2012年01月15日
コンテンツ番号1568
今年の稲作の豊凶を占う小正月行事「雪中田植え」が1月15日(日)、綴子・大太鼓の館前で行われ、JA鷹巣町などの関係者約50人が田の神にお神酒を供え、豊作を祈願しました。
雪中田植えは、農家が一年の仕事始めの儀式として6尺四方の水田に見立てた雪の田んぼを作り、稲わらや豆からを束ねた「稲」を植え、一年の作柄を占う民俗行事で庭田植えとも呼ばれています。
かつては、干ばつや台風などの「邪気」を祓い、神聖な田の神に、五穀豊穣を祈る大切な儀式で、秋田県内でも古くから行われ、江戸時代の紀行家・菅江真澄も八郎潟周辺で行われた行事を1810年に「小正月の田植え」として絵図に残していますが、現在では綴子のほか、湯沢大倉集落など限られた地域で伝承されているだけです。
綴子地区に伝わる雪中田植えも、一度途絶えたものを昭和58年、稲作作りに執念をかけた篤農家の故・高橋佐一郎さん(綴子上町)によって復活されました。昭和61年に高橋さんが亡くなって、また一時途絶えましたが、昭和63年より地域の農業後継者である旧綴子農協青年部が意思を継いで「再復活」、現在はJA鷹巣町青年部(堀内英俊部長)が継承し今日に至っています。
大太鼓の館前に特設された雪田の前で、始めに九島敏昭青年部役員が「昨年は今までにない決意で営農に取り組んだ1年。今年は去年以上の情熱、熱意を持ってやっていきたいのでよろしくお願いします」などとあいさつして儀式が始まりました。
儀式では、青年部長の堀内英俊さん(39)が田植え人となって、けら、菅笠姿の昔ながらの装いで30センチ間隔で4条に4株ずつ計16束の「苗」を植え付け、そのあと、虫除けや田の目印となるすす払いのわらぼうきで雪田を御祓いしたあと、逆さにして雪田の中心に立て、大根の煮しめやナマス、デンブ、お神酒を供え、参加者が豊作と米価の上昇などを祈願しました。堀内さんは「豊作を祈願して植えました。大豊作といかなくても平年並より上になってくれれば」などと話していました。
2月1日には、豊凶を占うため稲刈りが行われます。その際「稲」が直立していれば実がはいらない不稔(ふねん)、倒れていれば風水害による倒伏を意味し、それぞれ凶作、たわわに実った稲穂のように適度に傾いていれば豊作、という一年のお告げが出るとされています。