2011年06月21日
コンテンツ番号3916
トップセールスなどについて5議員が質問
(2011.6.21)
平成23年北秋田市議会6月定例会の本会議が6月21日(火)、議事堂で再開され、5議員がトップセールス観光対策などについて一般質問を行いました。
このうち、トップセールスについて「産業振興のみならず、市民生活全般の向上を目指し、生活基盤・インフラの整備、健康・福祉分野の諸課題であっても、私自らが足を運び、PRや交渉することによって、一つでも解決の方向性が見出されれば、市民生活の向上に繋がるものと考えている」などと答弁。
また、観光対策について「今年の秋にはJR東日本のミニデスティネーションキャンペーンがあり、来年度はプレデスティネーションキャンペーン、そして平成25年度には、全国規模のデスティネーションキャンペーンが秋田県で開催される。過去の開催地を例にすると、総じて観光客が増加しているとの実績もあるようなので、今からしっかりと見据え、これらのキャンペーンにも積極的に参加しながら、森吉山阿仁スキー場のみならず、その周辺、更には市の観光・物産全体としてのPRを図っていきたい」などと答弁しました。 各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
各議員の質問と、市長ほか市当局の答弁の要旨は次のとおりです。
板垣淳 議員 共産党議員団
順位:2-1
1.医療について
①指定管理制度上も市の財政上も、市民病院への赤字補てん、納付金免除は見直す必要があるのではないか
たしかに高額となる指定管理料は、市財政圧迫の一因だが、また一方では、適切な指定管理料は制度上認められているもの。 現在、市民病院の指定管理は、年度初めの指定管理料と決算後の調整額の2本立てで、厚生連に病院経営をお願いしているが、この決算後の調整額は、市民病院の指定管理を厚生連が引き受けるにあたり、市民病院が新たな場所にオープンすること、あるいは、新病院であるため、患者数や施設の維持費の見通しが立たないことなどから、年間経営の収支均衡を条件に市民病院の指定管理を引き受けてもらった経緯があるので、市民病院の経営が安定し、落ち着いた段階で、当然、決算後の調整額は、見直しをしなければならない。 また、制度上認められた指定管理料は、市としてもその対策として、市民病院の経営内容を審査し、指摘ができる体制で臨んでいるが、高額な指定管理料の大幅な改善のためには、何といっても、医療体制の充実が必須である。 現在の病院施設をフルに活用できる体制こそが、医療収益の増に繋がり、指定管理料の減額イコール市財政に好影響を与えることになるからである。 そのため、要となるのは医師確保にあると感じているので、昨日の関口議員にもお答えしたとおり、1人でも2人でも常勤医師が増えるよう、厚生連とともに取り組んでいきたい。 また、納付金の免除は、仮に市が納付金をもらったとして、それが経費として指定管理料に跳ね返るようであれば、市として実益がないことになるので、そのような状態が回避された段階で、納付金の免除についても検討したい。 次に、3点目の指定管理の内容を前市長の方針に変える考えはないかとの質問ですが、当市民病院の指定管理はいわば、随意契約的な指定管理であります。つまりは相手があっての指定管理なので、相手の状況が許すようであれば、すぐにでも交渉を進めたい心境ですが、現実的には市民病院が安定的に黒字経営化しない限り難しいのではないかと感じている。
②市民病院療養病床への患者移行ならびに、その後の療養病床の運営はスムーズに行われているか
第1点目の、療養病床入院患者数は6月15日現在で21人。第2点目の、療養病床を48床にする目処は、4月から療養病棟が動き出したばかりであり、担当医、看護師等の受け入れ体制の関係と入院患者の容体等の関係からも、当面は40床を目処に運営していくこととしているので、48床の受け入れ時期は、現段階では見通しがたっていない。 次に第3点目の件は、医学的因果関係が証明できないことから、安易に申し上げる事はできないが、亡くなられたお三人のご遺族に対しては、お悔やみを申し上げる次第であります。また、特別養護施設にお移りいただいた方のリハビリの件は、市自らが患者さん一人ひとりの詳細な病状の情報を確認し、入院や施設入所への人選を行うことが不可能だった。 と申すのも、米内沢病院の持つ患者さんの病状等の個人情報を守秘義務の観点から市が情報を共有できなかったからであり、市としては米内沢病院に対し患者さんの状況に十分配慮して、入院あるいは入所の人選をするように要請したもの。 第4点目のナースコールを押せない患者・家族の不安解消は、一般病床の患者さんでも同様の方がおられるので、施設を改修するのではなく、患者の状態に応じて、見回り回数を調整することが、実務的であるように感じるが、どちらにしても、質問の主旨を市民病院へ伝えて、患者の不安解消に努めさせたい。次に第5点目のテレビの設置は、市民病院の療養病棟開設にあたり、県内の病院・病棟を視察したところ、テレビを置いている病院が少なかったことから、現在設置していないが、患者さんや家族からの要望もあるとすれば、設置に向けて検討したい。
