2013年11月16日
コンテンツ番号1491
レベルの高い治療を受けれる地域に
(2013.11.16)
北秋田市医療講演会が、11月16日(土)、中央公民館で開かれ、市内外から多くの人が来場し、講演を聴きながら地域における『がん医療』について理解を深めました。
この度の医療講演会は、がん手術・治療の分野で先進的な取り組みをされている、秋田大学大学院医学系研究科地域がん包括医療学講座特任教授の本山悟先生を講師を務め、文部科学省が「がん医療」に携わるがん専門医療人を養成する大学の取組みを支援する「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」、略して『がんプロ』を活用して、秋田大学と首都圏の4大学及び弘前大学が共同で取り組んでいる「次世代がん治療推進専門家養成プラン」の紹介や、がんの原因、がんの予防について講演しました。
開会にあたり、津谷市長は「当地域は、秋田県内の二次医療圏のなかで唯一、がん拠点およびがん推進の病院の指定がない医療圏であり、私どもも対策に苦慮していますが、がん治療の向上のため、今年度から文部科学省の施策である『がんプロ』の一環として、当市の市民病院を中心として地域の医療レベル向上に向けての取り組みが動き出している。今日の講演を通して、現在、行われている最新のがん治療、その治療が北秋田市民病院でも受けることができるということ、また、そこに携わっている若い医師たちのキャリアアップにつながることを知ってもらいたい。市としても、市民の方々が安心して暮らせるよう、がん治療を始め地域医療の向上にに全力で取り組んでいきますので、ご理解とご協力をお願いします」なとど主催者のあいさつを述べました。
引き続き、座長である北秋田市民病院の神谷彰・院長が「本山先生は食道がんの外科治療が専門で、日本の食道がん治療の第一人者であり、先頭を走っている新進系の外科医です。北秋田市民病院に何度も来院して手術をしていただいていますし、市民病院が『がんプロ』に参加する道を開いてくださったのも本山先生です。外科医、研究者としてたいへんす優れた方ですが、それだけでなく地域医療のレベルを向上させることを熱心に実践されており、今日の講演は地域医療を考えるうえで、たいへん意義深いものになると思っています」などと講師を紹介。このあと本山先生の講演が行われました。
講演のなかで本山先生は「今、注目されているのは平均寿命よりも、介護を受けたり、病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活する健康寿命を延ばすこと。しかし、誰しもが求める健康を奪うものは『老い』と『病気』、これは避けて通れない。この2つに関係するものがガンです。ガンは、遺伝子のコピーミスが原因である以上、人は歳を取ると必ずガンになる。酒やたばこがガンの原因と言われるが、リスクを高めるものであり、あくまでも原因は遺伝子にある」などとガンの原因について説明。 また、がん予防については「予防・早期発見でがんの死亡率は3分の1に減らせる。手術・抗がん剤・放射線治療など治療は進歩してきたが、やはり予防が大事」などと話しました。
最後に、秋田大学のがんプロについて触れ「秋田大学のがんプロでは、東京医科歯科大学や東京医科大学など、より進んでいる大学から協力をいただき、地域がん医療ができる人を養成することを目的としている。この地域は近くに空港があり、これを使わない手はない。医師が技術を身に付けるために、東京に行ってしまっては地域医療に穴が開くことになります。そうならないために指導できる医師に来てもらい養成してもらう。そうすれば3年で最先端の医療ができるようになる。北秋田市は病院、空港とインフラが整っており、何よりも行政の協力がある。不幸にしてがんになっても地域でレベルの高い治療を受けることができる地域社会の実現を目指しましょう」などと話しました。
なお、この日は胃がんに対する腹腔鏡手術でスーパードクターと称される、東京医科歯科大学の小嶋一幸先生も講演を行う予定でしたが、濃霧により飛行機が着陸できず、講演は中止となりました。