2012年02月20日
コンテンツ番号1625
市の自殺予防事業「心の健康講座」が2月20日(月)、合川農村環境改善センターで開かれ、参加した市民約100人がいのちの大切さについて学びました。
3月1日は「秋田県いのちの日」。心の健康講座は、大切な人を失う悲しみを皆で分かち合い、いのちを守る運動についていっしょに学ぼうと開かれ、今年度3回目となりました。
今回の講座では、藤里町・曹洞宗月宗寺住職で秋田こころのネットワーク、秋田ふきのとう県民運動実行委員会会長の袴田俊英と秋田市で遺族の心のケアなどに取り組んでいる秋田グリーフケア研究会代表の涌井真弓さんが講師を務めました。
はじめに吉田喜代志・健康推進課長が「先生方の話を聞いて、各地域、各集落で私たちには何ができるのか、何をするべきか、どう支え合って行くべきかをいっしょになって学びたい」などと主催者を代表してあいさつしました。
講演に入り、最初に「いのちの日にゆとりと優しさを!」〜ふきのとう県民運動で地域づくり〜と題して袴田俊英さんが講演。袴田さんは「自殺は個人的な問題である、もしくは自分の預かりしらぬ問題であるという思いの人が圧倒的に多いと思います。自殺の背景などを学んでくるとこれは個人の問題でないと感じるようになった」とうつの勉強会からはじまった自殺予防への取り組みについて話しました。袴田さんは、町の人が気軽に集まって話をする「コーヒーサロン」や「赤ちょうちん」の取り組みを紹介しながら「話を聞くとみんなが歴史を持っていて、いい話をしてくれる。昔、苦労した話が自慢話になり、聞いていて楽しくなる」などと交流により知り合うことの大切さ説明しました。そして、今は働くことが生きていくうちの一番重要なものになってしまっている。自分の子どもを育てることや自分の親を介護する、亡くなった人を見送ることもしなくなってきた。お金を稼ぐために時間を使い、働くことをじゃまするものを誰かに預け、人が苦しんでいるときに助けることをしなくなった。これが自殺の原因で、私たちは苦しんでいる人、悩んでいる人を見るのがいやで、悩んでいる人は人前ではその顔を見せなくなるなどと説明しながら「私たちが持っている時間のほんのちっとだけ、人のための使おう。お金はもしかしたら少なくなるかもしれないが、生活はちょっとずつ力を出し合うことによって豊かになります」などと話されました。
続いて、「悲しみに向き合う」〜喪失から生きる希望〜と題して涌井真弓さんが講演しました。涌井さんは大切な家族を亡くした遺族の苦しみや悩みを、自死で大切な人を亡くされた方たちのグループ「コスモスの会」と病気も事故死もすべての死別に対応する「クレマチスの会」の取り組みなどから紹介。涌井さんは「自分でわかること、自分の力で話すこと、聞くこと、自分の力で今の現状を整理することで人はつらいことから立ち直っていく」と大切な方を亡くされた方々にとっては必要な作業であるグリーフワークの重要性を説明しました。そして、生きることをあきらめない社会を作っていくためには「運動をしている人だけの動きでは足りない。地域で関わりを持ち、配慮ある優しさを持って人々の生と死に向き合っていただきたい」と述べ、自死問題において一番大切なことは、大切な人を喪った方たちの苦しみ、悲しみを緩和して、新たな生き方を見いだし、それぞれが自死に追い込まれない環境づくりが必要と説明しました。最後にスーザン・バーレイの「わすれられないおくりもの」の絵本を朗読し、「できるなら残された人に忘れられない贈り物をおいて、心の中で活かしてもらえるように。どうぞ健康で長生きして、地域のみなさんを配慮ある優しさで支えてください」と述べました。