2012年02月05日
コンテンツ番号1613
秋田県内における民俗芸能の調査研究報告会が2月5日(日)、市交流センターで開かれ、参加者が県内の民俗芸能の現状について学びました。
調査研究報告会は、国際教養大学地域環境研究センターの主催。文化庁地域伝統文化総合活性化事業により秋田県全域における民俗芸能を映像で記録し、データベース構築を進めている同センターが県内における民俗芸能の現状、事業の成果、民俗芸能の継承の意義を共有し、多くの方が民俗芸能に興味を持って、その価値を再認識してもらおうと行われたもので、北秋田市をはじめ県北各地から約60が参加しました。
はじめに熊谷嘉隆・国際教養大学地域環境研究センター長が「現在把握している県内の民俗芸能は283。平成5年の調査では315で減ってきており、これからも減る数は歯止めがきかないと思う」と人口減少や高齢化により、民俗芸能を演じる人の高齢化、小規模高齢化集落の増加などにより民俗芸能も消滅が危惧される現状を説明しました。そして「民俗芸能には、集落の『絆』『誇り』『歴史』『息吹』の4つの側面がある。民俗芸能の消滅は何を意味するか。集落から絆、息吹というものが消滅していくことになるのではないか」と述べ、現状の把握、映像として残すこと、情報発信、継承のための仕組みづくりなど事業内容について説明しながらあいさつしました。
続いて、斉藤壽胤・秋田県民俗学会副会長が「民俗芸能の行方」として講演。斉藤さんは、今年度調査してきた県北地区の民俗芸能の中で、なぜ米代川流域だけに駒踊りが伝えられているのか例に上げながら「旅の人から、民俗芸能は良さを取り入れてきた。これからの民俗芸能の行方として、一つの方法としてはこれまで培ってきた民俗芸能の中身、本質を考えながら解いて、形だけでなく中身も伝えていくのも今後の方策ではないか。一旦伝承する力が途絶えると取り返しのつかないことになるが、これまでの伝承力は精神性があって伝えられてきたもの。それを一度考えては」などと話し、参加者が熱心に聴講しました。