2012年03月11日
コンテンツ番号1697
(2012.3.11)
精神保健福祉ボランティア「れもんの会」(代表 小坂和子)主催の『いのちのコンサート』が3月11日(日)、北秋田市文化会館で開催され、多くの人が来場し、命の尊さを改めて考えました。
『いのちコンサート』は秋田県いのちの日(3月1日)の関連事業として自殺者の多い秋田県での自殺予防。また、昨年3月11日に発生した東日本大震災を振り返り、命の尊さ、故郷の大切さを市民の人たちと考える機会として開催され、講演や朗読のほか、多くの歌が披露されました。
始めに埼玉精神神経センターの精神科医である藤本佳史氏が『いのちの日を消さないで』と題し、講演しました。藤本氏は、19歳の時に母を自殺で亡くした経験を話し「外出していた日に母が自殺し、その日からお酒の量が増える父を見て、全て自分のせいだと、大学にも行かずに自分を責める日が続いた。そうした中、母のように精神的に苦しむ人たちの力になれればと精神科医になるという一つの目標をもった。その時の大学を辞め、精神科医になるため受験勉強に励んだ。その時の自分は勉強に打ち込むことにより母の死を忘れようとしていたのかもしれない。群馬大学医学部に入学したが、自殺した母がいる自分と周りの人たちとの比較をしてしまうことがあり、大学に行かない日が続いた。そうした中、『あしなが育英会』に自分の境遇を手紙を書き送った。事務局からあしなが育英会の活動に参加してみてはどうですかとの返事をいただき、活動に参加したところ、小さい頃に両親を亡くした人、親の顔が分からない人といろいろな人と出会った。そして、その中には奨学金を借りながらアルバイトをして、大学に通っている人もおり、今まで自分が一番不幸な顔をして生きてきたことを恥ずかしく思った。境遇は比較するものではないとは思いますが、19年間両親と暮らした日々を思い返すと恵まれている部分がたくさんあったと思っています。自殺で家族を亡くした人は、周りにその体験を言えない傾向があります。
そして、遺族の方々が孤立しがちになりますが、私が仲間と出会ったように一人じゃないと気持ちをぶつけられる場所が必要と考えています。秋田県内でも遺族分かち合いの会というのがあり、全国的に広がっています。分かち合いの場を皆さんに知ってもらい、一人でも多くの遺族の癒しの場になってもらいたいと思っています。現在、日本では年間約3万人の自殺者がいます。自殺者がいなくなることが一番ですが、万が一その遺族となってしまった人達へのサポートがしっかりした社会になることを願っています」などと話しました。 また、藤本氏は母の死から自分の気持ちを詩にした曲を愛用のギターを弾きながら歌い上げ、会場から大きな拍手が送られました。
次に阿仁合小学校『放課後児童クラブ』『放課後子供クラブ』の皆さんが「あしたへ」を元気に歌い、『コールつくしんぼ』の皆さんは「命のうた」、「ふるさと賛歌」の2曲を美しいハーモニーで歌い上げました。
続いて朗読ボランティア『やまびこ』の皆さんは、被災地の子供たちの作文を朗読。辛く悲しい思いが詰まった作文を感情一杯に表現しながらの朗読に会場の皆さんは引き込まれ、朗読が終わるころにはすすり泣く人が多くいました。
最後に出演したのが、『金新佐久さんと仲間たち』『唱歌を歌う会』の皆さんと信太善徳さん。『金新佐久さんと仲間たち』『唱歌を歌う会』の皆さんは「白い想い出」「すてたのものじゃないこの人生」を大合唱し、信太さんは「幸せになろうよ」を独唱しました。最後に来場した全員で「ひとりじゃないよ」「ふるさと」を歌いました。また、東日本大震災発生時刻である午後2時46分には、会場全員で黙とうをささげました。