③米内沢病院が診療所になったことによる影響をどう見ているか
米内沢病院が診療所に移行したことに伴う市民病院の負担は、一昨年、米内沢病院が救急告示を取りやめているので、大きな影響はないと考えている。また、2点目の通常の診療体制は、議員ご指摘のとおり、医師と市の体制についての問題と捉え、まずは状況を確認し、是正に向けて取り組んでいきたい。3点目の旧米内沢病院の職員の雇用に関する問題は、係争中であり詳細は控えさせていただくが、雇用の問い合わせはこれまでも対応している。最近は問い合わせがないということだが、あればきちんと対応していきたい。
2.観光について
①観光分野における“トップセールス”の具体施策は
観光で地域の活性化や振興を図る上で最も大切なことは、いかにして市外あるいは県外の方々に、「この北秋田市を認知してもらい、来ていただくか」ということではないか。もちろん観光施設を訪れる地元の皆様も大切なお客様には変わりないが、地元のお客様だけに視線を向けた施策を展開しても、市全体としての観光振興や地域活性化へのつながりは弱いものと考えている。そういった意味からも、私のセールスは、県内外に広く、そして小まめに足を運びながら、この北秋田市をPRし、誘客にあたることを念頭に取り組んでいくので、市内の観光事業に携わる皆様にも新規観光客の獲得とあわせてリピーターの確保などに積極的に取り組んでいただきたい。
②DC(ディスティネーションキャンペーン)への取り組みならびに準備状況は
今年の10月1日から12月31日までの3ヶ月間、JR東日本の「重点販売地域」の指定に伴う観光キャンペーン、いわゆるミニDCが「自然豊かな風土と温かな人情に育まれた"秋田の食"の奥深い魅力を全国へ」を基本テーマとして開催される。具体的日程等の詳細はまだ入ってきていないが、JR山手線主要駅(上野、有楽町、品川を計画)でのイベントの開催などが計画されているので、積極的な参加を図っていきたい。また、去る5月9日には、全国のJR6社が全国規模で集中的に開催地を宣伝する大型観光キャンペーン(デスティネーションキャンペーン=DC)の平成25年秋の秋田県での開催が発表された。こちらについては、これから計画づくりに着手することになるので言及はできないが、これまでの開催地では軒並み観光客が伸びており、経済波及効果も大きいものと評価されており、大いに期待しているところ。県では今年のミニDCを始めとして、来年にはプレDCを開催し、平成25年のDCに繋げていきたいという考えも持っているようで、当市としてもそれに乗り遅れないよう、観光資源の発掘や改良、更には受入れ態勢の整備に努めていきたいと考えており、そのために市内の関係機関や団体等で組織する会議等を今から開催し、協議・連携を密にしながら取り組んでいきたい。
③マタギの里観光開発株式会社の賃金未払い問題について、市はどのように関与、指導していくつもりか
この件は、3月23日開催の取締役会並びに株主総会にて虻川副市長が報告を受けている。82.5%の出資をしている市としても、同社の経営に関しては大きな責務があり、市の重要な観光施設等の運営主体でもあるので、今後とも労働基準監督署等の指導を基に法令等を遵守しつつ、社内の融和を大事にしながら適切に対応してもらうよう強力に指導していく。
黒澤芳彦 議員(政友会)
順位:2-2
1.市長の政治姿勢について
①市長のいう「トップセールス」の具体的中味について
