2012年04月21日
コンテンツ番号3713
4年後の遡上を願って鮭の稚魚2万匹放流
(2012.4.21)
伊勢堂岱遺跡世界遺産登録推進サケ放流事業「第2回カムバック・サーモン」が4月21日(土)、同遺跡近くを流れる湯車川で行われ、市民ら約40人が参加し鮭の稚魚約2万匹を放流しました。
この放流事業は、伊勢堂岱遺跡の世界遺産登録推進の一環で行われたもので、鮭の放流を通じて湯車川を鮭が遡上する川として環境保護を図り、同遺跡周辺を「カムバック・サーモン」の中心地になるよう目指し、合わせて同遺跡の世界遺産登録推進に重要な周辺環境の保存を目的に行われました。主催は、市教育委員会、鷹巣漁業協同組合、同遺跡ワーキンググループ。
開会式では、主催者で同遺跡ワーキンググループの佐藤善寿代表が「伊勢堂岱遺跡からは、4千年以上前の縄文時代にこの湯車川の鮭を獲って人々は生活していただろうと推測されています。私たちは伊勢堂岱遺跡を後世に伝えるための一手段として、今後もこの鮭の放流を実行していく計画ですので、今日は元気にはつらつとした姿で鮭を放流し、4年後に鮭が湯車川に帰ってくることを願います」などとあいさつ。
同じく、主催者で鷹巣漁業協同組合の湊屋啓二組合長は「この湯車川はもともと天然の鮭が遡上する川です。國學院大學の小林達雄名誉教授が、伊勢堂岱遺跡の脇を流れる川に、更に鮭を呼び戻したいという思いからこの事業が始まり、鷹巣漁協では放流をお手伝いさせていただいています。今日放流する鮭の稚魚は約2万匹です。鮭の回帰率から、4年後には約200匹がこの川に戻って来ると思いますので、鮭が大きく育って戻って来ること願いながら放流しましょう」などと呼びかけました。
つづいて、市教育委員会の三澤仁教育長は「伊勢堂岱遺跡をはじめとする、北海道、青森県、岩手県、秋田県にある縄文遺跡の世界遺産登録を目指して、1道3県が力を合わせて取り組んでいるところです。そういった中で、今も縄文遺跡の下の川を鮭が遡上していて、縄文時代から年々とその歴史が繰り返されている遺跡は他には無いといわれていますので、これをひとつの大きなアピールの材料として働きかけていきたいと思っています。世界遺産登録を目指す上で何より大事なのは、市民の方々が如何にこの伊勢堂岱遺跡に関心を持ってくださるか、そして遺跡に足を運んで地元からその熱気を伝える取り組みだと思いますので、皆さんのご協力をお願いします」などと協力を呼びかけました。
今回放流したのは、昨年の12月から今年の1月にかけて、藤里町の藤琴川鮭鱒生産者組合でふ化した体長約4で2グラムほどの稚魚、約2万匹。
放流では、参加者が鮭の稚魚の入ったバケツを持って川岸に並び、「大きくなって帰ってくるんだよ」「元気に戻って来てね」などと声をかけながら、やさしく放流していました。放流された鮭の稚魚は、湯車川の匂いを確かめるように泳ぎ回り、川の流れに乗って旅立っていきました。