2011年02月04日
コンテンツ番号3789
珪藻土の特性を学ぶ
『珪藻土の新たな活用による地域活性化』フォーラムが2月4日(金)、市中央公民館で開催され、参加者が「珪藻土」を核とした地域活性化について意見を交換しました。
フォーラムは北秋田市が産出量日本一といわれる「珪藻土」の特性を広く認識してもらい、地域活性化の財産としてまちづくりに活かそうと「珪藻土」に関する事例発表や議論をとおして、「珪藻土」を核とした地域活性化について考えてもらおうと行われ、会場に集まった約100名の参加者が熱心に聞き入っていました。
市では今年5月に、珪藻土等地域資源の新たな利活用の研究及び製品開発を目指し、地域産業の振興を図ろうと、市と秋田大学、秋田県立大学、地域振興局、商工会、地元企業で珪藻土を扱う中央シリカ株式会社、昭和化学工業株式会社などが参加する北秋田市珪藻土等地域資源利活用検討会を設置しています。
開会にあたり津谷市長は「北秋田市は秋田杉を始め、山菜、キノコなど山の幸、農山林の資源に恵まれ、森吉山を中心とした自然、マタギや大太鼓、さらには胡桃館や伊勢堂岱遺跡など文化財、観光資源などたくさんの素材があります。インフラでも恵まれながらその地域資源、素材を活かしきれていないのが実態。市では1昨年秋田大学と連携をし、豊富な地下資源である珪藻土の有効活用を図るために大学をはじめさまざまな分野の方々に参加していただき検討会を立ち上げ取り組んできました。本日のフォーラムが珪藻土について更なる理解と今後の利活用に期待の持てる実りある機会となるよう」などとあいさつしました。
事例発表では、野口泰彦・昭和化学工業株式会社秋田工場長が「珪藻土製品の特徴と使用例」として珪藻土や性質や使用例を説明しながら珪藻土入り石けんや珪藻土入りタンブラーなど製品を紹介しました。
続いて、村上英樹・秋田大学講師が「珪藻土の活用と今後の展開」として珪藻土の成り立ち、ヤマビル駆除剤などのこれまで確立したものや、金属シリコンの作製など現在取り組み中のもの、今後実現可能なものなどを説明しました。
また、日高伸・秋田県立大学教授は「珪藻土を配合したリン吸着剤の開発と利用」として珪藻土を含んだリン吸着剤により水質を改善し、リン吸着廃ろ材を有効に活用する取り組みを報告しました。
引き続き行なわれたパネルディスカッションでは、関根紳仁・あきた企業活性化センターゼネラルマネージャーをコーディネーターに、津谷市長、小川竜二郎・秋田大学准教授、奥田博昭・中央シリカ株式会社社長、松田正男・北秋田市観光協会専務、篠原康夫・北秋田WATOGA協同組合代表理事がパネリストとなり、「日本一の生産量。これを利用し、どうやって地域活性化につなげていくか議論していきたい」と始まりました。
津谷市長は「原材料として外にでていくだけでなく、地場の産業としていければ。珪藻土を活かした製品など関心をもった企業の方々もいると思うので連携していただきたい。珪藻土に対し若い方々も関心をもっていただき将来に対する夢を与える北秋田づくりを」などと述べました。
松田さんは「地域で何か商品を一つでも開発できれば」ということで商工団体としてこれまで取り組んだ壁材やたくわんのぬか床などの事例を紹介し、「単体で動いている事業を把握してファイル化し、必要な人がいつでも使える方向に」などと述べました。
篠原さんは、珪藻土を使った繊維製品として「珪藻土の機能である保温、吸着、ろ過を利用して抗菌、保温、スキンケアの生地は可能か。抗菌、防臭機能を持たせ介護衣類の開発は可能か。吸汗・速乾性を持たせることは可能か」などと研究をお願いしました。
奥田さんは、地元の小学校との交流を紹介しながら「地域で育った子供たちが珪藻土や七輪がこうゆうものだ、昔からこの地域の珪藻土を使った七輪だと思ってくれれば。これからも続けていきたい」などと述べました。
小川さんは「地元の企業がなかなか参画できていない。生活用途にも使えるのが珪藻土。みなさんからアイデアを出していただきたい。継続的な活用をすることが地域活性化につながる。いろんなものを作るというより使えるという感覚で」などと述べました。
また、会場からは「畑にどのくらい珪藻土を使ったらいいか」などの質問が出されるなど、会場に集まった約100名の参加者が珪藻土を生かした地域活性化について意見を交わしました。
珪藻土(けいそうど)
藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物(堆積岩)である。珪藻が海や湖沼などで大量に増殖し死滅すると、その死骸は水底に沈殿する。死骸の中の有機物の部分は徐々に分解されていき、最終的には二酸化ケイ素を主成分とする殻のみが残る。このようにしてできた珪藻の化石からなる岩石が珪藻土である。
耐火性と断熱性に優れているため建材や保温材として、電気を通さないので絶縁体として、また適度な硬さから研磨剤としても使用されている。
北秋田市の埋蔵量は推定約700万トンで全国一。
(2011.2.4)