私のトップセールスは、北秋田市長として「小まめに足を運び、顔を出す」ことを基本に取り組み、産業振興のみならず市民生活全般の向上を目指している。したがって、生活基盤・インフラの整備であっても、健康・福祉分野の諸課題であっても、私自らが足を運び、PRや交渉することによって、一つでも解決の方向性が見出されれば、市民生活の向上に繋がるものと考えている。黒澤議員からご提案の中央省庁から人材を派遣してもらうことも、いわばトップセールスで行うべき事項の一つとして、私も考えていた。しかしながら、現在、国の情勢が不安定なこともあり、具体的な検討には至っていないが、旧鷹巣町時代に当時の厚生省や農林水産省との人事交流を実施した経緯もあるので、まね事ではなくて、その効果等を検証させていただきたい。また、この度の東日本大震災では、広範囲にわたる未曾有の大震災であったことから、支援のお仕着せをするのではなく、被災地の状況を見極めながら、冷静に対応する必要があると判断させていただいた。全国市長会でも窓口の一本化が提案されていたが、市としても、県を窓口とした一定のルールのもと、基本的には積極的に支援するという立場で、避難者の方々の受け入れをはじめ、職員の派遣等、被災地の要請にこたえてきた。当市には現在も避難されている方々がたくさんおられるが、そういった避難者の方々の対応も含め、一日も早い復興に向けて今後もできる限りの支援をしていきたいと考えている。また、大館能代空港の搭乗率アップ策について、「もっと早い時点で支援策を打ち出すべきでなかったか」とのご質問ですが、市としても「空港所在市」として、昨年度の早い段階から、空港建設当時に取り組んだ「フライト預金」のような地域の盛り上がりや、あるいは市民や市内企業の皆様を巻き込んで、利用しやすい割引や価格帯の設定等ができないかなど、多方面から検討し、金融機関や搭乗券発売機関など各関係団体と協議をしてきたが、合意に至ることができなかったことから、今議会に提案している片道5,000円の助成事業となったものである。
②副市長二人制について
多様化する行政課題に的確かつ迅速に対応したい、として二人制を敷かせていただいた。その役割としては、虻川副市長が特命事項を、そして工藤副市長が内部事務の統括としているが、役割を分担したことにより、スピードアップされた処理案件も現れてきているし、それぞれが特定分野に深く関わることで、専門性が増しており、的確性もこれまで以上に担保されてきている。また、民間から虻川副市長を迎えたことで、まだ短期間ではあるものの、これまで気がつかなかった住民サービスに対する様々な指摘があり、職員の資質の向上に繋がっていると感じている。加えて、両副市長には業務のフォローにとどまらず、重要な場面では、それぞれの事務分掌を超えて、全市的あるいは全庁的な立場で提言や助言をしてもらうという、補佐役としての任務も果たしてくれている。 特に本年度は、私が積極的にトップセールスを行うためのサポートも重要な役割の一つとなっており、虻川副市長には、訪問先の選択やアドバイスなどの地ならしを、そして工藤副市長には、私が留守中の内部の統括を担ってもらいたいと考えている。一方で、デメリットとしては、情報の偏りが懸念されるところであるが、起案文書等は両副市長とも確認できるようにしているし、毎月開催される部長会議でも情報の共有化を図っている。これまで述べたように、副市長二人制の運用に関しては、その目的である市行政全体のコスト低減や市民生活の向上に向け、有効に機能していくものと考えている。
2.バイオマス事業について
①有機センターの利用について
有機センターは、畜産環境の整備と併せ資源循環型農業の推進を目的として設置した施設であり、現在、有限会社北秋田市有機センターが指定管理を受けて運営している。議員から提案の菌床椎茸の栽培ブロックを活用した有機質堆肥は、栽培農家からのブロック処分の依頼もなく、また、その効果や供給量並びに配合成分のマニュアル等がないことから、同有機センターは、従来どおり家畜排せつ物の堆肥化事業を進めながら、経営の安定を図るとともに、環境保全型農業の推進と農産物のブランド化による農家経営の安定化に繋げていきたい。
②山の保全と木の利用について
議員の提案の「森との共生」を目的とした森林づくり条例の制定も一つの手法と考えるが、例えば、今年度より国の「森林・林業再生プラン」に基づき、県が行っている事業の一つに、森林経営計画に基づき、間伐施業箇所を集約化した路網整備と搬出間伐の実施により搬出材積に応じて60年生まで補助金を受けることができる事業があり、さらに市独自で事業費の最大で15%の嵩上げを予定していることから、以前に増して、森林整備の促進が図られるものと考えている。また、木質ペレットは、課題も多く、事業を推進するのは困難な状況であります。バイオエタノールや木質ペレットとも、流通はこれからというのが現実であるし、コスト面でも林地残材等の原料価格がポイントとなるが、収集してチップにするためには、紙パルプ用チップの市況価格の倍以上の経費となり、山に原料はあるとしてもコスト的に合わないことになる。未利用バイオマスの利活用を単純に市場原理だけで評価すべきではなく、多様な波及効果が期待できる取組としてとらえることも必要であるが、実際に事業に取り組むにはリスクが大きいと考える。議員提案の長下処分場にある破砕機のバイオマス事業等への有効活用について、破砕機は現在、搬入されるつど稼働させることは不経済なので、1日に処理できる量までストックしてから稼働している状況。破砕機のバイオマス事業等への有効活用については、北秋田市上小阿仁村生活環境施設組合と協議させていただきたい。
