しかし各地域で東北がんばろう、北秋田市がんばろうという合い言葉で立ち上がっています。被災地でもお盆を迎え、それぞれの地域では亡くなられた方々の供養とご冥福を祈る花火を打ち上げて元気を呼び起こそうとしています。阿仁の花火も49回目。東北がんばろう。北秋田市がんばろうという花火を打ち上げたい」と開催宣言のあいさつ。
続いて、来賓として虻川広見副市長が東日本大震災で被災された方々にお見舞いと復興を願いながら「阿仁の花火大会は夜空に繰り広げられ間近に見られる花火と轟音が醍醐味であります。会場の皆さんとともに被災されました方々に、阿仁の地から元気を発信し、いくらかでも活力に資していただければと思います。皆さんも存分に阿仁の花火を堪能していただきたい。ご来場のみなさんにとって、この花火大会がこの夏の日のよき思い出となることをご祈念します」などと歓迎のあいさつをしました。
開始号砲が鳴り響いたあと、「開幕を彩る希望の花束」と題した大スターマインをはじめ、御祝いや慰霊のメモリアル花火など、4号から6号の割り物花火、色とりどりのスターマイン、花や蝶をかたどった造形花火が次々と打ち上げられました。
川幅約100mほどの阿仁川をはさんで対岸から打ち上げられる数々の花火は、間近に迫ってくる光のきらめきと山間に共鳴する轟音で迫力満点。フィナーレの「きずなの光〜輝く未来を信じてる〜」と題した小型煙火付スペシャルスターマインが夜空を焦がし、今年の大会を締めくくるまで、見物客は、美しい灯籠絵巻と山峡にこだまする花火との競演を堪能していました。