2012年01月22日
コンテンツ番号1564
文化財防火デー想定訓練が1月22日(日)、北秋田市鎌沢地区などで行われ、地区住民や消防機関などが参加し、文化財愛護思想と防災意識を高めました。
文化財防火デー(1月26日)は、昭和24年1月26日に、国宝・法隆寺の金堂が炎上し貴重な文化財が失われたことを契機に、1・2月が1年のうちで最も火災が発生しやすい時期であることなどから昭和30年に定められ、毎年この日を中心に全国各地で防火訓練などの文化財防火運動が行われています。
北秋田市ではこの日、摩当地区(八幡神社)、鎌沢地区(白津山正法院)、米内沢地区(米内沢神社)、阿仁地区(善勝寺)の旧4町ごとに訓練が行われ、このうち鎌沢地区での訓練には鎌沢自治会、市消防本部、合川第4分団など約100人が参加しました。
鎌沢地区の白津山正法院には市の文化財に指定されている木造の大仏があります。この大仏は「丈六延命地蔵菩薩像」と呼ばれ、高さが4・82m(一丈六尺=4.84m)。木造半迦地蔵尊像としては県内で最も古く、頭部は延享2年(1745年)に、鎌倉時代の大仏師・運慶の正統三十代を継いだ京都の仏師・蔵之丞了慶が制作し、胴体はその後、蔵之丞の弟子で同院の第7世悟山忍州和尚が村人の浄財をもとに作ったと言われています。また、「天明や天保などの飢饉で疫病が発生し多くの死者が出た際、村人が大仏に祈りをささげると、大仏がこれに応えるように汗を流し、祈った人々は誰一人疫病にかからなかった」といわれていることや「戦争中出征前に大仏にお参りした人たちは、無事に戦地から帰ることができた」といわれていることから「汗かき地蔵」「弾丸(たま)よけ地蔵」とも呼ばれています。
訓練は、空気が乾燥し北西の風が強く吹いているところに、鎌沢地内の白津山正法院本堂から火災が発生し、強風にあおられ市有形文化財の「大仏殿」に延焼するおそれがあるとの想定で行われました。火事ぶれのあと地区住民が消火栓を使って初期消火にあたり、消防署・消防団が到着すると、防火水槽から中継による放水で延焼防止にあたりました。
閉会式では、はじめに杉渕敬輝消防長が「雪の中でどういう課題があるか確認しあえるいい機会になったと思います。市内には文化財が多くありますがここの大仏様も宝です。防火活動を含め地域のみなさんに守っていただきたい」などとあいさつ。続いて市教育委員会の齋藤彦志生涯学習課長が「この貴重な文化財を後生に残すためには地域の方々といっしょになって火災など災害から守り、保存していかなければならない。火災時に対する対応など日頃からみなさんといっしょに考えながら実践出来るようにしていければこの地域の貴重な文化財を守ることにつながると思います。今後ともみなさんの力を是非お願いしたい」などとあいさつしました。
最後に、鎌沢自治会の加藤隆悦会長が「この訓練を見て、重要な文化財である大仏様を地域全体として守っていかなければという思いを新たにしました。消防士や消防団員による訓練の行き届いたきびきびとした行動による消火訓練が行われ感謝します。これからも生命と財産を守るため御奮闘いただきたい」などとお礼のあいさつをしました。