3.福祉について
①介護認定について
介護認定は、更新も含め認定を受けようとする本人もしくは家族等からの申請に基づき、心身の状態や日頃の生活の状況、それから家族や居住環境などについて訪問調査を行い、それと並行して、主治医に意見書を作成してもらっている。その調査結果と主治医の意見書をもとにコンピュータによる一次判定を行い、その結果や主治医の意見書をもとに認定審査会において審査し、要介護度を決定している。介護認定審査会は、議員も指摘のとおり、関係法令及び条例により委員の定数を30人と定めており、それを定数が各5名の6つの合議体により、毎週火曜日を審査日として、3合議体ずつ認定審査を行っているが、過重にならないように各合議体は2週に1回程度の審査とするなどの配慮をしながら、認定審査を行っている。審査会の委員は、要介護者等の保健、医療又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから市町村長が任命することになっており、当市では6つの合議体とも医師、看護師、保健師、福祉施設の管理者等を配置しながら、審査会には、医師の意見書についても審議するので、必ず医師が参加できる状況のもと、3人以上で審査を行うよう努めている。また、適正な判定を行うため、1週間前には審査資料を各委員に配布し審査会に臨んでもらっているので、申請から訪問調査や主治医による意見書の作成、そして一次判定など、要介護度の決定までは、ある程度の時間が必要。関係法令上においても申請から約30日以内に審査判定を行うこととされており、適正かつスムーズな判定ができるよう努めているので、ご理解をいただきたい。なお、認定が決定される前でも、介護サービスが必要な方々に対しては、暫定的なサービスの利用が可能な体制を整えているので、ぜひ担当に相談いただきたい。
吉田仁吉郎 議員(清和会)
順位:2-3
1.阿仁地域の振興について
①阿仁しょうぶ園について
花菖蒲園は昭和54年6月開設され、今年で32年目。 菖蒲は「株」が大きくなると衰えるということであり、これまでも幾度か株分けを行っているが、近年は菖蒲の咲きが悪く、平成21年度からは休園とし、昨年度から株分けの作業を3年かけて行い、平成25年度の開園に向けて作業をしている。当施設は、阿仁スキー場・ゴンドラへの入口に位置しており、通年で観光客が往来する所でもあるので、今日庵広場と一体的に、かつてより多くのお客様を呼び込めるように、規模や費用対効果も考慮しながら検討していく。
②市道「ブナ森線」について
本路線は、当市のほか、秋田市、仙北市、の3市で構成している「県道河辺阿仁線整備促進期成同盟会」において、秋田市河辺和田の国道13号から仙北市玉川地区の国道341号までの区間が、地域間交流や観光、それから産業振興の上で、高い効果が期待されることから、内陸地域と県都を結ぶ重要なルートと位置付け、秋田県に対して、河辺阿仁線の整備促進と、接続する市道「ブナ森線」の県道への昇格を積極的に要望してきたところ。今後も地域振興のため、この同盟会を通じて、ブナ森線の整備に、より一層努めていく。
③森吉山ぶな帯キャンプ場ケビンについて
この施設も設置されてから32年が経過し老朽化が進んでいる。特にケビンの土台となる下部の痛みが激しく、利用にはとても危険な状況であることから、平成22年度より休止している状況。平成21年度の利用実績は、管理棟を含め20名の利用であったが、ケビン7棟を補修するには、多額の費用が予想されることから、現在、対応に苦慮している状況。ただ、独自でケビンなどの補修をし、活用して行きたいと考えている山岳関係団体もあるようなので、今後正式な協議の場を持ちながら、具体的に検討していきたい。
④国体アーチェリー会場跡地について
