2011年01月15日
コンテンツ番号3742
今年の豊作を祈願
今年の稲作の豊凶を占う小正月行事「雪中田植え」が、1月15日(土)、綴子・大太鼓の館前で行われ、JA鷹巣町などの関係者約50人が田の神にお神酒を供え、豊作を祈願しました。
雪中田植えは、旧正月に稲作の予祝もしくは豊凶を占う民族行事として農家によって行われてきたもので庭田植えとも呼ばれています。6尺四方の水田に見立てた雪の田んぼを作り、稲わらや豆からを束ねた「稲」を植え、一年の作柄を占います。
かつては、干ばつや台風などの「邪気」を払い、神聖な田の神に五穀豊穣を祈る大切な儀式で、県内でも古くから行われ、江戸時代の紀行家・菅江真澄も八郎潟周辺で行われた行事を1810年に「小正月の田植え」として絵図に残しています。現在は綴子のほか湯沢市の大倉集落など限られた地域で伝承されているだけです。
この地域に伝わる雪中田植えも、一度途絶えたものを昭和58年、稲作作りに執念をかけた篤農家の故・高橋佐一郎さん(綴子上町)によって復活されました。昭和61年に高橋さんが亡くなって、また一時途絶えましたが、昭和63年より地域の農業後継者である旧綴子農協青年部が意思を継いで「再復活」、現在はJA鷹巣町青年部(堀内英俊部長)が継承し今日に至っています。
大太鼓館前に特設された雪田の前で、青年部の九島敏昭副部長が「雪中田植えは様々な地域で行われ、ここだけでなく各地で豊作でありますようにと思っている人がいることに心強く喜ばしいと思います。昨年は米価下落など喜ばしいこととはいえませんでしたが、今日は田んぼの神様に今年は豊作でありますよう祈るだけ」などとあいさつ。
来賓として、津谷市長は「農業を取り巻く環境は厳しいものがあります。伝統行事を支えがんばっている青年部の方々ともども一緒になって市も農業施策に対し支援をしていきたい。すばらしい作占いの結果が出て、そのとおり23年の稲作を含め北秋田地区鷹巣農協管内の農家の方々にとって喜びを与える結果であってほしいと御祈念します」などと激励のあいさつをしました。
儀式では、青年部長の堀内英俊さんが田植え人となって、けら、菅笠姿の昔ながらの装いで30センチ間隔で4条に4株ずつ計16束の「苗」を植え付け、そのあと、虫除けや田の目印となるすす払いのわらぼうきで雪田を御祓いしたあと、逆さにして雪田の中心に立て、大根の煮しめやナマス、デンブ、お神酒を供え、大豊作と米価の上昇などを祈願しました。
2月1日には、豊凶を占うため稲刈りが行われます。その際「稲」が直立していれば実がはいらない不稔(ふねん)、倒れていれば風水害による倒伏を意味し、それぞれ凶作、たわわに実った稲穂のように適度に傾いていれば豊作、という一年のお告げが出るとされています。
(2011.1.15)