2011年03月04日
コンテンツ番号3821
発掘調査を総括した調査報告書を刊行予定
平成22年度第2回伊勢堂岱遺跡調査検討委員会(委員長=小林達雄国学院大学名誉教授)が3月4日、中央公民館で開かれ、同遺跡の世界遺産登録推進や発掘調査報告書の刊行などについて協議しました。
伊勢堂岱遺跡は、秋田内陸線小ヶ田駅付近の台地に位置する、縄文時代後期前半(今から約4000年前)の遺跡。4つの環状列石が発見されるなど学術的価値が高いことから、平成13年1月、国の史跡に指定されました。また、小牧野遺跡(青森)、大湯ストーンサークル(鹿角市)など北東北及び北海道の環状列石のある遺跡と合同で世界文化遺産の登録を目指しています。
調査検討委員会には、考古学などの専門家による検討委員、県、市担当者など約20人が出席。
はじめに、市教育委員会の斉藤彦志生涯学習課長が「これまで委員の皆さんからは、経験を踏まえたアドバイスをいただきながら、伊勢堂岱遺跡に関わる発掘調査方法や保存の方法、利活用について進めてきました。お陰様で遺跡の発掘調査は終盤まで来ていますが、将来を見据えた遺跡の保存活用の方向性を、市としてまとめるための基礎がようやくできそうです。来年度以降についても、将来的に構想するガイダンス施設計画など重要なものがあります。この貴重な縄文時代の遺跡を後世に伝えるための大きな礎をつくるため、更なるご教授をお願いします」などとあいさつ。
続いて、小林委員長が「伊勢堂岱遺跡について来年度は史跡整備の具体的な段階に進むということなので、今までの調査検討委員会で検討した様々な内容は、史跡整備にどう活かされて行くのかを皆さんで考えなくてはならない。1月18日にフランス・パリで行われた、国際的な場で2回目となる縄文世界遺産についてのフォーラムでは、縄文に対する関心が非常に高かった。現代における縄文が発信するメッセージをどう受け止めて、世界遺産の中になぜ縄文を組み込まなければならないのかという事について、だいぶ理解が進んできたのではないか。その中でもストーンサークルというものは目玉の中の目玉で、縄文を代表する極めて重要なモニュメント、記念物であり、それの一角を担っている伊勢堂岱遺跡は吟味されいい形で整備しながら世界遺産の一翼を担うものになるべき。更なる整備に向けてどういう形で取り組むのか事務局で検討されると思いますが、みんなで関心を寄せながら見守っていきたい」などとあいさつ。
委員会では、
- 世界遺産登録推進について
- 史跡伊勢堂岱遺跡発掘調査報告書の刊行について
- 石材分析報告について
協議しました。
このうち、世界遺産登録推進については、今年度の4道県の世界遺産登録推進の取り組みや、昨年9月に市文化会館で県教育委員会の主催で開催した土偶展と世界遺産フォーラム、市と國學院大学研究開発機構との提携事業など、取り組みを市担当者が報告。また、平成23年度の予定として、4道県共通のハンディーサイズリーフレット作成や4道県共同の国内フォーラム開催事業、青森で予定されている国際会議の開催などを説明。市教育委員会では、史跡整備の実施や平成24年度までに策定する保存管理計画の検討、平成23年度までの提携事業としている國學院大学との七日市・石倉岱遺跡調査・発信事業、第11回縄文まつりの計画も示され、委員らは活発な意見を出していました。
また、史跡伊勢堂岱遺跡発掘調査報告書の刊行については、平成9年度から平成17年度までの伊勢堂岱遺跡の発掘調査を総括した調査報告書を今年度に刊行することを報告。県教育委員会の調査分も含め、遺跡の全容を理解できるように整理したもので、4月には関係機関への配布を行い、市内の図書館にも置くことにしています。
(2011.3.4)