阿仁吉田の国体アーチェリー会場跡地は、平成4年に旧阿仁町が運動公園用地として約9haを営林署から取得したもので、その後一部を森林組合へ貸付するなどによって現在は約7haが未利用地。当初は取得目的による利用制限があったが、国体会場としての利用実績によりこの制限は解除されており、現在は、売却も貸付も可能な土地である。近く、市の消防訓練大会の会場として利用されることが決定しているが、阿仁地区では、他に得難いまとまった面積の平坦地であることから、一過性のイベントの利用だけではなく、議員からの林業関係の提案も含めて、何らかの形で恒常的な利活用が図られることが望ましい姿であると思っている。また、この土地に限らず、市にはたくさんの未利用地がある。市としても利活用の方法を見出すべく努力していくが、議員の皆様におかれても、何か具体的な情報がありましたらご協力願います。
山田博康 議員(清和会)
順位:2-4
1.観光施策
①震災後の観光業者支援
北秋田市の施設を利用してもらうような市独自の支援策を考えられないか、との質問ですが、この度の東日本大震災では、観光施設でのキャンセルが相次ぐなど、その影響は計り知れないものと認識している。しかし、そのような状況の中でも、過去にこちらに訪れてくれた被災地の方々の安否を確認したり、連絡を取り合ったりして頑張っている施設もあり、今月2日現在で、宮城県や岩手県の被災地から7世帯、22名の方々が、短期間ではあったが、国及び県のいわゆる1泊5,000円の宿泊料支援制度を利用して、市内宿泊施設を訪れています。この宿泊料支援制度は、国の方針に基づき、秋田県と被災県及び「旅館・ホテル生活衛生同業者組合」との間で、手続き上の基本的ルールが定められているので、宿泊施設の独自判断で受入れし、宿泊料を請求するということはできないが、当市でも被災地の市町村や秋田県と連絡を密にしながら対応しているところ。ただ、この制度の活用は、大震災という事の性格上、営業促進のための説明会の開催や大々的にPRするなどといった取り組みは行っていないので、ご了承いただきたい。また、風評被害の払拭も必要だと認識している。そのため、来月の東京都板橋区訪問の際には、北秋田市の元気を大いにアピールし、更には観光のみならず物産の安全・安心もPRしながら誘客に努めていきたい。市内企業の業績回復は、震災から3ヶ月たった今でも、大きなバラツキがあるので、観光業者に限っての市独自支援策は検討していないが、市としては、被災者の受入れや被災地以外でのPR活動を通して支援を図っていきたい。
②森吉山及び周辺の観光資源の更なる活用への取り組み
森吉山に係る団体活動や山開き等、統一した中で行動をとるよう指導すべきでないか、との質問ですが、たしかに団体活動や行事を旧町の枠、あるいは団体間の枠を超えて行うことは、一定の効果が得られるのではないかと思う。しかしながら、現状ではそれぞれの団体が、それぞれの目的や考えで活動し、更には行事を開催しているので、一概に市が主導しての統一化を図ることは難しいものと考る。従い、その団体や、あるいは団体間の意思統一が図られるようであれば、市としても統一に向けた事務的支援をしていきたい。
森吉山スキー場への誘客増と周辺観光施設へのアクセス整備は、との質問ですが、 森吉山とその周辺は、当市の重要な観光資源の一つであることは、皆様ご承知のとおり。そのため、施設整備に多額の費用が掛かることも危惧されたが、議員の皆様の理解をいただき、森吉山阿仁スキー場の無償譲渡を引き受けることにした。また、森吉山ダムも概ね完成し、新たな観光スポットとして大きな期待を抱きながら、その利活用の検討を行っているところ。更に、今年の秋にはJR東日本の「ミニデスティネーションキャンペーン」があり、来年度は「プレデスティネーションキャンペーン」、そして平成25年度には、全国規模のデスティネーションキャンペーンが秋田県で開催される。過去の開催地を例にすると、総じて観光客が増加しているとの実績もあるようなので、今からしっかりと見据え、これらのキャンペーンにも積極的に参加しながら、森吉山阿仁スキー場のみならず、その周辺、更には市の観光・物産全体としてのPRを図っていきたい。いずれにしても、ハード・ソフト両面からの対応が必要と考えているが、市単独だけでは限界があるので、関係各機関や団体の皆様と協働しながら取り組みたい。
③阿仁花しょうぶ園について
菖蒲は「株」が大きくなると衰えるということであり、平成20年度頃には、実際に咲かない状態でした。そこで平成21年度から休園とし、平成22年度からは3カ年計画を立て、株分け作業に着手しており、平成25年度の再開に向け作業が進行している状況。今後は、阿仁スキー場・ゴンドラとの相乗効果も考慮し、更には今日庵広場も一体化しているので、合わせて通年観光に向けることができないか、更に規模や費用対効果も考慮しながら検討していきたい。
