2011年05月13日
コンテンツ番号3891
検診や健康講座など秋田大学と共同事業
(2011.5.13)
北秋田市と秋田大学大学院整形外科との脊椎検診共同事業についての記者会見が5月13日(金)、阿仁保健センターで行われ、脊椎検診の重要性などを説明しました。
脊椎検診は、2009年から秋田大学大学院整形外科が阿仁地区を対象に2回実施しており、3回目を実施するにあたり、大学側では検診のシステム作り、市として検診の結果が市民の健康維持増進に多いに役立つことから共同で事業を行うことになりました。
会見では、秋田大学大学院整形外科学講座の宮腰尚久准教授が脊椎検診についてのこれまでの経緯を説明しながら「全国的にも極めてまれな、このような共同事業は高齢社会の先進県である秋田から全国に発信できるモデル事業となり得るとともに、近い将来には参加した住民の皆様の重篤な脊椎疾患の早期発見・早期治療にも寄与できると考える。また、検診に秋田大学医学部医学科の学生も5名から10名ほど参加しており、検診を通じて学生が地域医療の現場を見ることは、地域医療を担う医師をひとりでも多く育成するためにも大学として非常に重要」などと説明しました。
津谷市長は「市と秋田大学の関係は、平成21年10月に連携に関する協定を締結し、北秋田分校を開設して当地域の発展にご指導とご助言をいただいています。また、医学部には市民病院をはじめ阿仁、森吉、合川と様々地域の医療に対して温かいご配慮をいただいている。今回の検診は従来大学の独自事業として行ってきた経緯がありますが、連携事業の一環として共同で進めることになりました。阿仁地区を対象として検診後の個別のアドバイスや健康講座など地元にとって非常に有益で健康増進に結びつくと確信しています」などと述べました。
脊椎検診ついて(宮腰准教授より)
癌や高血圧、糖尿病などの内科的な疾患が加齢とともに増加するように、運動器の疾患も加齢とともに増加する。運動器とは、腕や脚、背骨(脊椎)などの自分の意思で動かすことができる部分であるため、運動器の疾患は、高齢者の自立した生活の妨げに直結する。なかでも、加齢に伴う脊髄の弯曲異常(多くは後ろに弯曲する後弯変形となる)は、頑固な腰背部痛、バランス障害による転倒や骨折、胃食道逆流症などの内臓器疾患の原因となり、高齢者の生活の質(quality of life:QOL)を著しく低下させる。また、脊椎の中には神経(精髄、馬尾、神経根)が通っているが、弯曲異常などに伴い神経が圧迫されると、脚や痛みやしびれ、麻痺を生じることもある。このような弯曲異常の原因には、高齢者に多い骨粗鬆症や変形性脊椎症などの脊椎疾患が関与している。治療には保存療法から手術療法までさまざまなものがあるが、重症例に対する治療は難渋することが多い。癌や生活習慣病においても、早期発見・早期治療が良好な治療成績につながるように、脊椎疾患においても、早期に適切に対処ができれば、良い治療成績が得られる。しかし、これまで、脊椎疾患をはじめとする整形外科領域の疾患に対する検診はほとんど行われていない。