2011年03月03日
コンテンツ番号3823
思い出と誇りを胸に最期の卒業式
市立合川高等学校(齊藤和彌校長、生徒数162人)の卒業式が3月3日(木)、同校体育館行われ、同校最後の卒業生61人が思い出と誇りを胸に刻み、新たな一歩を踏み出しました。
同校は、昭和37年に秋田短期大学附属合川高等学校として旧合川町に開校しました。同39年には秋田経済大学の設置に伴い、秋田経済大学附属合川高等学校と改称。同46年には秋田経済大学から一部事務組合(組合構成町村=鷹巣町、合川町、森吉町、阿仁町、上小阿仁村)への移管が決定され、同47年に秋田県公立合川高等学校として開校し、商業科が新設されました。また、同48年には新校舎が落成、平成3年には普通科に介護福祉コースが開設され、平成7年に介護福祉科が開設、平成10年には商業科が情報ビジネス科に改編されました。平成17年には町村合併により、一部事務組合を解散し北秋田市立合川高等学校に改組されました。平成23年4月には同校と市内の県立高校3校(鷹巣、鷹巣農林、米内沢)が統合し、秋田北鷹(ほくよう)高等学校が開校するため、同校は今年度で閉校します。同校の卒業生はこれまでに6826人を数え、今年度卒業する3年生61人が最後の卒業生となりました。
式典では、国歌斉唱のあと、普通科(25人)、情報ビジネス科(15人)、介護福祉科(21人)のそれぞれの代表に齊藤校長が卒業証書を授与しました。
齊藤校長は「本校は一貫して豊かな人間性の育成を最重点とし、スポーツや文化活動を大いに推進してきたところであり、卒業生の活躍は本校最後の伝統として在校生の秋田北鷹高校での活力となることでしょう。卒業生のみなさんもう一度壁にかかげられている校訓を見つめて下さい。入学以来、自律・友愛・創造をモットーに修練を積んできたはずです。この校訓の心は、ひとりひとりがその意味を十分に考え実践しなければならないものであります。将来とも自らを律する心のいましめとされ、生涯にわたって自らの人格を自らの力によって鍛え上げ、学習する態度を持ち続けて頂きたい。社会人としての人生を生きがいあらしめるためにも幾多の困難や試練を乗り越える努力が必要です。その努力には忍耐をともなわなければ実を結ぶものではありません。われわれの人生は忍耐なくしては成功があり得ないものです。社会の荒波に船出しようとするみなさんには改めて勇気と忍耐をもって自らの人生を切り開き、邁進されるよう切望します。この1年間強調してきた校訓の心をもって正しく豊かに、そして心の美しい人間となるよう、生涯にわたって身を修めようと忍耐強く努力することがしあわせの原点ではなかろうかと思います。 卒業生のみなさんの前途に幸多からんことを祈念します」などと式辞を述べました。
続いて、加賀隆北秋田市教育委員長のあいさつの後、来賓を代表して、津谷市長と、三輪良雄同校PTA会長が祝辞を述べました。
このうち、津谷市長は「皆さんは、昭和37年の開校以来49年にわたり輝かしい歴史と伝統を積み重ねてきた合川高等学校を締めくくる最後の卒業生となります。この大きな節目の時に卒業できる巡り合わせを誇りとし、今後それぞれが大きな可能性に向かってまい進されることをご祈念いたします。4月から秋田北鷹高校が開校しますが、合川高校の名がなくなってもみなさんが先輩たちから受け継いだ合川高校の精神は新高校の後輩たちにしっかりと引き継がれるでしょう。時代は大きな変換機を迎え、みなさんが一歩踏み出そうとする社会も国際情勢の緊迫化や国内の経済の不安など厳しい状況が続いておりますが、こうした現状を打ち破り、新たな時代を築き上げる大きな原動力となるのは、若い皆さんがもつ、柔軟な思考力や熱意溢れる行動力です。何事にも果敢にチャンレンジし、自らが信じる道を力強く歩まれ、将来の夢を着実に実現されますことをお祈りいたします」などと祝辞を述べました。
在校生送辞では、生徒会長の三輪幸成(ゆきなり)(2年生)さんが、先輩たちとともに取り組んだ合川高校最後の学校祭などの行事や部活動を取り上げ、「数々の大会で高い能力を発揮し、全国大会にも出場し、合川高校の名をひろめてくれました。先輩たちの栄光や伝統は私たちの誇りです。秋田北鷹高校の印象を決定づけるのは私たちです。不安はありますが先輩たちの母校への思いや合川高校の伝統を引き継ぎながら先輩方の姿をお手本として新しい高校づくりに邁進してまいります。先輩方には合川高校と同じように応援をお願いしたい。この伝統のある合川高校最後の卒業生として新たなスタートラインにたった先輩たちを誇りに思います。この先幾多の苦労が待ち受けているかもしれないが、苦労から逃げることなく合川高校で培った知識と経験を活かし真正面からぶつかって乗り越えてくれるもの信じています」などとエールを送りました。
最後に、卒業生代表の楢岡海峰(みほ)さんが答辞で「母校の合川高校の歴史と伝統は簡単に消えることはありません。閉校はさみしいことですが、ここにいるすべての生徒が歴史の1ページに関われたことはうれしく誇りでもあります。4月になると校舎には生徒の姿はなく、教室から聞こえる笑い声も仲間とともに励まし合う声も響き渡ることもありません。その閉校の年に在籍した私たちはより強く母校である合川高校を胸に焼き付けることになったと思います。1.2年生にとっての第1の母校として、3年生にとっての学舎としてしっかり心に残ると確信しています。1.2年生のみなさんも新しい学校生活には予測のつかない壁が待ち受けているかもしれませんが、合川高校出身の名にかけて逃げ出すことなく前向きに取り組んで下さい。私たち3年生も今日の卒業と同時に新しいスタートラインに立ちます。荒波に負けることなく、合川高校で培った強い精神と忍耐力で乗り越えたい。これまで合川高校に関わり合校生を愛し、支えて下さったすべてのみなさんに感謝します。在校生のみなさんも合川高校ですごしたことは忘れないと約束しましょう」などと恩師や家族に感謝し、後輩に期待の言葉を送りながら決意を表しました。
式典のあと、各教室では保護者も交えて最後のホームルームが行われ、担任の先生から卒業生一人ひとりに卒業証書が手渡されました。このあと、恩師や在校生と最後の別れを惜しみ、3年間の思い出を胸にきざみながら最後の合川高校となる学舎をあとにしました。
(2011.3.3)