2.内陸線存続への取り組み
①利用者の利便性を優先した運行の実現を
今春の高校統合により通学手段等が変更されたことで生じる負担の増に対して、内陸線の利用促進と保護者への負担軽減を図るために、通学定期購入一部補助を実施しているところ。秋田内陸縦貫鉄道株式会社によると、北側の4月の内陸線高校通学定期利用者は257人で前年同期より47人ほど増加している。鷹巣着7時10分と、8時03分が通学列車として利用されているが、いずれも1両で運行されており、概ね8時03分着の車両には定員120人に対し、130名ほどが乗車している状況で、会社では「網棚が活用されていなかったり、乗車位置などで込み合ってはいるが極端な定員増ではなく、乗り方などマナーを喚起していきたい。また、車両を増結することで鷹巣着の列車が阿仁方面に帰るときに、空になって帰らなければならないことなど、経営改善を進めるうえでの運行費用が増加することも考えなければならない」との話であった。 市としては、この事業の活用により利用促進につなげたいと考えているが、混雑することで利用者離れにつながらないように、利用者の声を聞きながら会社と協議していきたい。
②観光鉄道としての更なる工夫を
内陸線では沿線の魅力や観光スポットの紹介など、観光客等へのホスピタリテイー向上、営業活動を強化することで利用促進を図る観光アテンダントを平成21年度から12名配置している。列車内での案内のみならず、ブログの発信や車内販売、イベントのPRなどで内陸線を広くアピールしている。また、内陸線を内外に知らしめるため、様々なPRを行っており、例えば、昨年度は県内のテレビ、ラジオCM、新聞広告、じゃらん等全国情報誌やタウン誌への掲載、田沢湖と角館駅に内陸線沿線情報紹介の電子看板設置などを行っている。さらに県内外のイベントに参加し内陸線や沿線観光、特産品等のPR活動を実施している。その他、県、仙北市、会社などで構成する仙北市TIC(ツーリスト・インフォメンション・センター)では内陸線を巻き込んだ着地型旅行商品の造成と販売を目指している。また、回遊型きっぷでは東北ローカル線パス(ほかに秋田夏休みパス、4遊パス)もJRなど他の交通事業者と連携し発売しているし、昨年の12月に発売された「北東北・函館フリーきっぷ」には、首都圏発のきっぷに初めて参画した。今後も、平成25年秋にJR東日本が展開する「秋田DC」デスティネーションキャンペーンに向け、連携を強化し、内陸線を全国に発信する宣伝・企画商品を販売に取り組んでいく。
3.国民文化祭への対応
①民俗芸能の祭典を
先般、県の市町村に対する説明会が行われ、その中で、県ではすべての市町村参加による実行委員会組織を早めに設置して準備を行ってほしいとのことであった。 市としても、市芸文協などの団体と協議して、どういう部門を受け入れて北秋田市全体で取り組んで行くかを検討していきたい。また、 国民文化祭の事業分野は「総合フェスティバル」「シンポジウム」「分野別フェスティバル」「国際交流事業」の4つに分けられるが、このうち市町村が実施するのは「分野別フェスティバル」になると思う。 質問の民俗芸能は、分野別フェスティバルの中でも10分野ある継続事業の一つ、「伝統芸能」にあたると考えられるが、今後の計画では、7月頃と9月頃に各市町村の意向を調査したうえで県が調整しながら事業を決定することになるようなので、市芸文協や市内の各種団体等の意向を聞きながら選択していくことになると考えている。
②根子番楽伝承館の整備
旧根子小学校の体育館を根子番楽伝承館として、練習や講演を行うことは根子自治会との話し合いで決定しているが、トイレは旧校舎を使用してもらい不便をかけているので、トイレは新しく設置することにしている。また、昨年度末に北秋田市歴史文化基本構想が策定されたことから、根子番楽を後世に保存するために、根子集落や伝承館についても協議する機会をもうけているので、市内文化財関連団体等と連携しながら保存検討しているところ。国民文化祭の受け入れの実行委員会の中で、どんな分野を受け入れるかが具体化になった際に、その中で根子番楽伝承館の位置付けを考えながら検討していきたい。
大森光信 議員(きらり)
順位:2-5
1.市長のトップセールスについて
①現在までの活動内容と自己評価はどうか
私のトップセールスとしての活動内容は、これまでの答弁に替えさせて頂くが、物や産業だけではなく、市そのもののPRに努めているところ。その評価ということになると、相手方との信頼関係の構築にこれまで以上に取り組まなければならない、ということになろうかと考えている。
