2011年02月01日
コンテンツ番号3794
今年は久々の「豊作」と占う
小正月に行われる民俗行事「雪中田植え」の稲刈りが2月1日(火)、綴子地内の大太鼓の館前で行われ、今年の稲作の豊凶を占いました。
今年は、適度の曲がりの稲が多く見られたことから、久々の「豊作」とのご託宣が下りました。
雪中田植えは、農家が一年の仕事始めの儀式として水田に見立てた雪の上に、稲わらや豆がらを束ねた“稲”を植え、その稲の倒れ方や実の入り方などで作柄を占います。
かつては、干ばつや台風などの「邪気」を払い、神聖な田の神に五穀豊穣を祈る大切な儀式で、県内でも古くから行われ、江戸時代の紀行家・菅江真澄も八郎潟周辺で行われた行事を1810年に「小正月の田植え」として絵図に残しています。現在は綴子のほか湯沢市の大倉集落など限られた地域で伝承されているだけです。
綴子地区に伝わる雪中田植えも、一度途絶えたものを昭和58年、稲作作りに執念をかけた篤農家の故・高橋佐一郎さん(綴子上町)によって復活されました。昭和61年に高橋さんが亡くなって、また一時途絶えましたが、昭和63年より地域の農業後継者である旧綴子農協青年部が意思を継いで「再復活」、現在はJA鷹巣町青年部(堀内英俊部長)が継承し今日に至っています。
この日は、大太鼓館前に特設された雪田の前で、今年1月15日に植えられた稲の刈り取りが行われました。刈り手は、稲を植えたJA鷹巣町青年部長の堀内英俊さん(38歳)。農業関係者らが見守る中、田植えのときと同じ昔ながらのけら、菅笠姿で鎌を使い、稲の束を一株ごと慎重に刈り取っていきました。
刈り取られた稲は、JA鷹巣町組合員で篤農家の畠山喜久雄さん(58歳)によって見立てが行われました。占いでは、たわわに実る稲穂のように頭(こうべ)を垂れた状態であれば豊作、直立していれば実が入らない不稔、倒れていれば風水害の被害を意味し、凶作とされています。
今年は、刈り取られた稲16束のうち、稲の曲がりの足りない束が6本、適度に曲がっていて実入りの期待できる束が9本、折れてしまいっている束が1本でした。
畠山さんは「今年は久々に豊作ではないかな。ここまでいいのが揃うのはなく、昨年とは全然違う。傾きが足りないのもあり大までは行かないが豊作。倒れたものもなく、おだやかな天気でいくのではないかと思う。よかったです」と占いました。また「これは占いで、手を抜けばだめ。昨年の春先のような寒いときにはしっかりとした苗を作ることが必要」などと話しました。
参加者のみなさんは「豊作」という結果に拍手で喜び合いました。
(2011.2.1)