2012年09月20日
コンテンツ番号2202
ブータン王国から学ぶ真の幸せとは
(2012.9.20)
平成24年度秋田大学北秋田分校教養セミナー・北秋田市高鷹大学全体講座&一般公開講座が、9月20日(木)、文化会館で開かれました。セミナーは、秋田大学北秋田分校と教育委員会が共催し、高鷹大学の受講生や市民ら約200人が参加しました。
開講式で三澤仁教育長が「これまでも、秋田大学の関係者の方々には、北秋田市の活性化のためにお力添えをいただいている。何とかして北秋田市を元気にしたい、盛り上げたいということで、お知恵をお借りしながらがんばっている。今日の講座もその一環。日本の国は豊かで、世界トップクラスの素晴らしい国だと思っている。しかし『あなたは幸せですか』と聞かれたとき、何人の日本人が胸を張って『私は幸せです』と言えるだろうか。衣食住は確保されているが、本当の幸せとはそのようなものではないと思う。お金があるとか、人と比べてどうという問題でもない。豊かさは自分自身の心にあると思う。ブータン王国の暮らしを通して、本当の幸せとは何か、自分の幸せとは何かを考える機会にしてもらいたい」などと述べました。
中田真一秋田大学地域創生センター長は「秋田大学と北秋田市は平成21年10月6日に協定を結んでいる。秋田大学は北秋田市の皆さんのために、また、北秋田市は、秋田大学に地域全体が持っている色々な資源を提供いただいたり、知恵をいただいたり、お互いに歩み寄って、地域づくりをしていこうというもの。秋田大学は、昨年7月6日に、ブータン王立大学と国際交流協定を結んだ。これは、国内で初の協定。そういう意味で秋田大学は王立大学と学生交流や医療、保健学での指導、協力を行う。また、現地に行って、色々なことを学びとる交流を展開していく予定なので見守ってください」などとあいさつしました。
つづいて西田文信秋田大学国際交流センター准教授が「ブータン王国から学ぶこと〜真の幸せとは〜」と題して講演。2011年に日本との国交樹立25周年を迎えたブータン王国が、国民総幸福量(GNH)という独自の考え方を国家の指標として打ち出し、世界中から注目を集めているが、その歴史や文化、政策、日本との関わりなどについて解説しました。その中で西田准教授はブータンが行う幸福のための4つの柱として、持続可能かつ公正な社会経済開発、山岳環境の保護、伝統文化の保護及び信仰、よき統治をあげ、幸福の実現を目指した政策として、医療費と教育費は無料、たばこの持ち込みや高山への登山は禁止、伝統文化を重んじ、公的な場所では民族衣装の着用を義務づけ、国土の森林面積の割合を60%以上に維持することを定めていることなどを紹介しました。
最後に西田准教授は「人間が望むことは幸せであるが、幸せの定義は個人個人で異なる。ブータンは世界一幸せの国と言われるが、本当かどうかはわからないし、そうでないかもしれない。しかし、ブータンは世界一、幸せであることを目指している国であることは確か。世界で一番幸福であろうということを考えて政治を行っている国である」とし、「 幸せは物質のみで得ることはできない。国民の幸せを考える際に必要なことは、最低限の物の豊かさと国民個人の精神的な和(家族の和、地域社会の和、個人の大自然との和)と国民一人ひとりが自覚して同一性として共有できる歴史、文明、文化が大事」などと述べました。