②副市長の機能について
副市長二人制に伴い、「北秋田市副市長事務担任規程」を設けているが、それには虻川広見副市長の担任事務は、市長が特に命ずる事項及び市政全般の事務の統括に関することと規定している。一方、これら以外が工藤信夫副市長の担任事務と規定しているが、市政の基本計画の策定や重要施策の総合調整、その他両名によることが望ましい事柄については、両副市長の担任とすることとしている。また、地方自治法に定める市長の職務代理者の順序は、虻川広見副市長、工藤信夫副市長の順。市民の皆様に対しては、各種会議や会合等を通じて両副市長の役割が徐々に伝わっていくものと考えている。一方、職員に対しては、今述べたように当市では副市長の担任事務について、部あるいは課単位で担任するという考え方を採らず、個別の事業あるいは案件で担任するという考え方を採っているので、同じ課の案件であっても内容によっては担任副市長が異なる場合が生じてくる。その場合には先ほどの規程に基づき、担任副市長を指定し対応していく。また、本年度は積極的にトップセールスで北秋田市をPRしていくことを話しさせていただいたが、二人の副市長にはそのサポート役としてこれまでの経験を活かし、その手腕を発揮していただきたいと期待をしている。
③目標と期限の設定について
自治体のトップセールスという意味合いには、議員ご指摘の「首長が産物・産業を他の地方に売り込むこと」も重要な部分ではあるが、自治体の役割はご承知のとおり「地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」とされている。これは、産業振興に限定されるものではなく、生活基盤の整備、健康・福祉の増進など市全般に渡るものと認識している。そのような多岐に渡る諸課題を解決するために、私自らが宣伝マンあるいは交渉マンとなってPRし、売り込んで行く、これもまたトップセールスになるものではないか。自治体は自己の「生業」として直接、経済生産活動や販売活動を行っている訳ではないので、目標や期限、ノルマなどを設定することは難しいと考えるが、私の活動が、生産者や販売者、更には市民全体の生活向上に繋がるよう、積極的に取り組んでいきたい。
2.わが市に対する東日本大震災の影響について
①震災復興における長期的な展望とは
年度初めの訓示では、3月11日の震災による物流の停滞、過去の地震発生時にもあった風評被害などが影響し、農林水産、商工観光事業に大きな制限が加えられる恐れがあることや、被災地から避難されてきた方が多数いることを踏まえて、これらのことが長期化することを予想しての訓示であった。その後、外国からの渡航者の減少、放射能汚染を警戒しての諸外国の野菜等生鮮食料品の輸入制限、工場が被災したことによる工業生産の落ち込み等々、国内の景気は大きく悪化し、その影響は市内企業の売上の減少にも影響していると思われる。市としては、市内企業を訪問し、資金調達制度の紹介や相談窓口となっていることなどをお伝えしながら、現状の把握に努めてきた。私も、様々な機会を通じて「北秋田は大丈夫です」と、情報発信しながら地域産業の振興に努力していきますので、皆様からも情報提供等のご協力を頂ければと思います。また、当市へ避難されている方は、6月15日現在26世帯61人ですが、これまでの就学・就園支援や公的支援情報の提供などに加えて、就業支援や住居の斡旋など、長期避難に向けた支援にシフトしているところ。
②当市の経済損失について
震災から3ヶ月が経過した現在で損失規模はどれくらいなのか。また、市当局ではどのように事態を分析し、どのような救済策につなげていくのか、との質問ですが、先月、市内企業37社を訪問させていただき、実態をお伺いするとともに震災影響による資金調達制度の紹介などを行ったが、訪問企業の中には「最盛期の7割位まで回復してきた」とか「原材料の入荷が徐々に容易になってきた」などという企業がある一方、「まだまだ程遠い」という企業もあり、更には観光施設のように来客数が皆無に近いなど、業種によってのバラツキが大きく、3ヶ月たった現在でも実態把握は困難な状況にある。ただ、秋田県が創設し、商工会が窓口となっている「東北地方太平洋沖地震復旧支援資金保証制度」の利用状況をみると、4月から5月までの僅か2ヶ月間で82件の借入があり、その総額も8億8,000万円に上っている。例年の中小企業信用保証制度(セーフネット保証)」では年間100件程の借入申込であるので、今年度は件数、借入額とも大幅な増になるものと予想している。市としては、財政事情もあって独自制度は設けていないが、今後も窓口として市内企業等の訪問をさせていただき、新たな制度が創設された場合の周知や相談窓口としての役割を務めていきたい。
③農産物の風評被害について
現在、秋田県では県内の放射線量を秋田市と湯沢市の2箇所で測定し、県のホームページで公表しながら、県内外に秋田県の安全性を発信しているところ。市内2JAの営農及び販売促進担当などの情報によると、このたびの東日本大震災においての農産物出荷及び流通は、大きな影響もなく概ね順調に推移しており、農産物に対する風評等の被害もないと伺っている。今後、管内の主力青果物である「夏秋きゅうり」を始めとした野菜の出荷が本格化するにあたり、青果市場、量販店あるいは消費者などの情報を両JAや関係機関などと共有し、万全な対応をして販売促進に繋げていきたいと考えているし、私もトップセールスで安全・安心ということをPRしていく。
3.内陸線と観光について
①内陸線の経営状況について
内陸線の22年度実績は、輸送人員と運輸収入のいずれも前年度よりマイナスの実績となり、経常損失も前年度の2億5,100万円を上回る額となった。会社では、収支改善を図るため役員報酬の減額や給与の見直しなど、経費削減に取り組み、1,800万円程の人件費が前年度より減少している。しかしながら、燃料費の高騰や除雪費が計画より上回ったことにより、トータルでは300万円ほどの経費削減にとどまっている。また、高校統合に合わせた運行の見直しなどで経営改善に取り組んでいるが、沿線利用人口の減少や高齢化の進行に加え、3月11日に発生した東日本大震災による観光客の減少などで、今後も厳しい状況が続くものと考えている。市としては、経営改善計画に示された目標に向け、沿線住民の利用促進や通勤・通学定期の利用促進に引き続き取り組んでいく。また、経費削減の一環として合川・米内沢両駅の無人化を会社より打診されたが、緊急雇用事業を利用した駅ターミナルパワーアップ事業を実施することで、駅周辺の賑わい創出、駅機能の確保、内陸線の乗車促進を目指している。去る5月28日には、合川駅春まつりのイベントが駅前地域活性協議会主催で開催され大勢の人でにぎわい、18日からは東日本大震災で甚大な被害を受けた、東北のローカル線復興支援キャンペーン「がんばろう東北の鉄道!写真展」を地域住民と一体となって開催していく。こうしたイベントを地域住民と共同で取り組むことで、マイレール、マイステーションの意識が醸成され利用促進に繋がるものと期待している。このほか、4月からは内陸線利用高校生の通学定期購入の一部補助事業にも取り組んでいる。このことにより、「内陸線の定期は高い」という保護者の負担が軽減され、高校生の利用促進が図られ、内陸線の収支改善につながればと期待している。6月下旬からは、会社と市による沿線利用者との懇談会を開催し、北秋田、仙北両市の7か所で内陸線の現状などについて意見交換をし、ギフト回数券の購入や利用促進を呼びかけながら収支改善につなげていく。
②合意内容の見直しについて
4者合意においては平成24年度の経常損失が2億円以内で、達成できない場合は抜本的な見直しを行うとなっているが、これまでの経営状況では達成が非常に厳しいものと認識している。この秋田内陸線の持続的運行に係る基本協定は、存続を前提としており、結果的に内陸線の安全対策工事も開始され、平成29年度に終了する計画。目標との差異が生じるとすれば今後県、両市、会社の4者で協議が必要になるものと考えている。
③沿線観光開発の推進について
当市観光開発を拡充・積極推進し、内陸線沿線に対する波及効果を狙えないか、との質問ですが、当市の観光推進を図る上で、内陸線との連携は絶対的に必要なことであると認識している。そのため、秋田内陸活性化本部には、秋田県及び仙北市からも職員を派遣していただき、更には両市の観光所管課も加わった形で、各種ソフト事業やイベントなどにも取り組んでいるが、一方で観光施設の整備や駅からの二次アクセスなど、大きな課題が残されていることも事実である。しかし、今年秋にはJR東日本の「重点販売地域」指定に伴う観光キャンペーン(ミニデスティネーションキャンペーン)が「秋田の食」をテーマに開催が予定され、平成25年秋には、JR6社が全国規模で集中的に開催地を宣伝する大型観光キャンペーン(デスティネーションキャンペーン)の秋田県開催が発表された。 これまでの開催地では、軒並み観光客数が伸びており、経済波及効果が期待されるので、市としても、内陸線を含む各関係機関及び団体等と連携・協働しながら、受入れ態勢を整えていきたい。